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2020年東京オリンピックに向けてパナソニックが提案するソリューション

2017/3/5(日)

 

パナソニックは2月14日から2月17日まで、関係者向けの展示会「Wonder Japan Solutions」をパナソニックセンター東京で開催した。「Beyond 2020 The Legacy」と題された本展示会は、今年で3回目を迎え、2020年の東京オリンピックを見据えながらも、その先に待つ将来の日本の社会像に目を向けたソリューションやコンセプトの展示が見られた。

 

おもてなしをレガシーに

2015年に始まったパナソニックの展示会「Wonder Japan Solutions」。今年で3回目となるこの展示会では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに目を向け、1回目は「2020年のおもてなし」、2回目は「おもてなしイノベーション」をテーマに掲げ開催された。

今回のテーマは「Beyond 2020 The legacy」となっており、オリンピックをにらみながらも、「おもてなしをレガシーに」し、その先の社会を見据えたソリューションを示していこうとする姿勢が強く見られた。

 

パナソニック東京オリンピック・パラリンピック推進本部副副本部長の北尾一朗氏(以下、北尾氏)は「オープンイノベーションを創出する場として2015年から開催している。(1回目は技術という点であったものが)2回目では具体的な社会実装のイメージをソリューションとして提案し、点であったものが線になった。3回目となる本年はパナソニックが考え、実現していこうとしている理想の都市像をご紹介したい。点から始まって線になり、今年は空間、面の広がりを御覧いただきたい」と述べた。ある空間を想定し、その中でパナソニックのソリューションがどう使われるのかというコンセプトが提示された。

具体的には、都市、空港、スポーツという3つの空間での展示が行われた。

 

無電柱化に合わせた都市のIoTプラットフォーム化


空間の1つ目は「都市」だ。パナソニックは、景観と防災の観点から、都市から電柱をなくす無電柱化を進めている。北尾氏は「都内、一歩入るとまだまだ電線があり、景観を損ねている。それ以上に、防災の観点が重要。阪神淡路大震災の際も、電柱が倒れ救急車料が入れず被害が拡大した。こういった観点から無電柱化は急がなければいけない」と無電柱化の重要性を語った。

この背景には、小池百合子東京都知事による無電柱化推進がある。2016年12月9日に無電柱化推進法が成立し、250億円を超える予算を投じている無電柱化。パナソニックは東京電力と協業し、これを進めていく考えだ。

 

具体的には、東京電力が保有する地上機器を使ったスマートストリートソリューションを進めている。地上機器とは、電柱がなくなった際に配電設備を格納するためのもので、地上に約30m間隔で設置され、現在、東京都内で約3万台が設置されており、今後も増えていくことが予想される。

 


この地上機器に、サイネージやカメラ、センサーを搭載し、さまざまな情報やサービスを提供しようというのがパナソニックのソリューションだ。サイネージは、例えば災害時に道路沿いの地上機器を連動させ最寄りの避難場所へ誘導したり、インバウンド向けにインタラクティブな情報を表示したり、普段は広告媒体として使用したりと、さまざまな活用が期待される。

また、配電設備を持っているため、電気自動車を充電したり、街頭コンセントとして利用したりするなど、街のエネルギーステーションとしても活用できる。さらにカメラやセンサーなどのデバイスを搭載することで、街をプラットフォームとしたIoTの実現も目指しており、2017年に実証を行い、18年にサービス化を目標としているという。

 

その他にも都市で使えるサービスとして、ドコモ・バイクシェアと共同推進しているバッテリーシェアの電動自転車が展示された。大型住宅や駐輪場、コンビニ、学生寮などにバッテリーステーションを設置し、電池の減ったバッテリーを返却すると満タンのバッテリーを代わりに受け取れるという仕組みだ。ドコモ・バイクシェアが行っているコミュニティサイクルを使用した実証実験を一部で行っているという。台湾発のバッテリーシェアサイクル「Gogoro」の電池にも使用されているパナソニックが進めるバイクシェアは、日本でも広がりを見せるのかもしれない。


 

情報のユニバーサルデザイン


 

続いて、2つ目の空間として提示されたのが「空港」。北尾氏は「昨年のインバウンドは2400万人を超えた。日本は島国なのでほとんどの方が空路で来るため、空港が日本の表玄関になる。2020年にはパラリンピックも開催され、非常に多くの障がい者の方が来る。初めて来たときのアクセシビリティが、空港の印象を大きく変えると考えている」と述べた。外国人や、障がい者は情報弱者でもあるため、それぞれに応じた情報提供の方法が必要で、それを「情報のユニバーサルデザイン」と呼んでいる。


 

外国人向けには、空港でのさまざまなサイネージによる案内表示が展示されていた。飛行機の発着情報、誘導案内、混雑状況、乗り換え案内など、サイネージによる多彩な見せ方が目を引く展示となっていた。

 

また、障がい者向けには、高精度ビーコンとスマホを使ってバリアフリーナビでIAEAアワードを獲得したことを紹介。さらに、WHILLが開発したパーソナルモビリティに、屋内でも現在位置がわかる測位センサーや障害物を検知する安全センサーを搭載し、自動走行化した「WHILL NEXT」が展示された。障がい者だけでなく、大きな荷物を持つ人、高齢者、怪我をした人に向けたもので、スマートフォンと連携し、アプリで呼び出せば自律走行で搭乗者の元に来て、乗ったら行き先を指定するだけで目的地まで移動できる。さらにカートロボが後ろから追従走行し、大きな荷物、トランクなどを乗せて空港内を移動することができる。降りたらスマートフォンで返却指示を出すだけだ。また、空港内で飲み物などを運搬するロボットも合わせて展示。これは、病院などで薬剤などを自律運搬するロボット「HOSPI」がベースとなっており、人を驚かせないよう障害物を回避したりするなど細かい技術が垣間見える。これにより空港における業務効率化を目指すという。

 


北尾氏は「日本が人手不足になるのは間違いない。高いサービスの質を保った日本らしいおもてなしと業務効率化のソリューションが実現できる。情報ユニバーサルデザイン、モビリティ移動、業務効率化を、われわれの持つ映像技術、IT技術、ロボティクス技術を使って実現し、他の交通機関にも展開できれば、と考えている」と将来展望を語った。

 

【まとめ】

その他、スポーツの空間では、市場規模を拡大するために、現場の感動を共有できるような空間づくりや、8K映像などのコンテンツの充実、IT技術を使った選手の分析・強化などを挙げた。

 

これまでパナソニックでは、技術やソリューション自体の展示が多かったが、今回は2020年とその先の日本を見据えて、具体的な社会像にどう技術を使っていくのか、また情報ユニバーサルデザインなど、技術をどう見せるかなど、発展的な展示が多く見られた。

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