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電脳交通が中期戦略を発表 25億増資しタクシー労務管理領域へ事業展開

2025/4/22(火)

電脳交通は、4月10日と11日に本社を置く徳島市内で「FUTURE SUMMIT 2025」を開催し、新規事業としてタクシーの労務管理に参入し、M&Aも推進することなどを表明した。10日に三菱商事など計12社を引受先とする第三者割当増資により25億円を調達したことを発表しており、イベントで詳細を明らかにした。集めた資金で既存事業を拡張しながら、新たな分野に展開する考えを示した。

「電脳交通 FUTURE SUMMIT」は例年同社が開催しているタクシー業界向けのイベントだ。創業10年の節目で開催された今回は、初日に同社の中期戦略などを発表。2日目はJR四国、ウーバージャパン、フジタクシーサービス、遠鉄タクシー、彌榮自動車からゲストを招いた対談企画や同社の事例紹介などが行われた。
中期戦略を発表する代表取締役CEO 近藤洋祐氏

中期戦略を発表する代表取締役CEO 近藤洋祐氏



ウーバーら4社が新規投資家として参画


10日には、まず代表取締役CEO 近藤洋祐氏が登壇。同日発表した資金調達や新しく策定したコーポレートアイデンティティーについて説明。
同社は今後、既存事業の強化、M&Aや新規事業開発を推進する。近藤氏は「タクシー事業者への支援を加速させていく」と強調。主力事業である配車領域に加えて、新しく労務管理領域に参入していくという。新規事業に当たり、タクシー会社向けの運行管理・給与管理サービスを手掛けるWELLCAB JAPAN(ウェルキャブジャパン)社と事業譲受に向けた合意を交わしたことを発表した。
資金調達は既存投資家の三菱商事がリード投資家を務め、総額25億円の資金調達契約を締結。ウーバーテクノロジーズ、国際自動車、大和自動車交通、つばめ自動車が新規投資家として参画する。その他阿波銀行グループなどの既存投資家も追加出資に応じている。これにより累計調達額は、融資も含めて約52億円となった。
刷新した社名ロゴ

刷新した社名ロゴ



また、創業10年目を迎え、新しくコーポレートアイデンティティとミッション・ビジョン・バリューを策定した。新しい社名ロゴは、手毬をモチーフとし、「タクシー交通網を束ね、一つにし、新たに何かを生み出すこと」を表現。カラーは創業の地である徳島の伝統「藍染め」の藍色を採用した。

自動運転へのアプローチも

 


電脳交通取締役COO 北島昇氏は、中期戦略に基づく具体的な取り組みについて紹介。交通事業者が顧客獲得や業務効率化のために必要とする他社サービス・システムとの連携を行う「電脳コネクト」を強化する。加えてさらなる経営効率の向上とユーザーの移動体験を改善することや、労務・業務管理、車両調達などへの事業展開、自動運転へのアプローチについて説明した。「想定よりも自動運転の流れが加速している。配車オペレーションの統合、車両調達などの支援ができるよう自動運転に関連する企業と協業を進めている。」
続いて商品企画開発部 部長の松浦卓哉氏が登壇。同社のサービスでタクシー配車の自動化を図る「DSスマート」のアップデート内容について解説した。2023年のリリース以降、電脳配車システムと連携できる自社専用アプリ内で利用者とドライバーが通話できる機能が実装されたことなどを紹介。今後についてはAI技術を使った新しいIVR(自動音声応答)機能の実装を目指しているという。
電脳交通のソリューションイメージ

電脳交通のソリューションイメージ



電脳交通は2015年12月に創業し、徳島市に本社を置く。タクシー業界のDXを推進し、主に配車業務の効率化を支援。同社のクラウド型タクシー配車システム「DS」は全国の約600社・約2万1000台のタクシーに導入されており、配車業務委託サービス「タクシーCC」では41都道府県の月間20万件を超える電話によるタクシー配車依頼に対応している。

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