ENECHANGE城口CEO充電補助の制度改正訴える「乱用に強い怒り」
2023/7/5(水)
ENECHANGE株式会社(以下、ENECHANGE)の城口洋平代表取締役CEO(以下、城口氏)が、EV充電インフラの補助金制度の改正を強く求めた。7月4日に都内で開催したメディアラウンドテーブルの場で話した。
普通充電器設置に対する補助金の申請受け付けが6月に停止されたことに触れ、城口氏は「大変に問題。そもそも補助金の額が足らず、補助金の乱用が多発している」と言及した。「『このままでは日本のEVは滅ぶ』というくらい怒りに震えている」とも述べた。
普通充電器設置に対する補助金の申請受け付けが6月に停止されたことに触れ、城口氏は「大変に問題。そもそも補助金の額が足らず、補助金の乱用が多発している」と言及した。「『このままでは日本のEVは滅ぶ』というくらい怒りに震えている」とも述べた。
補助金の枯渇・乱用と意見
2022年度補正予算・23年度予算のインフラ補助金は、「普通充電器『商業施設及び宿泊施設等への設置事業(目的地充電)』等」が6月12日付で交付申請の受け付け終了が発表された。「普通充電器『マンション、月極駐車場及び事務所・工場への設置事業(基礎充電)』」も29日付で終了が発表された。どちらも申請額が予算を超えたことが理由。申請期限の3カ月前に締め切りとなった。
城口氏は各インフラ事業者、マンション、ホテル、商業施設などが計画していた充電器の設置が次年度に持ち越されることでEVユーザーの利便性を損なうとした。また既存設備の更新も止まり、インフラがかえって悪化するとも指摘した。
普通充電に対する補助金の予算額は目的地約25億円、基礎約30億円、予備分約30億円の計約85億円。城口氏は予備分を目的地、基礎に充当して受け付けの継続が必要とした。急速充電器では約90億円が計上されていた。
また、政府による30年で普通充電器(目的地)12万基の目標達成には年間1万2500基の設置が必要となるのに対して、23年度の補助額は大きく不足していると指摘。「24年度の予算を23年度の3倍ほどに増やし、普通・急速合わせて500億~700億円規模に増やしてもらいたいと申し上げている」とした。
続いて補助金の要件のうち、駐車場収容台数に対する充電器の上限が撤廃されたことで多量設置によって補助金乱用が起こっているとした。1カ所に多量設置すると、利ざやを稼ぎやすいことが原因という。「100台の駐車場に充電器100基設置する事業者が出てしまった」と問題視した。
城口氏は現在のEV普及状況に対して明らかに過剰な充電器の設置が補助金を使って行われているとし、撤廃を「政府による今年のもっとも大きなミス」と評した。
多量設置の対策は?
城口氏は「事業者は今のルール内で多量設置しており、事業者を責めてもしかたない。政府のルールの問題というのが大前提」とした。政府・経済産業省は至急、上限の再設定が必要とし、「駐車場収容台数の10%、もしくは10基のいずれか低い方」を提案した。なお、ENECHANGEは現行の政府ルールよりも厳しい自主規制をしており、「1カ所の上限は2台から5台の社内ルール」を徹底しているという。
補助金の採択結果の公表再開も提議した。充電器の設置場所のみにとどまっていた21年度までの公表内容に加えて申請者や申請額、充電器の仕様なども公表するべきとし、補助金の乱用防止を訴えた。
一方で、対象となる普通充電器の出力要件を引き上げる、EVの普及に合わせて補助額を減らすなど中長期的に補助金の要件を厳しくすることも必要とも述べた。新車販売のEV・PHEV比率が50%、ストックで30%、充電器1基当たりの稼働時間が月100時間ほどになると、補助金なしで事業者が利益を出せるとの見方を示した。
「充電インフラロードマップ」への提言
城口氏は経済産業省が開催し、自身が参加する「充電インフラ整備促進に関する検討会」で提言する内容についても説明した。米国で3月末、補助金の対象を普通充電で出力6kW以上としたことを受け、日本でも24年度より同様の対応が望ましいとした。また、単年度予算を改める必要性も示唆した。充電器制御の通信の国際規格OCPP(Open Charge Point Protocol)対応、時間課金から充電の従量(kWh)課金にすること、多量設置の防止なども課題とし、それぞれ対策を挙げた。
※図表は全てENECHANGE提供