ENEOSとMIRAI-LABO、バッテリー循環社会実現に向け協業開始
2022/10/26(水)
ENEOSホールディングス株式会社(以下、ENEOS)およびMIRAI-LABO株式会社(以下、MIRAI-LABO)は、バッテリー循環社会実現に向けて協業を開始した。2021年5月19日付のプレスリリースで明かしている。
ENEOSグループは、分散型電源の活用を中心とした次世代エネルギー供給・地域サービスのネットワーク構築を目指している。その一環として、オープンイノベーションによる革新的事業の創出に向けて、シェアサイクル・小型EVシェアを始めとした電動モビリティサービスの展開を見据えた実証を開始している。一方、MIRAI-LABOは、同社が保有するMBMS(Multiple Battery Management System:複合バッテリー制御システム技術)を駆使し、環境に配慮したサスティナブルな自律型MaaS社会※1の構築を促進してきた。これまでには、「農林造園業機械に代表される屋外作業機(乗用を含む)の電動化ならびに移動型バッテリー充電システム」の開発・事業化に向け、株式会社やまびこと資本業務提携契約を締結している。
※1 自律型MaaS社会とは、再生可能エネルギーと蓄電システムの組み合わせによって、商用電源に依存せず、自律型のエネルギーインフラによりサービスを継続提供する新しいMaaSの形のこと。(プレスリリースより)
今回の協業の目的は、使用済みバッテリーを評価・再活用することで、循環型社会の実現に貢献する新しい効率的なエネルギー供給の仕組みを構築することだ。この仕組み構築に向け、ENEOSは、SSや電気事業において培ったノウハウや顧客基盤、およびシェアサイクル・小型EVシェア等の新規モビリティサービスを提供する。MIRAI-LABOは、バッテリー制御システム・ノウハウ等を提供する予定だ。
具体的な協業内容としては、バッテリーのユース(リースやシェア等)、リユース、リサイクルが循環する仕組み「BaaS(Battery as a Service)プラットフォーム※2」を構築する。そして、これまで一次利用にとどまっていたバッテリーを、3段階で利用することを検討する。
※2 これまで製品として販売されていたバッテリーを、リースやシェアリングなどサービスとして提供・利用する形態のことを指す。ここでは、状態監視、二次利用、リサイクルなどバッテリーに関わる幅広いサービスを含む。(プレスリリースより)
検討している利用方法としては、一次利用として、シェアサイクルや小型EVシェアを始めとした、電動モビリティサービスで利用する。二次利用では、使用後の中古バッテリーを集積し、劣化評価を実施する。その後に、残存性能に応じて組み合わせることにより定置型バッテリーシステムとして再利用する。さらに、ENEOSのSSや、電動モビリティステーション、商業施設や住宅等のさまざまな場所へ設置、利用することを検討しているという。三次利用では、二次利用によりさらに容量が低下したバッテリーを、自律型街路灯など低容量でも活用可能な用途で再利用する予定だ。くわえて、両社は、三次利用を経て、寿命を迎えた中古バッテリーをリサイクルにより資源化し、新品バッテリーの材料として再利用する。将来的には、この一連の循環サイクルをクラウドシステムにより適正に一元管理し、バッテリー利用の最適化、最大化を図る。また、定置型バッテリーシステム(二次利用)をVPP(Virtual Power Plant、仮想発電所)に活用することも今後検討していくという。
さらに、両社は、同プラットフォーム実現に向け、実証を行っているモビリティサービスに加え、電動バイクの活用も含めたバッテリーサービスの実証を、2022年度をめどに段階的に展開する予定だ。
なお、両社は、バッテリーをモビリティだけに限らない多様な用途に活用し新たな価値を提供するサービスの展開を目指す。これらのサービス展開は、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、目標9「産業と技術革新の基礎をつくろう」、および目標12「つくる責任使う責任」につながる見込みだ。
そして、両社は、クリーンなエネルギーを活用し、防災力の高いまちづくりに貢献するバッテリーグリッドの構築に向けた取り組みを通じて、低炭素・循環型社会の実現に貢献すると述べている。
(出典:ENEOS Webサイトより)