総額約15億円 Hacobu、日本政策金融公庫等から資金調達実施
2023/5/24(水)
株式会社Hacobu(以下、Hacobu)は、既存株主、新規投資家を引受先とした第三者割当増資にくわえ、日本政策金融公庫からの融資により総額約15億円の資金調達を実施した。今回の調達により、同社の累計資金調達額は約43億円となる。
同社は、今回調達した資金により、物流情報のデータを企業経営・物流現場・ドライバー、ひいては社会全般に還元するための取り組みを実施する。具体的には、「新アプリケーション開発」、「データテクノロジーへの投資加速」、「MOVOネットワーク拡大」を行うという。「新アプリケーション開発」については、取り組みの第一弾として、「MOVO」使用時の利便性を向上させるドライバー向けアプリを2023年6月にリリースする予定だ。将来的には、同アプリに、ビッグデータを活用した働き方改革や、ドライバーと荷主や物流センターをつなぐコミュニケーションツールとしての機能を持たせるという。
また、「データテクノロジーへの投資加速」では、専門部署としてテクノロジー本部にR&D部およびデータエンジニアリング部を新設し、データテクノロジーを中心としたR&D領域への投資を加速させる。その成果を、「MOVO」の新機能開発・新たな活用方法の提案や、より一歩踏み込んだデータ分析サービスである「Hacobu Strategy」のサービスといったさまざまな形で、ユーザーへの価値提供につなげていく予定だ。
さらに、「MOVOネットワーク拡大」では、「データドリブン・ロジスティクス」の啓蒙、および提供に必要不可欠なマーケティング・セールス・カスタマーサクセスなど幅広い職種で採用を進める。同時に、「MOVO」の価値を広く伝える広報PR(パブリック・リレーションズ)施策への投資を加速していくとのことだ。
なお、同社は、マイルストーンとしては、プラットフォームの土台を固めるために、2025年度に「MOVO」利用事業所3万カ所の達成を目指す。併せて、企業が物流を起点とした経営効率化を図ることができるよう物流DXパートナーとして伴走していくという。
くわえて、同社は、2030年以降に自動運転が実用化される際に、物流の情報流通のデジタル化が必要不可欠となると考えているとのことだ。そのため、同社は、それに先立ってさまざまなステークホルダーと協業し、共通基盤プラットフォーム構築を目指すと述べている。
▼関係者のコメント
■Archetype Ventures株式会社 Managing Partner 福井俊平氏のコメント 2016年の初回投資から早7年、今回3回目のご出資をさせて頂けたことを大変うれしく思っております。当時の物流というアジェンダに対する社会の認識と現在の認識では大きく変わってきており、2024年問題を始めとした物流クライシスを目前に控えたこの状況の中で、より効果的でより多くの課題解決の方策が必要になってきています。Hacobuが抱げる「データドリブン・ロジスティクス」は間違いなくその課題に対する確かな解決アプローチであり、初回投資実行時に妄想していた様な、データを基軸としたさまざまな事業が今後立ち上がることを思うとワクワクがとまりません。
■IDATEN Ventures合同会社 代表パートナー 足立健太氏のコメント
Hacobuとは、IDATEN Ventures設立前に別のファンドからシード投資をさせていただいてからのご縁です。シード期から一貫して「運ぶを最適化する」というコーポレートミッションの実現に向けた取り組みを力強く推進してきたHacobuの構想力、実行力は目を見張るものがあります。ものづくり・ものはこびを支えるスタートアップへの投資を通じて社会に貢献するというミッションを掲げるIDATEN Venturesとしても、ぜひHacobuの挑戦を応援させていただきたく、このたび投資いたしました。Hacobuが実現する物流の未来に、ぜひご期待ください。
■ソニーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長 土川元氏のコメント
2017年の投資時以降、当社は継続してHacobuをサポートしてきました。当時は社員数も10名程度のアーリーステージのスタートアップでしたが、「運ぶを最適化する」というミッションのもと、佐々木社長を中心とした優れた経営チームの皆さんが持つビジョンの大きさと市場の課題を見つけ出す洞察力や実行力により、プロダクト「MOVO」の多面展開や業界の大手荷主企業、3PLを多数巻き込んだ顧客獲得と投資家構成を実現され、大きく成長しています。物流DXの観点のみならず、SDGsの観点も含めた非常に大きな社会課題の解決にチャレンジするHacobuを当社は今後も支援していきます。
■三菱倉庫株式会社 常務執行役員 木村宗徳氏のコメント
カーボンニュートラルに向けた環境対応や2024年問題等、物流業界を取り巻く環境は今後ますます厳しさを増していくと考えられます。
今回の資本出資を機にMOVOサービスの包括的な活用を加速させ、サプライチェーンにおける輸配送の動きを可視化することで、2024年問題を見据えた輸配送業務の効率化を目指し、また現在当社とHacobuで行っているスコープ3 CO2排出量の可視化に向けた実証実験の深化を進めて参ります。物流業界全体が抱える課題の解決に向け、Hacobuと共にさまざまな取り組みができることを期待しています。
■Spiral Innovation Partners株式会社 プリンシパル 松本泰拓氏のコメント ※Logistics Innovation Fundを運営
Hacobu社が推進する「データドリブンロジスティクス」は当ファンドのアンカーLPであるセイノーホールディングス社が掲げる「オープン・パブリック・プラットフォーム」を実現するために必須の取り組みとなっています。企業間でデータを連携し、開放的で公共性の高い物流プラットフォームを構築することで、利用者それぞれの効率化や価値向上、さらには社会インフラとして産業・環境・生活への貢献と、効率向上の実現をセイノーホールディングス社とともに目指していければと考えております。