日立、EV等使用のリン酸鉄系イオン電池向け非破壊劣化診断技術開発
2022/12/7(水)
株式会社日立製作所(以下、日立)は、レアメタルを含まない「リン酸鉄系」リチウムイオン電池(以下、LIB)の劣化状態を非破壊で診断する技術を世界で初めて開発した。12月2日付のプレスリリースで明かしている。LIBは、EVにも使用されている。
同社は、これまで蓄電システムの高信頼化・長寿命化に向けて、2007年度から三元系LIBの充電率と電池電圧のデータ解析から、電池の劣化状況を非破壊で診断する技術を発表してきた。三元系とは、正極材料にレアメタル(コバルト・ニッケル)を用いたものだ。LIBは、再生可能エネルギー向けの定置用蓄電システムや、EVの動力源として需要の増加が見込まれている。これまでの主流であった三元系LIBの特長は、エネルギー密度が高く、低温時にも安定した出力が得られることだ。
しかし、材料の採掘・精錬場所の偏在や環境汚染、不安定な材料価格が問題となっている。そのため、近年では、レアメタルを含まない環境にやさしいリン酸鉄系LIBの需要が高まっており、2021年の世界シェアは20%、2030年には40%まで拡大すると予想されている。
リン酸鉄系LIBを搭載した蓄電システムの高信頼化・長寿命化には、劣化状態を非破壊で診断できる技術が必要だ。日立は、三元系LIB向けに非破壊劣化診断技術を開発しており、劣化予測や容量回復技術による長寿命化に活用してきた。
日立は、同技術を送配電事業者やEVをはじめとした電動モビリティのオペレータ等に広く利用してもらうことで、高効率かつ持続可能な蓄電システムの普及を促し、脱炭素社会の実現に貢献すると述べている。
(出典:日立 Webサイトより)