ホンダ、日産が経営統合を断念、株式交換「合意至らず」提携は継続
2025/2/14(金)
ホンダと日産自動車は両社の経営統合に関する協議を終了すると2月13日、発表した。経営統合の条件で合意に至らず検討を終了した。ホンダの三部敏宏社長、日産の内田誠社長が13日、それぞれ個別に会見した。両社間の経営統合への参画を検討していた三菱自動車工業も検討を終えたと発表。3社は今後、2024年8月に結んだ知能化・電動化パートナーシップに基づいて連携するという。
ホンダと日産は24年12月23日、経営統合を協議する基本合意書を締結。当初はホンダが過半数を出資して社長を指名する共同持株会社を設立し、持株会社の下にホンダ・日産を完全子会社とする構想を示していた。
「ワンガバナンス早期に必要」と株式交換を提案
一方、2月13日に会見した三部社長は、経営統合に関する議論を重ねる中で持株会社体制では「厳しい判断が迫られる局面で判断のスピードが鈍る可能性が否定できないことから株式交換による経営統合をホンダから日産に新たに提案した」と明かした。「ワンガバナンスでの体制を早期に確立することが可能であり、現在の環境下において両社にとって最優先事項と考えたため」という。三部社長は株式交換の提案について「日産にとっても相当厳しい判断になるであろうことも想定」し、「場合によっては合意が撤回される可能性も考えてはいた」が、両社の統合が進まず将来、より深刻な状況に陥ることを懸念して提案したと説明した。
「ホンダとして経営統合を必ず成功に導きたいという強い決意、覚悟」(三部社長)を込めた提案だったが、株式交換の枠組みで両社が合意に至らず経営統合の協議・検討を終了したと三部社長は説明した。
検討終了の理由について、三部社長は「日産のターンアラウンド計画にホンダが納得できなかった」「株式交換比率で折り合わなかった」とする報道を「そうした事実はない」とし、「株式交換比率について具体的な数値の提示を双方から行った事実はない」「両社で経営統合実現に向けた合意点を見出せなかったということだと考えている」とした。
三部社長は合意に至らないことについて「たいへん残念」と感想を述べた一方で、「今回の検討を通じて両社の協業によるシナジー効果のポテンシャルは相応にあると認識できた」とした。三菱自を含めた3社パートナーシップに生かし、自動車の電動化・知能化を推進していくという。
「完全子会社化でポテンシャル引き出せるか確信できず」
2月13日、24年度第3四半期決算発表で会見した日産の内田誠社長は会見の冒頭、ホンダからの株式交換の提案、経営統合の協議終了について「今回の提案にあるように日産がホンダの完全子会社となった場合、日産がもつポテンシャルを本当に最大限引き出すことができるのか最後まで確信をもつに至らず提案を受け入れることはできなかった」と述べた。質疑応答で内田社長は「我々が描いていた当初の経営統合のホールディング会社をもってその会社を強くする、そこにいろいろな機能を置きながら、我々が外に対して戦っていける形をとるのが、日産としては一番望んでいた形」「経営統合の形に関して非常に残念に思っている」と話した。その上で、ホンダとの協業では未来志向を見据えて日産としてもいろいろな提案をし、両社にメリットとなる形で進めていくと述べた。
また、他社との提携について、内田社長は将来的に見て「個社ですべてをみていくのは厳しい」と思っており、「ストラテジックレビュー(戦略検討)」を行い、さまざまな分野におけるパートナーを探求していきたいとした。台湾の鴻海精密工業が「日産のマネジメントレベルと実際に話をしたケースはない」と話した。