今治市伯方島で公共ライドシェア実証開始 「のりあい」と「はいたつ」で暮らしを支援
2025/11/19(水)
愛媛県今治市は、しまなみ海道に位置する伯方島で、住民がドライバーを担う公共ライドシェア「あちこち伯方島便」の実証運行を開始した。島内の移動を支える「のりあいサービス」に加え、公共ライドシェアを活用した「はいたつサービス」も実施。人の移動とモノの配送(貨客混載)を組み合わせ、持続可能な地域交通モデルの構築を目指す。
伯方島では、路線バスはあるもののタクシー事業者がなく、かねてより住民の日常生活における移動手段の確保が課題となっていた。この課題に対し、今治市はCommunity Mobilityなどの民間企業とコンソーシアムを組み、住民参加型の新たな交通サービスの実証に乗り出した。
実証の柱は二つ。一つは、11月17日から開始した「のりあいサービス」だ。これは、島内に約150箇所設定された乗降ポイント間を自由に移動できる予約制の乗合交通。国の定めた講習を受けた地域住民がドライバーを務める「公共ライドシェア」の仕組みを活用し、島ぐるみの支え合いで地域の足を守る。
もう一つは、12月5日から開始する「はいたつサービス」だ。これは、島内の登録店舗の商品を電話一本で注文し、自宅まで届けてもらう買い物支援サービス。ライドシェアの車両が配送を担うことで、重い米や飲料、冷蔵食品なども玄関先まで届けてもらえる。公共ライドシェアを活用した買い物支援サービスは、四国で初の取り組みとなる。
「のりあい(人の移動)」と「はいたつ(モノの配送)」を同じ車両で行う貨客混載モデルを採用することで、運行の効率性を高め、持続可能な運営を目指す。また、島内における買い物の利便性を高めることで、地域内での消費循環を促し、地域経済を支える効果も期待される。
実証は2026年1月31日まで実施され、この期間中の利用データや利用者の声を収集・分析。運行ダイヤや料金体系の最適化、地域事業者との連携のあり方などを検証し、本格導入の可能性を探る。今治市は、この伯方島での取り組みを、全国の同様の課題を抱える地域にも展開可能な“次の公共交通”のモデルとして確立していきたい考えだ。




