大阪ガスとKRI、EV電池の「二次劣化」診断技術を開発 中古EV市場の活性化へ
2025/10/20(月)
大阪ガスとその子会社KRIは、EV(電気自動車)などに搭載されるリチウムイオン電池の急激な容量低下(二次劣化)を診断する新技術を開発した。使用履歴が不明な電池でも、短時間の充電データから二次劣化の兆候をその場で判断できる業界初の技術。中古EVの適正な価値評価を支援し、市場の拡大に貢献する。
EVの普及に伴い、中古EV市場の成長が期待される一方、大きな課題となっているのが搭載バッテリーの劣化状態評価だ。バッテリーは使用状況によって劣化度が大きく異なるが、中古車ではその履歴を正確に把握することが難しく、性能低下への不安が適正な価格査定や購入の妨げとなっていた。
特に問題となるのが、経年劣化によってある時点から急激に容量が低下する「二次劣化」と呼ばれる現象だ。一般的な経年劣化(一次劣化)とは異なり、外観や単純な測定だけでは予見が難しい。
今回、大阪ガスとKRIが開発した新技術は、この二次劣化の兆候を、使用履歴が不明なバッテリーでも診断できるものだ。KRIが長年の研究で培ってきた、電池内部の不均一な反応(反応偏在)に関する知見を活用。短時間の充電データなど、限られた情報からでも、二次劣化のリスクをその場で判断することが可能となった。
この技術が実用化されれば、EV中古車の査定時にバッテリーの状態を客観的に評価できるようになる。売り手は適正な価格で売却でき、買い手はバッテリーの状態を把握した上で安心して購入できるため、中古EV市場全体の信頼性向上と活性化につながることが期待される。
さらに、これまで劣化状態が不明なために価値が評価されにくかったリユースバッテリーの流通促進や、それに伴うレアメタルの国内循環にも貢献できる可能性がある。
大阪ガスとKRIは今後、本技術の実用化を進め、EV関連事業を手掛ける企業と連携し、中古EVの価値評価を支援するサービスを展開していく方針だ。また、グループが保有する他のバッテリー診断技術と組み合わせ、定置用蓄電池分野など、幅広い事業への応用も検討していくとしている。
