自動運転を必要とするコミュニティの動きとは? NPO法人 みんなの集落研究所
2017/11/28(火)
2016年11月25日、グランフロント大阪にてLIGAREビジネスセミナーを開催しました。今回は石原達也氏(NPO法人 みんなの集落研究所)の講演内容をご紹介いたします。
日進月歩で技術開発が進む自動運転。市街地など一般的な運転を自動化するにはまだまだ課題が残ります。
一方、過疎地などの交通空白地域での移動手段として低速な自動運転などを導入しようとする動きもあります。
そんな中、岡山県美作市の「みんなのモビリティプロジェクト」では、棚田のある中山間地域での移動手段として自動運転の導入への取り組みが進められています。今回は、そんな自動運転を必要とするコミュニティに迫りました。
[LIGARE vol.31 (2017.1.31発行) より記事を再構成]
岡山県内の特に過疎地域において地域の維持のための支援を主な活動としています。岡山県は高齢化が進んでおり、面積の7割以上が中山間地域指定されているエリアです。離島も含めるとかなり高齢化が進んでいます。
このような地域の中で、空き家の問題やイノシシやシカなどの獣害問題などもありますが、福祉、交通についての問題が非常に大きな意味合いを持っています。
そのため、活動の一環として岡山県美作市で「上山集楽みんなのモビリティプロジェクト」を立ち上げ、トヨタ自動車から資金援助を受け、限界集落をどのように維持していくかを考えています。支援者側としてみんなの集落研究所、そして現地で棚田の再生に取り組んでいる英田上山棚田団というNPOと、トヨタ・モビリティ基金が一緒になって活動しています。そこに岡山大学や美作市、地元のメーカーにご協力を頂き取り組みを行っています。
昔は炭鉱があり、炭鉱で働く炭鉱労働者の方たちの生活を支えるために、棚田を切り開いて米を作っていました。最盛期では8300枚の棚田がありましたが、炭鉱が閉鎖したことにより炭鉱労働者の流出が起こりました。需要のなくなった棚田は維持することができなくなり、耕作放棄地が増え、森に戻ってしまっています。
どこに棚田があるのかわからない山のような状態になってしまっていますが、草刈りや野焼きなどをして再生し、現在では段々ときれいになってきているという状況です。
市街地であれば、電車やバスなどの乗り物を駆使して生活や移動ができますが、地方はクルマがあることが当たり前の生活であり、人とクルマはセットで動いているということです。地方では自家用車がなければ家から出てどこかに行くということが不可能な状況にあります。
また、高齢者は、例えば事故を起こしそうなったということがあり家族が心配するということがあれば、クルマを取り上げられ、農作業にも行けず出歩くこともなくなってしまいます。それに加え中山間地域では、インフラ自体がなくなっていき、悪循環により生活が困難になり、移動手段もなくなっています。
おそらく日本の地方は、主たる産業が違うことを除けば、ほとんど同じような状況であり、中山間地域に関しては同じような状況になっているのではないかと思います。
このような山間地では、中心地から離れた境界線上のほうが人口減少のペースが早くなります。地方では市町村合併によりどんどんと中心地が失われていく状況にあります。かつては下図の青色の点の数だけ中心地がありましたが、現在は赤色の点に集約され、中心地が減少しています。
日進月歩で技術開発が進む自動運転。市街地など一般的な運転を自動化するにはまだまだ課題が残ります。
一方、過疎地などの交通空白地域での移動手段として低速な自動運転などを導入しようとする動きもあります。
そんな中、岡山県美作市の「みんなのモビリティプロジェクト」では、棚田のある中山間地域での移動手段として自動運転の導入への取り組みが進められています。今回は、そんな自動運転を必要とするコミュニティに迫りました。
[LIGARE vol.31 (2017.1.31発行) より記事を再構成]
NPO法人みんなの集落研究所とは
みんなの集落研究所は、地域づくりを実際にやっている人を中心に、地域の中で地域づくりを長年やってきた人たちや、新たに東京などから移住をしてきた人たち、さらにその人々を支援する人材によるシンクタンクです。岡山県内の特に過疎地域において地域の維持のための支援を主な活動としています。岡山県は高齢化が進んでおり、面積の7割以上が中山間地域指定されているエリアです。離島も含めるとかなり高齢化が進んでいます。
このような地域の中で、空き家の問題やイノシシやシカなどの獣害問題などもありますが、福祉、交通についての問題が非常に大きな意味合いを持っています。
そのため、活動の一環として岡山県美作市で「上山集楽みんなのモビリティプロジェクト」を立ち上げ、トヨタ自動車から資金援助を受け、限界集落をどのように維持していくかを考えています。支援者側としてみんなの集落研究所、そして現地で棚田の再生に取り組んでいる英田上山棚田団というNPOと、トヨタ・モビリティ基金が一緒になって活動しています。そこに岡山大学や美作市、地元のメーカーにご協力を頂き取り組みを行っています。
高齢化の進む棚田のまち
上山地区は、最盛期では1000人ほどいましたが、人が減っていき、現在は人口が165人程の集落です。高齢化率は37%と低いですが、全体の数が少なく、増えつつある移住者の方が28人いますので、年齢がかなり下がっています。元からの住民の方のみだともっと高い高齢化率となっています。昔は炭鉱があり、炭鉱で働く炭鉱労働者の方たちの生活を支えるために、棚田を切り開いて米を作っていました。最盛期では8300枚の棚田がありましたが、炭鉱が閉鎖したことにより炭鉱労働者の流出が起こりました。需要のなくなった棚田は維持することができなくなり、耕作放棄地が増え、森に戻ってしまっています。
どこに棚田があるのかわからない山のような状態になってしまっていますが、草刈りや野焼きなどをして再生し、現在では段々ときれいになってきているという状況です。
過疎化による交通の空白化
人口が減ることにより、商店はお客さんがいなくなり閉まっていきます。そうすると、買い物に行くことが難しくなります。それに伴って外出することも難しくなり、公共交通機関も少なくなります。移動難民や買い物難民が増えている状態です。市街地であれば、電車やバスなどの乗り物を駆使して生活や移動ができますが、地方はクルマがあることが当たり前の生活であり、人とクルマはセットで動いているということです。地方では自家用車がなければ家から出てどこかに行くということが不可能な状況にあります。
また、高齢者は、例えば事故を起こしそうなったということがあり家族が心配するということがあれば、クルマを取り上げられ、農作業にも行けず出歩くこともなくなってしまいます。それに加え中山間地域では、インフラ自体がなくなっていき、悪循環により生活が困難になり、移動手段もなくなっています。
おそらく日本の地方は、主たる産業が違うことを除けば、ほとんど同じような状況であり、中山間地域に関しては同じような状況になっているのではないかと思います。
このような山間地では、中心地から離れた境界線上のほうが人口減少のペースが早くなります。地方では市町村合併によりどんどんと中心地が失われていく状況にあります。かつては下図の青色の点の数だけ中心地がありましたが、現在は赤色の点に集約され、中心地が減少しています。
1 2
自動運転の最新動向 ~クルマの基準作りからみた世界の動き~ 国土交通省
伊藤慎介の “Talk is Chap” 〜起業家へと転身した元官僚のリアルな産業論 第1回 このままでは 「次の自動車産業」で世界に負ける
get_the_ID : 2386
has_post_thumbnail(get_the_ID()) : 1
has_post_thumbnail(get_the_ID()) : 1