コロナ禍でもミドルユーザーのタクシー利用頻度は高い ニューステクノロジーの調査
2021/8/2(月)
ミドルユーザーのタクシー利用はコロナ禍前に比べて増え、長距離利用の傾向が見られるー。新型コロナウイルス感染拡大によって深刻な影響を受けているタクシー業界に希望を与えるような統計調査が7月28日公表された。同調査によれば、タクシー利用率の増加は、経営幹部クラスの雇用者が3密回避策を取っているためとみられ、調査を行った企業は、「タクシー車内では、これまでと同じように新型コロナ対策と、安心な空間づくりが求められる」と話している。
統計調査は、東京都内のユーザーを対象にしたモビリティメディア「THE TOKYO VISION GROWTH」を運営するニューステクノロジー(東京都港区)が、コロナ禍のタクシー利用の実態を探るため、インターネット調査の形式で行った。対象者は都内でタクシーを月1回以上使うユーザーで、20~60代の男女1050人から回答を得た。回答結果を2019年8月に実施した同社の調査と比較したところ、月1~2回のライトユーザーの利用は前回比9.5ポイント減の49.3%と減少した一方、月3~10回のミドルユーザー層の利用は9.5ポイント増の43.7%と増加していることがわかった。
同社によれば、こうしたタクシー利用の増加は、利用時間の増加を示しているだけでなく、長距離化が進んでいることも表しているという。
さらに、統計調査では、回答者がコロナ禍でのタクシーの利用理由について、半数近くが交通手段としての利便性の高さや移動時の負担の少なさを挙げた一方、約2割前後が3密回避など感染対策にひも付く理由を挙げた。
統計調査では、タクシー利用増加の理由についての言及はなかったが、経営者や本部長、執行役員といった経営幹部クラスの利用が1.6倍に増えたことが影響しているとみられる。リモートワークが進むコロナ禍でも、経営の意思決定頻度が高い役職者は対面でのやり取りが強いられる場面が多いとされ、3密回避対策の推進とあわせて積極的にタクシーを利用したと考えられる。
ニューステクノロジーは、統計調査を受けて、利用者が増えている経営幹部層向けの情報発信を、タクシー内のデジタルサイネージを通じて強化すると説明。タクシー利用理由として感染回避も多かったことから、新型コロナ対策を基軸にした空間づくりに取り組む必要性を呼びかけるとしている。