鉄道総研、自律型列車運行制御システム開発 車上のみで停止・運転再開判断
2025/5/16(金)
鉄道総合技術研究所(以下、鉄道総研)は5月13日、列車自らが車上に集約した運行に関わる情報に基づき、進路上の安全を判断し、踏切などを制御しつつ安全かつ柔軟な運行を実現する「自律型列車運行制御システム」開発を発表した。地上の信号設備によらず、車上のみで列車停止から運転再開判断までの自動化は世界初となる技術だという。
同システムは、「前方支障物検知技術」、「車上で自動的に運行判断をする技術」、「車上から地上の転てつ機や踏切を直接制御する技術」、「運行管理を自動的に行う技術」、「列車間通信・情報共有技術」によって構成されている。
同システムのプロトタイプの実証試験では、設定した運転パターンに従って地上の転てつ機や踏切を制御しながら自動走行できることを確認。また、列車前方監視装置が検知した線路内支障物の情報が車上の鉄道ダイナミックマップに登録され、その情報をもとに車上で列車の停止の要否を判断し、要の場合は支障物手前に停止できることも確かめている。くわえて、線路内支障物除去後には、車上で自動的に運転再開可否を決定し、可の場合は自動走行を開始することなどの機能も確認しているとのことだ。
なお、鉄道総研は、同システムにより、運転業務のみならず指令など運行管理業務を含めた省人化が図れると見込んでいる。ほかにも、鉄道ダイナミックマップを活用した情報共有ならびに運行判断の自動化技術、あるいは運行管理の自動化技術は、現在の運行管理業務の省力化に活用することもできると述べている。
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列車前方の支障物検知による
自動的な停止と
自動的な運転再開の例
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自律運転での
省人化・省力化
イメージ
(現状の列車運行や
ドライバレス自動運転との比較)
(出典:鉄道総研 Webサイトより)