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ソフトバンク、量子コンピューターを用いた計算手法開発成功 社会実装推進

2025/8/1(金)

ソフトバンクは7月31日、慶應義塾大学、三菱ケミカルおよびJSR社と共同で、量子計算技術の社会実装の推進に向けて、実用的な材料・素材の開発に必要な高精度な基底・励起状態間エネルギーギャップ※1の計算を実現する「量子コンピューターを用いた大規模なエネルギーギャップ計算手法」の開発に成功したことを発表。その論文が「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載されたという。

ソフトバンクは、次世代社会インフラの構築に向けた研究開発の一環として、量子コンピューターの応用技術開発に注力しているという。電池材料などの新素材の開発・設計には、分子や原子の振る舞いを精密に予測する計算が必要であり、中でも量子化学計算※2のエネルギーギャップは、化学反応の起こりやすさを見極める鍵となる指標だ。

従来の量子計算手法では、大規模な量子回路の実行ができず、量子位相推定は最大で6量子ビット(6スピン軌道)のシステムまでの実行のみされていた。今回開発した方法では、従来の5倍以上である最大32量子ビット(32スピン軌道)のシステムに対するエネルギーギャップの計算に成功している。この結果は、大規模な分子の物性の高精度な解析につながることが期待されるという。

なお、ソフトバンクは、今回の成果を生かし、材料開発や環境技術などの分野で、量子コンピューターによる社会課題の解決を目指す。そして、今後も学術機関やパートナー各社と連携して共同研究を進めながら、産業応用を見据えた量子計算技術の社会実装に向けた取り組みを推進していくと述べている。

※1 基底・励起状態間エネルギーギャップ:物質が基底状態から励起状態へ遷移する際に必要なエネルギー差であり、特定の物質における反応のしやすさを示す指標としても使われる。
※2 量子化学計算:分子や原子の性質を量子力学に基づいて解析・予測する計算手法(プレスリリースより)

(出典:ソフトバンク Webサイトより)

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