150キロ充電器都内1000カ所に無料設置、事業拡大も テラモーターズ
2023/10/10(火)
EV充電サービス「Terra Charge」などを手掛けるTerra Motors株式会社(以下、テラモーターズ)は9月26日、「超急速充電器1000基無料導入新プラン」を始めると発表した。出力150キロワットの「超急速充電器」を都内1000カ所に設置する。徳重徹代表取締役会長が同日、都内で会見し、「日本の充電インフラの課題を解決する非常に画期的なソリューション」と強調した。
給油同様に速い充電を都内で
テラモーターズは従量課金制の150キロ充電器を2年以内に都内1000カ所で設置する。1000カ所とした理由を、徳重氏は、都内のガソリンスタンド(GS)の数をやや上回る数であるためと説明した。「6分の充電で約100キロメートル走行可能となる」高出力の充電器を設置することで、GS同様の使い勝手のよさを実現する。自宅やオフィスに充電器がないEVユーザーが近所で効率よく充電できる環境を目指す。「充電インフラが足りない、電欠が不安というEV普及の一番のネック」(徳重氏)を解消する。個人ユーザーの利用だけでなく法人契約も取り込めるとみる。
設置場所は商業施設、行政の施設など日常立ち寄りやすい場所を考えている。家電販売の大手、株式会社コジマが第一号として導入を決定済み。どの店舗に設置するか検討しているという。
充電器の代金・施工費・電力料金といった初期・運転コストを全てテラモーターズが負担する。1000カ所に設置するコストは100億円超となり、テラモーターズは国内外で調達する資金や国の補助金でまかなう。
充電の3課題を新プランで解決
徳重氏は「急速充電器における日本の課題」として「充電スピードが遅い」「時間課金」「機械式駐車場」の3種を挙げ、新プランが課題を解決すると説明した。「充電スピードが遅い」は、22年12月末時点で国内の急速充電器の平均出力40キロを、海外で一般化している120キロ以上と比較して課題とした。徳重氏は「EVのバッテリー容量は大きくなっており、5年先、10年先を見据えた出力が必要」とした。
「時間課金」は、出力にかかわらない時間課金ではEVユーザーに納得感のある料金設定が難しく、また、土地オーナーにとっては大出力の充電で電気代が増加し収益性が低下する。経済産業省が導入を促しており、海外でも一般的な従量課金をテラモーターズは採用する。また、既設の時間課金の充電器を従量課金に置き換えていく。
都内のマンションやビルに多い「機械式駐車場」は、充電器を導入する上で技術や保守管理面の制約が大きいという。150キロ充電器を設置して簡単に充電できる環境を整備する。
充電網の整備とテラモーターズの今後
テラモーターズは、まず都内に集中して150キロ充電器の導入を進める。都内で大きな成果を出すことで東京以外の地域でも展開しやすいとみる。テラモーターズは2022年4月に、分譲マンション向けの普通充電器「Terra Charge」(テラチャージ)で充電サービスに参入。1年半で4700基を受注し、業界トップとしている。徳重社長は「最後発ながら普通充電において革命を起こしてきた。次は急速充電を変えていきたい」と強い意気込みを見せた。
テラモーターズは2024年2月1日付で社名をTerra Charge株式会社に変更予定。10年に創業して以来、二輪・三輪EV製造を続ける中で始めた充電サービスと同じ社名とし、さらに充電に注力する。
また、徳重会長は会見で、エネルギーマネジメントや、自動車OEMと連携した事業など「もっと大きなことを日本市場だけでなくグローバルにやっていきたいというのがわれわれの気持ち」と話した。