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凸版印刷、使い切り型の低価格温度ロガー開発 6月から提供予定

2022/5/20(金)

凸版印刷株式会社(以下、凸版印刷)は、温度を一定時間ごとに測定・記録し、その履歴データを無線通信によりデータベースに転送できる薄型カードサイズの温度ロガーラベルを開発した。5月16日付のプレスリリースで明かしている。

食品の長距離輸送では、通常の物流とは違い、厳格な温度管理が求められる。特に、肉や魚、野菜などの生鮮食品、乳製品や総菜などの要冷蔵食品は、鮮度の維持と品質劣化の防止のために、商品ごとに設定された温度で輸送を行うことが必要だ。

輸送時の温度を管理するツールとして、一定間隔で温度を測定し記録する温度ロガー機器は、これまでにも市販されていた。しかし、それらは1台当たりの価格が数千円~数万円と高価なため、すべての梱包に装着するにはコスト面での課題があり、さらに使用後の回収にかかる手間などが導入にあたっての障壁となっていた。そのため、国際輸送など長距離にわたる温度管理が求められるシーンでは、使用後に回収する必要がなくワンウェイで利用できる、低価格な温度ロガーの需要が高まっている。

同温度ロガーラベルは、貼り付けされた荷物の表面温度の変化を任意のタイミングで自動的に記録し続ける。対応する周波数帯は、5m程度の長距離通信が可能なUHF帯と、スマートフォンへの搭載が進むNFCの2種類だ。経由地や最終目的地などでは、専用アプリケーションを使って出荷からその時点までのログデータ(日時と温度などの記録)を読み取り、読み取り場所などのトレーサビリティ情報と共に、専用のクラウド型管理システムに転送される。これにより、輸送中の温度変化を時系列的に追跡・管理する。

また、同温度ロガーラベルは、使い切り型のバッテリーを搭載しており、データダウンロード用の端子や表示用ディスプレイを省くなどシンプルな構造を採用した。この結果、既存の温度ロガー機器と比較して、10分の1以下の低価格での提供を予定しているという。販売開始時期は6月の予定だ。

さらに、同製品は、2021年10月から2022年3月にかけて実施された、日本酒輸送実証実験(令和2年度農林水産省実証実験)にて、日本国内の酒造メーカーから中国国内の保冷倉庫までの梱包箱の表面温度を30分ごとに測定し、記録するツールとして採用された。同実証実験には、「日本酒コールドチェーンコンソーシアム(参加企業:合同会社オープンゲート、光輝株式会社、Taeltech Japan株式会社、株式会社南部美人、株式会社萬乗醸造)」が参画している。

なお、凸版印刷は、同製品とすでに開発・提供しているID認証プラットフォームを組み合わせることで、輸送中の温度管理だけでなく、商品の真贋判定やトレーサビリティ、顧客接点の強化など、サプライチェーン全体を最適化する包括的なサービスを実現するという。そして、凸版印刷はソフトウエアやシステムを含めた温度管理ソリューション関連事業で、2023年度に5億円の売上を目指すと述べている。

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