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トヨタと出光、全個体電池の量産で協業 搭載EVの27年実用に向け

2023/10/13(金)

佐藤恒治トヨタ社長(左)と木藤俊一出光社長(右)が会見

佐藤恒治トヨタ社長(左)と木藤俊一出光社長(右)が会見

トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)と出光興産株式会社(以下、出光)は10月12日、BEV用の全個体電池の量産で協業すると発表した。電池の主要部材、硫化物系の固体電解質の開発や量産で協業する。トヨタが2027年から28年を目指す、全個体電池を搭載するBEV実用化に向けた取り組み。トヨタの佐藤恒治社長、出光の木藤俊一社長が都内で会見した。
硫化物固体電解質は「BEVが抱える航続距離や充電時間の長さといった課題を解決する、最有力素材」(木藤社長)。電解質は、石油製品の製造過程で発生する硫化物を原料とする。

出光は、硫化物を固体電解質として利用する研究を01年に開始。13年よりトヨタと全個体電池の共同研究をしている。全個体電池と硫化物個体電解質に関して両社が保有する特許の件数は世界トップクラスという。

両社による全個体電池関連の研究開発の流れ

両社による全個体電池関連の研究開発の流れ


両社は、材料技術を融合させることで、割れにくく高い性能を発揮する固体電解質の開発に成功した。さらにトヨタが持つ正極・負極材や、電池化の技術を組み合わせることで、全個体電池の性能と耐久性を両立させるめどが付いたという。

全固体電池は、電気を伝えるイオンが固体電解質の中を液系よりも速く動く。そのため、充電時間が短い、航続距離が伸びる、出力を大きくできる、高温や高電圧に強く安定性が高いといった利点がある。

一方、充放電を繰り返すことで亀裂が発生し、電池性能が劣化してしまうことが難点だった。柔軟性と密着性に優れ、亀裂に強い出光の電解質とトヨタの技術の組み合わせで課題解決にめどを付けた。次の課題として電解質と電池の量産に取り組む。

全個体電池がもつ強み

全個体電池がもつ強み


電池の量産に向けた協業は3期に分かれる。両社から数十名の人員を充てる。

第1期は電解質を両社で作り込む。第2期では、27年度をめどに年産数百トンの規模で電解質の量産実証を行う。出光の千葉事業所内パイロット設備を使う。また、トヨタは全個体電池と電池を搭載するBEV開発を進める。第3期で電解質・電池の量産、事業化に向けた検討を両社で実施する。

電解質を量産する場所は出光・千葉事業所が有力。生産能力は1ライン年間数千トン、車両数万台相当となり、規模について両社で検討する。電池の生産はトヨタ本社地区(愛知県豊田市)内となる見通し。


佐藤社長は「両社の力をひとつにして、全個体電池を量産化し、日本発のイノベーションを実現する」、木藤社長は「この協業で得られた技術を世界標準として展開していく」と協業について強い意気込みを見せた。

トヨタは、23年6月に次世代BEVや電池の開発方針、関連技術を発表。電池では全個体電池の開発に加え、液系の大幅な性能向上についても明らかにしている。


※画像は全てトヨタニュースルームより

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