台湾で自動運転やシェアリングなど未来のEVの姿を 第7回台湾国際電気自動車展 – EV TAIWAN 2017
2017/5/3(水)
2017年4月20日~23日、台湾Taipei World Trade Center(TWTC)において、台湾国際電動車両見本市(EV TAIWAN2017)が開催された。台湾政府はテレマティクスやセンサーなどと EV を結合させた「インテリジェント EV」を発展を目指し、企業の育成を支援するため「インテリジェント EV 産業発展戦略及び行動プラン」を 2010年に策定し、EVの普及に力を入れている。
経済部は2016年を中期目標の年に設定しており、インテリジェントEV年間生産台数6万台、世界トップ10に入るインテリジェントEVブランド・メーカーの育成などを定めている。本展示会は、台北国際自動車部品及びアクセサリー見本市(台北AMPA)と同時開催となっており、会場は大きな盛り上がりを見せた。今回は、例年通りEVの展示に加え、自動運転車の展示が一部で見られた。
XING – 電動スーパーカーのプロトタイプを展示
展示会場の中央で大きく目を引くのがXING Mobilityだ。同社は、バッテリーやギアボックス、電動パワーユニット、ダンパーシステムなどの製品を販売しているが、今回は2台のスポーツタイプのプロトタイプの車両を展示していた。一つは「Miss E」というタイプで、台湾で設計・製造された電動レーシングカーで、同社が開発した液冷式のバッテリーパックのモジュールを搭載しており、高出力で連続的な出力を実現し、バッテリーの寿命も大幅に延ばしている。その他にもSADEVの6速トランスミッションを搭載し、最高速度は300km/hまで出るとのこと。
もう一つの車両が「Miss R」というタイプで、同社が開発したギアボックスやサスペンションなどの最先端技術を搭載し、二つの走行モードにより道路上もオフロードも走行可能な電動スーパーカーとなっている。さらに、4つの高出力モーターを搭載し、それぞれのドライブシャフトにつなぐことで連続高出力性と安全性を実現しており、最高速度は271km/h、加速は2.0秒で100km/hまで、5.1秒で200km/hまでを目標としている。
現在はプロトタイプで骨格部のみの展示となっていたが、2017年内にコンセプトカーとして公開する予定とのことだ。
WELLTECH ENERGY – 電動バイクとスマートフォンを連携したシェアリング時代のソリューション
WELLTECH ENERGY社は、スマートフォンやタブレット、モバイルバッテリーなどを販売している企業だが、電動バイク「HP(High Power) BATTERY」なども製品としてラインナップされている。今回は、バッテリー交換式の電動バイクと、電池交換をスマートフォンで行うことができる「GCE」というシェアリングエコノミー時代のソリューションの展示があった。
車両はADIVA社の「e-moving」という電池を着脱交換できる電動バイクを使用しており、バッテリー交換システムにはezSWAP社のバッテリースワップシステムを採用している。充電がなくなったら近くのバッテリーパークで電池を交換できるというシステムになっている。
ユーザーは、GCEのアプリケーションにクレジットカード情報を登録することで、車両の予約、バッテリーの交換予約と充電予約などを一元的に管理することができる。実際にバッテリーを交換する際は、発行されたIDカードをタッチしユーザー認証を行い、充電された電池と使い終わった電池を手動で交換するものだ。
その他にも、クラウド上でユーザー情報のビッグデータを集め、データ分析をして車両とバッテリーの最適配置などマネジメントシステムを今後導入していくとのこと。
ARTC(Automotive Research Testing Center)- 自動運転EVの走行テストを実施
AMPAの展示として、ARTCは自動運転EVの走行デモを行った。ARTCは台湾の自動車研究・試験センターで、カメラやレーダーなどを使った自動運転などを研究している。また、TARC(台湾自動車リサーチコンソーシアム)の中心的団体であり、ディープラーニングなども含めたトータルの自動運転車の開発を行っている。
今回の展示では、電動ゴルフカート型の自動運転車を使用し、自律走行のデモが簡易テストコースで行われた。車線追従、車線変更、障害物と歩行者検知、緊急自動停止、自動駐車などの基本的な自律走行のテストが行われた他、実際に自動運転が普及した社会を想定し、車上でのスマートフォンのワイヤレス充電のテストも行われた。
特に、カメラによる前方障害物検知システムを現在開発しており、歩行者、自転車、バイク、自動車などをリアルタイムに検出できるとのこと。
その他にも、協調型の自己位置推定システムを開発中とのこと。さまざまなセンサーから得られる情報により、他の車両との位置関係を推定し、自車位置推定の補正を行うことができ、これにより30cm以内の誤差の自己位置推定が可能となっている。