AI+ロボティクス技術=夢のクルマ社会を実現する動きがはじまった 「CES 2017」レポート
2017/11/17(金)
2017年のCESで大きく話題になったジャンルの一つは間違いなく「自動車」であった。例年にないほど多くのメディアや関係者が訪れ、ラスベガスコンベンションセンターのノースホールは、さながらモーターショー会場のようであった。ただし、そこには「運転を楽しむためのクルマ」はほとんどなく、3年前から始まった自動運転やコネクテッドカー、そして安全性を高める最先端技術の実用性、それらをトータルに実現するコンセプトカーが並ぶ、いわばスマートシティやIoTの延長線上にある「生活を豊かにするモビリティ家電」という位置付けが、より明確にされた印象であった。
[LIGARE vol.31 (2017.1.31発行) より記事を再構成]
コンセプトカーがずらりと勢揃い
これまでのCESはモーターショーと同じく、各メーカーが開発した新型車が主役でそこに搭載される自動運転アシストやコネクテッドカーなどの機能が併せて紹介されるという関係であった。だが、今年はその主従が完全に逆転し、自動運転システムに合わせたコンセプトカーを各メーカーが発表するのが目立った。トヨタのモビリティ社会の未来像を具現化したコンセプトカー「Concept-愛i」をはじめ、ホンダは人とのコミュニケーションを行うAIを搭載したEVコミューターの「Honda NeuV(ニューヴィー)」を、日産はCESの翌週にデトロイトで開催された北米国際オートショーで新型コンセプトカー「Vmotion 2.0」を発表したが、そこに搭載された「ニッサン・インテリジェント・モビリティ」技術を大々的に展示していた。
また、三菱自動車ではなく三菱電機が、運転を支援する技術を搭載したコンセプトカー「EMIRAI3 xDAS」を発表していた。
海外勢では、フィアット・クライスラーが自動運転機能を搭載したミニバン「Portal」(パナソニックが開発に参画)を、フォルクスワーゲン(VW)は次世代EVコンセプトカーの「I.D.」をそれぞれ出展。BOSCHも具体的な車名はなかったものの、メディア発表会で次世代コンセプトカーのアイデアを発表しており、NXPもハーマンとRINSPEED(スタートアップ)との共同開発中のコンセプトカーをビデオで紹介していた。
主張を抑えたデザインで調和性をアピール
いずれのコンセプトカーもオートドライブカーが行き交う安全で快適な未来のクルマ社会をテーマにしているためか、外観デザインは丸みがあるやわらかい印象でまとめ、車内は居住性を高めるために広々としたシンプルな構成になったものが多い。カラーは白基調でブルーやグリーンのライトを組み合わせるというパターンで、次世代コクピットでの違いもまだそれほど出されてはおらず、全体として街の風景に溶け込むクルマを意識しているように見えた。おそらくは現時点では開発の方向性を見せることに主眼を置かれており、それにあわせたデザインはこれから考えていくというところだろう。VWでは「I.D.」とは別にもう一つのコンセプトカーを、実際の車輛ではなくVRシミュレーションを使って紹介しており、今後はそういう見せ方が増えるかもしれない。メーカー側もそうしたところから、CESとオートショーのすみ分けをはじめようとしているのかもしれない。
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