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AdaSkyとST、自動車向けに高分解能の視認能力の提供で協力

2018/3/12(月)

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)と、イスラエルのベンチャー企業で、より広範かつ良好な視認機能を可能にする遠赤外線(FIR)技術を自動車市場に提供するAdaSkyは、AdaSkyのFIRサーマル・カメラに、両社が共同設計し、ST独自の28nmFD-SOI(1)技術で製造するカスタム・シリコンを実装することで協力することを3月12日に発表した。AdaSkyの包括的なセンシング・ソリューションであるViperは、さまざまな環境下において自動運転車が道路や周囲の状態を視認し、理解することを目指している。

特に厳しい照度や天候の条件下において、道路、他の車両、路側器、障害物などを完全に視認することは、次世代の自動運転車が安全に走行するために不可欠だ。常時自動運転を実現するため、自動車はさまざまなセンサから提供される補完情報の統合して判断することになる。今日使われているセンサやカメラは必要な情報のすべてを捉えることはできず、それぞれ特定の照度や天候下で弱点を有している。しかし、AdaSkyのViperに使われるパッシブ赤外線映像を統合しソリューションとして用いた場合、照度が変化する状況や直射日光の下、対向車からヘッドライトを受けている際や悪天候下などにおいても、各センサやカメラから得られる情報間の差異を補うことができ、周囲の状況を正確に認識することが可能だ。

FIRマイクロボロメータ・センサを使用する新しいカメラは対象物の温度を検出する。Viperは高度運転支援システム(ADAS)ソリューションにおいて、Convolutional Neural Networks(畳み込みニューラル・ネットワーク)に基づく独自のアルゴリズムにより障害物を分類し、コックピット・ディスプレイに表示してドライバに早期に警告。この警告は従来の可視波長を使用したセンサよりも数秒早く発することができるほか、人間が目視で把握するよりも高速だ。

AdaSkyのハードウェア担当バイスプレジデントであるAmotz Katsは次のようにコメントしている。

「STの協力により、当社は初の自動運転車向け高分解能サーマル・カメラを、最小サイズ、最軽量、最低消費電力で、かつ可動部品を用いることなく製造することができました。 超低消費電力設計や車載アプリケーションに最適なIP、そして28nm FD-SOI技術など、STならではの専門知識や技術があってこそ、センサの性能に課された厳しい消費電力の制約を満たすことができました。当社は、自動運転車市場を革新する飛躍的なソリューションを提供する立場にあり、STの車載用半導体に関する習熟した技能と、強力な製造サプライチェーンに支えられています。このSTのサプライチェーンにより、自動車メーカーは生産を続ける限り、信頼性、長期的サポート、および事業継続性という恩恵を受けることができます」

STのグループ・バイスプレジデント 兼 自動運転デジタル部門ジェネラル・マネージャであるFabio Marchioは、次のようにコメントしている。

「AdaSkyは、赤外線ベースの強力な視覚センサと、優れたアルゴリズムを開発しました。これにより、非常に有用な補完的インフォメーション・レイヤが既存のセンサ群に追加され、自動運転車の実現は目前に迫っています。真の「常時オン」、つまり24時間いつでも走行可能な自動運転車の実現に残された最大の課題のひとつである、運転が困難な状況への対応に取り組むことで、AdaSkyはドライバレスなシステムを実現に貢献しています 」

Viperは、ST独自の28nm FD-SOI製造技術で設計され、車載アプリケーションに最適なSTのIPを使用している。2020年の量産開始を目標に、 自動車メーカー各社にて試作品を評価中だ。

(1)Fully Depleted Silicon On Insulator(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)

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