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住友ゴム センサーいらず!あらゆる情報を 検知するタイヤ・センシング技術

2017/10/11(水)

住友ゴム オートモーティブ事業部 DWSビジネスチーム 川崎裕章氏

自動運転の実用化に向けて、タイヤが進化している――。2017年5月、住友ゴム工業株式会社(以下、住友ゴム)が「SENSING CORE」の技術を発表した。ピレリ、コンチネンタル、ブリヂストンなどの他社と一線を画しているのは、センサー不要で既存のタイヤが使えるというユーザーフレンドリーな点だ。既存のタイヤから回転信号を取得しソフトウェアで解析することで、空気圧、荷重、路面状態などの情報を検知できるという。「SENSING CORE」の技術について、オートモーティブ事業部 DWSビジネスチーム 川崎裕章氏に話を伺った。

――「SENSING CORE」の前身となるタイヤ空気圧低下警報装置(DWS:Deflation Warning System)はどのような技術なのでしょうか?

DWSはタイヤがパンクした時にドライバーへ知らせるシステムです。タイヤの空気圧低下警報装置には直接式と間接式があります。直接式はタイヤバルブの中に内蔵されたセンサーで圧力を計測して、得た情報を無線で飛ばす方法です。我々の技術は間接式で、タイヤの回転信号をソフトウェアで解析してパンクを検知します。

1991年から事業化に向けて取り組み、1997年に初めて北米向けのクルマにDWSが採用されました。2000年に他社のタイヤリコール問題をきっかけとして、北米で、空気圧低下警報装置の搭載が義務化されるようになりました。その後、ヨーロッパでも安全面だけではなく、空気圧が減った状態で走行すると燃費が悪くなることから環境への対策として、法制化されました。

中国でも現在検討されており、近々に法制化される見込みです。日本でも議論はされていますが、まだ義務化には至っていません。
そのような中、当社では2012年に法規に対応したDWSを開発し、昨年末までに全世界で、累計2500万台に搭載いただいています。

――具体的にはどのようにして空気圧を計測しているのでしょうか。

風船は空気が減ると小さくなるのと同様、タイヤも空気が減ると小さくなります。パンクしたタイヤは、径が小さくなるので、他のタイヤよりも早く回ります。この差から、パンクを見つけるというのが基本的な考え方です。

しかし、この方法だと4つのタイヤが同時に空気が減った場合に、差が生まれないため、パンクを検知できません。そこで着目したのがタイヤの振動です。タイヤはいわゆる空気バネのようなもので、空気が減るとバネの強さが変わります。このバネはタイヤが回転することで振動しており、その振動の仕方が変わることからパンクを見つけます。この2つの原理を組み合わせています。

――「SENSING CORE」を開発されたきっかけは?

DWSに付加価値を見出すために、センシングコアを開発しました。日本やヨーロッパは道が整備されているので、めったにパンクすることはありません。そこで、同じ信号を使って、路面の滑りやすさや荷重などの情報をクルマやドライバーに提供できれば、より安全・安心に運転できるのではないかと思ったのが開発のきっかけです。

空気圧、荷重、路面状態、摩耗、いずれもタイヤの回転信号という同じインプット情報をもとに、視点を変えて検知しています。

――荷重の情報はどのようにして検知しているのでしょうか。

タイヤの振動現象を利用しています。タイヤは地面に接触している箇所がたわんで変形するので、接地している箇所と設置していない箇所でタイヤの半径に差が生まれます。この差によって回転むらが生じ、振動しながら回っています。荷重が増加すると、接地している箇所と接地していない箇所の半径の差がより大きくなり、タイヤのたわむ量が増えることで、振動の幅(振幅)が拡大します。

この特性を前後・左右のタイヤで比較することで、それぞれのタイヤの荷重配分を推定しています。ブレーキを最適に制御する上で、それぞれのタイヤにかかる荷重は重要な情報です。

――路面情報はどのようにして検知しているのでしょうか?

タイヤのスリップと力の関係を利用しています。ここでいうスリップは、一般にイメージするスリップ、すなわちタイヤがグリップの限界を超えている状態とは異なり、クルマの速度とタイヤの回転速度に微妙な差がある状態のことを指します。実は、タイヤは微妙にスリップしながら走っています。クルマの走行中は、空気抵抗や転がり抵抗などの走行抵抗が発生していますので、それに釣り合うだけの力を発生させないと進むことができません。スリップを起こすことで力を発生させています。

このスリップと力の関係が路面の滑りやすさによって異なります。すなわち、クルマがどれくらいの力(加速、減速)を発生させているか、どれくらいスリップしているかということをタイヤの回転信号から解析しています。ポイントは、いかに不必要な情報を回転信号から除去するかです。ここにDWSで培った車輪速信号の解析技術が応用されています。不必要な情報を除去することで、スリップと力の関係が直線として現れます。この傾きの違いを見れば滑りやすさがわかるのです。

ただ、ここで2つ目のポイントがあります。力とスリップの関係は、タイヤによっても異なるということです。同じ道でも、サマータイヤ、スタッドレスタイヤ、摩耗しているタイヤなど、タイヤによって滑りやすさが異なります。そこで、アスファルトのような滑りにくい路面を走行しているときに、どのようなタイヤが装着されているのか、そのタイヤ特性を把握します。

覚えたタイヤ特性を基準に、滑りやすさを判断します。タイヤが摩耗すると基準値が変わるので、絶えず基準値はアップデートされ、最新の基準値をもとに路面の滑りやすさを適切に推定しています。

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