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百度、「China Speed」で差をつけるAIと自動運転開発

2018/4/13(金)

中国で急成長しているIT企業、百度(Baidu)。世界を変え続けている人工知能を中心に、自動車分野では自動運転プラットフォームのApolloを開発している。 「China Speed」でAIと自動運転プラットフォームを加速させる百度の目指すものとはーー。

1月9日から12日まで米国ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市「CES 2018」をもとに読み解く。

[LIGARE vol.37 (2018.1.31発行) より記事を再構成]

百度(Baidu)最高執行責任者(COO) 陸 奇 氏


「China + AI」

百度の最高執行責任者(COO)の陸奇氏は、「百度はAIのカンパニーになる」との方針を明かし、「AIは第四次産業革命を推進するだろう」と、AIイノベーションの重要性を述べた。百度はAIを発展させるために、2013年に「百度深度学習研究院(Institute of Deep Learning)」を創立し、翌2014年には、シリコンバレーで「Baidu Research」という研究所を設立。さまざまな研究や実証テストを行ったという。その成果として、2016年にAIプラットフォームの「百度大脳(Baidu Brain)」が発表された。そして2017年に中国で発表されたAI対話プラットフォーム「DuerOS」および自動運転プラットフォーム「Apollo」について、今回のCESで詳しく紹介した。百度はChina Speedで、AIの技術を用いて現在の検索エンジン、モバイル業務(Mobile Baidu)、動画サービスなどの新事業に注力していくことを表明した。
また、キーワードである「China + AI」に関して、中国におけるAI発展の強みに言及した。他国と比べて、中国は「ユーザーの多さ」と「AI発展を支える政策」が強みであると陸氏は述べた。中国の13.8億人口のうち、スマートフォンユーザーは11億人、インターネットユーザーは7.5億人と巨大な市場規模を持っている。「さまざまなアイデアを検証するためのデータが多いため、早いスピードで実現することが可能になる」。さらに自動車の所有数2億台、OEM工場200カ所という膨大な数字も、自動運転の発展につながる強みだ。
さらに、AIによってイノベーション先進国を目指す。中国政府はAIおよび自動運転の支援についての方針と政策を出して、推進をサポートする姿勢を見せている。2017年に自動運転の路面テストガイドラインが定められ、北京付近の「保定・雄安新区」という特区で自動運転を導入、「AI-city」を創るという将来像が発表された。政策の支持によって、China Speedの実現が可能になり、「『China + AI』はChina Speedで、中国はアメリカとの差を縮めている」と陸氏は語った。

 

■「Apollo」――力強い自動運転プラットフォーム

百度が開発した自動運転プラットフォーム「Apollo」について、開発責任者の王京傲氏の説明があった。「Apollo」の最新バージョンである「Apollo2.0」は、現在主流のアルゴリズム・プラットフォームをすべてカバーでき、利用可能の車種も増えたという。以前のバージョンより安全性・感知能力が向上し、セットアップ時間が30分から30秒までに短縮したと王氏が紹介した。また、アメリカでAutonomou Stuff社と共同で行った自動運転車の実証テストの動画が公開された。
さらに、中国のビークルメーカーの「奇瑞(Chery)」と「金龍客車(King Long)」、Access社などと連携して開発した「Apollo Pilot」はすでに生産の準備をしていて、奇瑞では自動運転車、金龍客車では自動運転ミニバスの双方とも今年度中に量産する。また、Access LAと協同で開発した障がい者向けのモビリティサービスも、2018年にロサンゼルスで開始するという。2020年までに、中国ローカルの車両メーカーと協業し自動運転事業を拡大するプランも挙げられた。
CESの会場では、百度の北京本社とのライブ中継で、自動運転カー、ミニバス、配達用・清掃用ビークルが走行しているシーンが映された。「Apollo」プラットフォームは、中国政府に「国家自動運転プラットフォーム」と命名され、国家プロジェクトになったと陸氏は語った。さらに、社長の張亜勤氏は「中国の卓球国家チームのようになってほしい」とポジティブな態度を示した。

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