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BYD日本でPHEVやトラック発売、乗用車は低価格帯ほか商品幅拡大

2025/2/4(火)

BYDが日本で25年に発売するEVバス「J7」とSUV「SEALION 7」

BYDが日本で25年に発売するEVバス「J7」とSUV「SEALION 7」

中国自動車大手のBYDは、日本でPHEVや EVトラックを発売する計画を1月24日に都内で開催した事業方針説明会で明らかにした。乗用車販社BYD Auto Japan(以下BAJ)の東福寺厚樹社長は現行モデルよりも低価格帯の商品など幅広いモデルを日本市場に投入して拡販したい構想を示した。

BEVとPHEV両輪で「日本のモビリティ社会築く」

説明会ではBYDのアジア太平洋地域自動車販売事業部 総経理と、日本法人ビーワイディージャパン(以下、BYDジャパン)社長を務める劉学亮氏が2025年内に日本でPHEVを発表すると明らかにした。
日本法人の劉社長(中央)と石井澄人副社長(右)、BAJ東福寺社長が登壇</br>(BYDジャパン提供)

日本法人の劉社長(中央)と石井澄人副社長(右)、BAJ東福寺社長が登壇
(BYDジャパン提供)



日本の事業パートナーやユーザーによるPHEV投入の要望に応えて「BEVとPHEVの両輪でBYDのすべての技術を盛り込み、日本に毎年新しい車種をご提供する」と話した。また、26年に向けてEVトラックを発売すると表明した。

乗用車事業について劉氏は「私たちが感じているのは『注目度以上に期待感』で、期待に応えるべく全国のディーラーと歩んでいる。BYDの電気自動車というより日本で必要とされるモビリティ社会をつくるため頑張っている」と意気込みを見せた。

劉氏は2025年を迎えたことを「感無量」と表現。BYDが日本で法人を設立して20年、EVバス初納入から10年、乗用車の発表から3年の節目に当たると振り返り、20年を支えた「すべての日本のみなさまに感謝の気持ちでいっぱい」と打ち明けた。
劉氏は日本事業の過去・将来について熱弁を振るった

劉氏は日本事業の過去・将来について熱弁を振るった



なお、BYDの24年のBEVとPHEVの販売台数は前年比約4割増の427万台で、2種類を合わせた新エネルギー車(NEV)の販売で3年連続世界一。うち輸出は約42万台。

続いて、劉氏は商用車事業の責任者を務める石井澄人副社長を「BYDジャパンに迎えたばかりの商用車領域のプロで、これから日本の皆さんにどのように商用車を提供していくかBYDジャパンの今後の20年にとって大いに楽しみ」と紹介した。

EVバス大中小を揃えて30年4千台へ10倍増

石井氏は、まずBYDの商用車販売が24年で前年比約9割増の2万1775台だったと報告。また、日本で25年内に納車開始予定の中型EVバス「J7」をアピールした。J7は日本市場専用に設計したモデル第2弾で、最新型インホイールモーター採用の電動アクスルが搭載された。

専用モデル第1弾の小型EVバス「J6」、大型の「K8」と合わせてEVバスのラインナップが出揃ったと石井副社長は話し、累計350台の販売実績を30年までに4000台へ増やすとの構想を示した。
左から「J6」「K8」とデモ走行もした「J7」

左から「J6」「K8」とデモ走行もした「J7」



拡販の方策として、国内の事業所を6カ所から増やす、販売やメンテナンスのスタッフ増員、バスの稼働時間の最大化や災害時の電力供給源としての活用推進などを挙げた。

また、26年以降に発売するEVトラックは「25年秋をめどに詳細をお知らせする」と表明。「バスとトラックの両輪で運輸部門の電動化を積極サポートする」と結んだ。
BYDの商用製品群(BYDジャパン提供)

BYDの商用製品群(BYDジャパン提供)



BAJ成長期入り PHEVとBEVで27年に7、8種

BAJの東福寺社長は「24年はBAJ創業期の総仕上げで、25年以降は成長期」との見方を示し、「今年も話題・拠点・実績づくりに全力で取り組む」と述べた。

「話題・拠点・実績」について、24年の成果は旗艦モデルと位置付ける「SEAL」の発売、店舗網拡大、試乗キャラバン実施、テレビCM放映に代表されるユーザーとのコミュニケーションなどとまとめた。
日本販売モデル。右から「DOLPHIN」「ATTO 3」「SEAL」「SEALION 7」

日本販売モデル。右から「DOLPHIN」「ATTO 3」「SEAL」「SEALION 7」



24年のBAJ販売台数は前年比58%増の2223台で、23年の発売から累計で4000台弱。日本市場のEV販売は輸入車が主力との見方を示した上で、BAJのシェアは輸入車の9.2%だったと明かした。

25年の取り組みでは、「さらなる商品発売で販売力を向上」することや、ジャパンモビリティショー出展、全国100店舗の完成などを挙げた。

PHEVについては「認証作業しだいだが、25年内に発売したい」との考えを示した。「BEV一本でなく大きな両輪を軸とした経営」をし、BEV・PHEVで「27年をめどに7、8モデル体制を構築」する方針。
「両輪」の商品構成がBYDの強みとした。(BYDジャパン提供)

「両輪」の商品構成がBYDの強みとした。(BYDジャパン提供)



投入モデルについては「すみ分けできる価格帯で、ラインナップの空隙を埋めようとしている」とし、自社商品間の競合を避けるため、慎重に考えていると話した。

25年4月発売予定の日本モデル4種目となる「SEALION(シーライオン) 7」は「スタイリッシュ・エレガンスのクロスオーバーSUV」と紹介。後輪駆動、四輪駆動の2種を展開し、一充電走行距離590キロ(WLTCモード)の同モデルについて価格やキャンペーンといった詳細は発売前に改めて案内するという。

個別取材に応じた東福寺社長の発言要旨は次の通り。

軽対抗の商品投入、PHEV増でBEV乗り換えも拡大

――「BEV需要踊り場」が取り沙汰されるが、背景を何と考える?
「米欧では700万円~800万円の高価格車からBEV普及が始まった。この価格帯の購買者層に行き渡った結果、24年の前年比伸び率が下がったのでは。米国のHEV販売は大幅増だが台数では小さく、BEVを下回る」
「BYDの商品構成は幅広く500万円を切る普及価格帯のBEV、PHEVが揃ってくる。今の航続距離は500キロ、600キロで燃費に優れたICE同様に走る」
――日本市場に投入するモデルはどんなものになるか。
「いろいろなタイプ投入で販売を加速するが、『ATTO 3』よりもう少し下、軽自動車に近い価格帯をもっておきたい。24年に一番売れた日本車『N-BOX』は250万円前後、中心価格帯に近づけばと思う。BYDの『SEAGULL(シーガル)』は中国で約200万円、『DOLPHIN MINI』は中南米の売れ筋で、ブラジルでは約1万台を販売している」
「面白い話があって、名古屋東店でBYDのBEVを買ったお客さまの3、4割がPHEVからの乗り換えだった。電欠が心配といっても実質はBEV運用で航続距離は足りている。ならエンジンはいらないとなり、BEVに収れんされるだろう。同じ『EV』でもあるし、PHEVに乗る人が増えるほどBEVに乗る人は増えると思う」
BAJ東福寺社長が個別取材に応じた

BAJ東福寺社長が個別取材に応じた

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