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核融合開発のHelical Fusion、福岡大学と「核融合倫理」の共同研究を開始

2025/10/27(月)

ヘリカル型核融合炉を開発するスタートアップHelical Fusionは、福岡大学人文学部と共同で、世界初となる「核融合倫理」の構築に向けた共同研究を開始した。核融合という革新的な技術がもたらす社会的・倫理的課題を事前に検討し、スムーズな社会実装と、エネルギーと人類の新たな関係性を探る。

フュージョンエネルギー(核融合)は、海水などを燃料とし、地上で太陽を再現する技術。
二酸化炭素を排出しないことから「究極のエネルギー」として期待され、世界中で開発競争が激化している。技術的な研究開発が急速に進む一方で、その技術が社会や人類に与える影響についての哲学的・倫理学的な議論はこれまで本格的に行われてこなかった。

AIやゲノム編集など、最先端技術の社会実装においては、倫理的な課題の検討が不可欠となる。核融合においても、発電所の立地や規制といった具体的な課題だけでなく「人類はエネルギーとどう付き合うべきか」という根源的な問いに対する議論が必要となる。今回の共同研究は、この課題に世界で初めて本格的に取り組むものだ。研究代表者は、Helical Fusionの田口昂哉CEOと、福岡大学人文学部で哲学・倫理学を専門とする林誓雄教授が務める。

Helical Fusionの田口CEOは、大学院で倫理学を専攻した経歴を持ち、「技術を開発するだけでなく、それが社会・人類・地球に及ぼす影響について責任を持つ意味で、早くから哲学・倫理学的観点からの考えを深める必要がある」と、研究の意義を語る。

一方、福岡大学の林教授は、「エネルギーの爆発的増大は、われわれ人類の価値観や生き方に大きな影響を及ぼす。エネルギーに満ち溢れた社会でどのような倫理的問題が浮上するのか、思索を深めたい」と述べている。

Helical Fusionは、日本独自の「ヘリカル方式」で2030年代の核融合実用発電を目指している。世界に先駆けて社会実装を進める日本から、技術開発と並行して倫理的な土台を構築することで、フュージョンエネルギーのスムーズな社会実装と、その先の未来における人類のあり方を探求していくとしている。

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