日立と日立パワー、複数拠点にまたがるエネルギー利用を全体最適化へ
2023/9/15(金)
株式会社日立製作所(以下、日立)らは9月11日、関東圏に広がる日立グループの約20カ所の事業所をデジタルでつなぎ、複数拠点にまたがるエネルギー利用の全体最適を図る取り組み開始を発表した。株式会社日立パワーソリューションズ(以下、日立パワー)と共に実施するという。
今回の取り組みの目的は、各事業所が有する再エネとオフサイトの再エネを複数拠点にまたがって融通し、デマンドレスポンス※1などの技術と組み合わせることにより、電力の需給バランスを調整することだ。※1 電気の需給バランスを一定にするため、需要側エネルギーリソースの保有者もしくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御することで、電力需要パターンを供給状況に応じて変化させること。例えば、空調や照明などの設備を調整・停止させることで電力需要を抑制する方法などがある。(プレスリリースより)
今回導入するシステムは、需要と供給がそれぞれ複数拠点の関係となる多拠点型のものだ。Energy and Facility Management as a Service (EFaaS)などを活用し、各拠点の空調設備や蓄電池、コージェネレーションシステム※2などの機器制御と市場取引システムを連動させ、一括管理する。これにより、再エネ電力を欲しい場所に、欲しい量を、欲しい時に分配し、需給バランスを安定させることが可能になる。そして、拠点ごとの取り組みでは難しかった、さらなる脱炭素化の推進と経済性向上の両立を図る。※2 ひとつのエネルギーから電力や熱など複数のエネルギーを同時に得るシステム(プレスリリースより)
さらに、同システムでは、電力の需要パターンが異なる多数の拠点を束ねることで、余剰電力が発生しがちな日中や週末の再エネの供給先を確保し、電力を無駄なく消費する。例えば、週末に稼働しない製造拠点で余った電力を、連続稼働するクリーンルームやデータセンターなどに融通することが可能だ。また、同システムでは、分散する各拠点が有するリソースを統合・制御し、電力の需給バランスを調整するVPPやデマンドレスポンスに基づき管理する。これにより、消費電力量およびCO2排出量の計画値に実績値を近づける制御と管理が可能になる。くわえて、余剰電力および調整力は、電力取引市場で運用することで対価を得ることも可能であり、設備の運用コスト低減に寄与する。
なお、日立は、今後多拠点の事業所において、需要側と供給側双方を統合管理し、全体最適化を行うことを可能とするカーボンニュートラルソリューションを提供する。これにより、企業による脱炭素化の推進を継続的にサポートしていくと述べている。
(出典:日立 Webサイトより)