日立 道路・交通事業者が有するIoT データを分析・可視化する 「交通データ利活用サービス」を提供開始
2018/3/14(水)
プローブ情報など各種データを分析し、利用者・乗客の利便性向上や業務の効率化を支援
株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、高速道路を運営・管理する道路事業者やバスの運行管理を行う交通事業者などに、各事業者が有するIoTデータを分析・可視化する「交通データ利活用サービス」を、4月2日から提供開始する。このサービスは、車両のプローブ情報*1などのさまざまなIoTデータを、地図やグラフなどで可視化し多面的に分析するもの。ユーザー先に交通データ分析プラットフォームを構築、提供するサービスと、ユーザーからデータを預かり日立が分析を代行*2するサービスの2つのサービス形態で提供する。プローブ情報から取得した車両の位置を日立の独自技術で補正することで分析精度の向上を実現するなど、利用者・乗客の利便性向上のほか、道路・交通事業者の新規事業の創出、業務効率化に向けた各種施策の立案を支援する。
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*1: GPSを搭載した自動車から得られる移動軌跡情報(緯度経度・時刻など)のこと。
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*2: 各種データは、道路・交通事業者などが、利用者・乗客から適切に取得することを前提。 日立は、データを道路・交通事業者から預かり、セキュアな環境下で分析する。
近年の少子高齢化により、道路・交通分野においても利用者・乗客および労働人口の減少が懸念され、道路・交通事業者は、利用者・乗客の利便性を維持向上しつつも業務を効率化するといった経営課題を抱えている。政府が推進するSociety5.0においても、超スマート社会の実現を先導するシステムとして高度道路交通システムの実現が期待されており、道路・交通関係のさまざまなIoTデータの活用が求められている。
今回提供を開始する「交通データ利活用サービス」は、プローブ情報やバスの乗降に関する統計情報といった交通関連のデータから交通量や輸送需要を分析・可視化し、渋滞対策や運行計画の最適化など、利用者・乗客向けサービスのさらなる向上や従来業務の改善を支援。プローブ情報の分析においては、道路の形状などを考慮した日立独自の位置補正技術*3により、正確に車両の位置情報を把握し分析の精度を高めている。
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*3: GPSによる位置特定では数10m~数100mの誤差が生じる場合があるが、道路の形状や車両の移動履歴から実際の走行位置を推定し補正することが可能。これにより、多くのデータを分析対象として採用することができるようになる。
日立はこれまで、道路交通データの利活用による新たな価値の創出に向け、大学の研究機関などとの研究・開発や複数の道路・交通事業者と実証事業を推進してきた。このサービスはここで得られた道路の交通量推定技術や位置補正技術といった独自の技術を実用化したものであり、IoTプラットフォーム「Lumada」のソリューションコアの一つだ。
日立は今後も、気象情報などのオープンデータとの連携や、AIなど最新のICTの活用による交通需要予測といった機能の拡充を進め、渋滞解消や交通事故削減、円滑な移動による安全・安心・快適な交通社会の実現に貢献していく。