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「自動運転の性能評価を」 日本自動車研究所(JARI)、自動運転評価拠点「Jtown」を公開

2017/11/8(水)


路車間協調の試験が可能な「V2X市街地」

旧模擬市街路を使って整備された試験場の1つが「V2X市街地」だ。片側2車線、全長400メートルの道路に、交差点が4カ所設置されている。交差点では、信号制御装置、路側無線機(760MHz)、歩行者・自動車センサーが整備され、コース手前には光ビーコンも設置されている。主な用途は、インフラ協調型安全運転支援システムと、グリーンウェーブ走行支援システムだ。

 

V2X市街地の様子。交差点ごとに信号機が設置されており、通信することで連動して作動することができる。写真中央下の装置に光ビーコンが設置してあり、車両の通過状況を読み取り、グリーンウェーブ走行支援の実験を行うことができる。



路上に設置された模擬建屋。これを使って擬似的に死角をつくり出すことができる。



 

インフラ協調型安全運転支援システムでは、一時停止などの規制情報や信号情報を車両に対して提供することができる。また、右折時に死角となる場所に車両や歩行者がいる場合、無線によりアラートすることができる。

 

 

 

現地では、グリーンウェーブ走行支援システムのデモを見ることができた。これは、光ビーコンを利用して、各交差点を青信号で通過するために必要な速度を車両に通知するものだ。この他にも、V2X市街地では、一番近い信号と、次の信号が同時に見えたときにきちんと認識できるかどうか、また矢印信号を認識できるかどうかなどの試験を行うことができる。

 

必要に応じて道を変更できる「多目的市街地」

旧模擬市街路を利用した2つ目の試験場が「多目的市街地」だ。一番の特徴は、コースの真ん中に100メートル四方のアスファルトの広場があることだ。

 

 

ここに、移動式の白線や縁石、障害物を自由に配置することで、さまざまな市街地の状況を再現することができる。利用目的に応じてY字路、変速交差点、合流、ラウンドアバウトなどの交差点に変えられる。

 

目的市街路の様子。大きなスクエアのゾーンが広がり、そこに交差点やラウンドアバウトなど、実験に必要な道路を再現できる。白線は写真中央上のような移動可能なものとなっている。今回、写真左上のような建物の影から歩行者が飛び出してくるという状況で、衝突回避ができる実験シーンが再現された。


 

また、この多目的市街地にはデジタルマップが整備されており、コースに工事など特異な状況をつくり出し、デジタルマップとのずれの評価を行うこともできる。

 

自動運転の標準化に貢献

このような自動運転を評価する施設は日本では初めてで、世界でもアメリカ・ミシガン大学のUMTRIなど、あまり数は多くない。世界に先駆けて自動運転の標準化を進めていこうという思惑があるようだ。

「JtownのJは、JARIの施設であると同時に、All-Japanの意味を込めている。オールジャパンで自動運転の評価拠点を盛り上げていきたい。評価拠点の使い方は大きく分けて2つある。1つはメーカー、サプライヤ、ベンチャー企業、または大学などとJARIの共同研究を行い、産学連携の拠点にしていきたい。一方、JARIは自動車業界の中立機関なので、日米欧共通の自動運転の試験方法・評価方法を先導してやっていく拠点にしたい。標準化に関わるルール作りに貢献していきたい」と永井氏は最後に語った。

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