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完全自動運転の社会実装を目指す群馬大学の取り組み LIGAREビジネスセミナー in 特装車とトレーラ展

2017/11/8(水)

群馬大学 次世代モビリティ社会実装研究センター センター長 太田 直哉 氏

群馬大学では、次世代モビリティ社会実装研究センターを2016年12月に立ち上げ、産官学が連携し、完全自動運転を社会実装することを目指して研究を行っている。群馬大学が描く自動運転の世界とは。センター長の太田直哉氏が講演を行った。

[LIGARE vol.34 (2017.7.31発行) より記事を再構成]


群馬大学が目指す完全自動運転の姿

群馬大学は、完全自動運転の車両を使った移動システムを社会位実装していくことをミッションとしている。では、その完全自動運転とはどういうものなのか。太田氏は「われわれが目指す完全自動運転は、今までの自動車の進化系ではない」と述べる。つまり、ドライバーが運転する現在の自動車が進化して自動運転車になるのではなく、自動車と完全自動運転車の間にはパラダイム・シフトがあるという。

例えば、現在普及しているスマートフォンは、携帯電話を駆逐したが、純粋に電話が進化したものではない。携帯電話は、電話するという機能を無線にし進化させたものだが、スマートフォンは電話ではなくコンピューターがモバイルになったということがルーツなのだ。それが通話の機能を取り込んだものなのである。スマートフォンがSNSなど多様なニーズに応えることができるように、ドライバーがいる自動車と、ドライバーレスの完全自動運転車は大きな違いがあるのだ。

 

群馬大学の完全自律型自動運転の普及アプローチ。最初は場所を限定して技術を確立しながら、実証とフィードバックを繰り返し開発を進める。



 

完全自動運転車は、まず空間という点で、大きな違いがある。ドライバーがいることを前提にハンドルやアクセルなど、さらに視界もつくられていたが、完全自動運転ではそれが必要なくなり、ただの空間となる。また、移動という点でも、人間の能力を超えた制御ができるので、渋滞の緩和などが実現できる。

一方で完全自動運転を実現するためのハードルもある。従来の自動車はあらゆる場所へいけるのが売りであり、道路がある限りどこにでも行けたが、自動運転があらゆる場所で全ての危険を認識するアルゴリズムをつくるのは極めて難しい。これにより、ドライバー支援型の自動運転を脱せないというのが大きな課題である。

 

完全自動運転の普及アプローチ

このような完全自動運転を、技術的に確立するだけでなく、社会に実装しようとするのがセンターの特長の1つだ。企業や自治体などと協議し、自動運転車両をどのように運用したらメリットがあり、一方でどういったデメリットがあるのか実験することに力を入れている。

最初の段階では、場所を限定して技術的な敷居を低くし、完全自動運転を実現する。あらゆる場所で動くのは難しいので、バス路線のように限定的で、ここしか走らないという環境があれば、周辺環境の認識はそれほど難しくない。次の段階では、そうした限定エリアで実際に運用し、データを収集し、フィードバックして開発に戻すことを行なう。この循環を繰り返しながら、ビジネスモデルを検討していく。

また、群馬大学が現在保持している技術では、2005年の段階で限定エリアの完全自動運転、カルガモ型の協調自動運転システムなどを実現している。

そして現在は、乗用車やトラック、バス、小型モビリティなど合計18台もの車両を自動運転車両として整備し、社会実装のために貸し出す計画をしているという。

 

センターの役割と設備

完全自動運転が実現すれば、パラダイム・シフトが起こり、これまでとは違ったモビリティ・サービスが可能になる。物流はもちろん、アミューズメントや医療、保険など大きな広がりを持つ。自動運転をより効率的に実現するために、産官学の連携で実験車両の作成、実証、検証、問題点の洗い出し、技術改善を行う先頭を切るのがこのセンターだという。

 

完全自動運転が実現すれば、自動車業界に限らずさまざまな異業種まで巻き込んだ事業が考えられっる。技術開発・研究から社会実装までをトータルで考えるのがセンターの役割。



 

具体的な施設として、完全自動運転総合研究開発施設を設置し、データの収集・分析を行なうデータセンター、交通のオペレーションを行なう管制室、自動運転の車両を改造したりメンテナンスをしたりする車両整備開発室、またシミュレーション室を持っている。また自動運転専用試験路を持っており、可動式の信号や標識などを設置し、自動運転のシチュエーションをつくり実験ができる。

また、オープンイノベーション協議会を立ち上げ、3つの部会をつくり、産官学の情報交換、交流を行っている。

 

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