MURCやDNPら、大規模災害を想定した被災地への共同配送の実証実施
2023/3/7(火)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(以下、MURC)らは、電子タグ(RFID)を活用した大規模災害を想定した被災地への共同配送による流通・物流網構築に向けた実証実験を実施する。3月6日付のプレスリリースで明かした。大日本印刷株式会社(以下、DNP)も同実証実験に参加している。
消費財サプライチェーンは、国民の消費生活を支えるライフラインであり、平常時だけでなく、災害等の非常時・緊急時における機能維持も重要だ。地震・豪雨等災害により交通インフラが寸断された場合に備えた対応は、大きな課題となっている。特に、日本は、人口の約8割が太平洋側の地域に集中しており、台風などによる風水害や今後の巨大地震も太平洋側で多く発生すると見込まれる。このため、太平洋側に大規模災害が発生した場合、安定した物資供給は困難になると想定される。同実証の目的は、生活必需物資を扱うメーカー・卸・小売間のサプライチェーンにおける在庫情報や輸送情報のリアルタイム共有や柔軟な物資供給ができる環境整備を図ることだ。そして、大規模災害が生じた場合でも物資供給を円滑に行うことを目指す。
また、同実証は、経済産業省委託事業「令和4年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT技術を活用した流通レジリエンス構築に向けた事例創出)」において実施する。MURCは、委託事業者として、災害時における消費財サプライチェーンの課題と対応策の検討等を担当。DNPは、実証実験用電子タグおよび関連機器の提供、実験実務の支援を担当する。
くわえて、同実証には、消費財メーカー6社、卸2社、小売1社、物流3社が参加する。消費財メーカーからの参加者は牛乳石鹸共進社株式会社、小林製薬株式会社、サラヤ株式会社、サンスター株式会社、大日本除虫菊株式会社、株式会社マンダムだ。卸では、株式会社あらた、株式会社PALTACが参加。小売では株式会社ツルハ、物流では関光汽船株式会社、新日本海フェリー株式会社、トランコム株式会社が参加する。
今回検討した状況は、太平洋側で発生した地震津波等の大規模災害により関東圏への主要幹線道路等(東名高速道路等)が寸断され、物流網が破綻したというものだ。西日本から日本海における重要な物流拠点である新潟を経由して関東および東北地方へ配送することを想定し、海上輸送、陸上輸送の二つの経路による共同配送を検証している。さらに、配送される商品に電子タグ(RFID)を貼り付け、メーカー(製造)から店舗(小売)までの配送経路において、いつ、どこに、何が、どれだけあるのかをリアルタイムで把握できる仕組みを構築し、有効性を検証する。
なお、MURCらは、今回の実証に先立って、海上輸送パターン実証実験を1月に先行実施している。この先行実証では、関西消費財メーカー6社の商品を関西物流拠点に集約し、敦賀港から新潟港までフェリーを活用し、関東卸物流拠点まで共同配送を行った。そして、電子タグ(RFID)を読み取り、情報共有システムに載せることにより、生活必需物資がいつどこにあるかを即時に把握可能であることを確認している。
今回実施する陸上輸送パターン実証実験は、関西地方から東北地方へ至る長距離を、メーカー・卸・小売の複数物流拠点でトラック間の積み替えを行いながら、複数のトラックが連携した共同配送を行う。その際、積み残しや積み間違い等の問題が生じることなく、確実に小売店舗へ生活必需物資を供給可能であることを検証するという。
(出典:MURC Webサイトより)