日本製紙、EV用バッテリー材料供給体制強化に向けハンガリーに子会社設立
2023/2/8(水)
日本製紙株式会社(以下、日本製紙)は、EVの車載用リチウムイオンバッテリー(以下、LiB)の、負極材料の一つとして用いられるCMC(カルボキシメチルセルロース)の供給体制を強化するため、ハンガリーに製造販売子会社を設立した。2月6日付のプレスリリースで明かしている。
CMCは、天然セルロースを高純度に精製したパルプを原料として得られるアニオン系水溶性高分子で、環境に優しい素材だ。優れた増粘性・吸収性・保水性から、食品・歯磨きペーストなどの日用品、製紙などの工業用途で以前から広範囲に使用されてきたが、近年ではLiB用途も大きく伸長している。同社開発品であるLiB用CMC(SUNROSE MAC)は、LiB負極材料(グラファイト)塗工液の高機能性添加剤として使用されている。均一な塗工膜の形成が可能になるため、EV車載用途でも国内外のLiBメーカーが使用しているという。
EV車載用のLiB市場は、脱炭素社会を目指したCO2の排出規制が進む欧州で急速に拡大している。さらに、欧州の自動車産業は、域内でのサプライチェーン構築を掲げ、中国、韓国などの自動車部品・LiBメーカーも欧州域内での工場建設計画を相次いで発表している。
日本製紙は、こうした状況に対応し、江津工場のLiB用CMCの生産体制を2021年に強化した。今回の子会社設立では、新工場の建設も予定している。新工場は2024年12月に稼働予定であり、売上高約50百万ユーロ、約60名の雇用創出を計画しているという。
なお、同社は、グローバルに展開するLiBメーカー・自動車メーカーに対し、日本の江津工場とハンガリーの2拠点から高性能なLiB用CMCを供給する体制を構築し、脱炭素社会の実現に向けて貢献していくと述べている。
(出典:日本製紙 Webサイトより)