NTTら、6G時代に自動車等での大容量通信に向けた分散MIMO実証成功
2025/3/28(金)
日本電信電話株式会社(以下、NTT)、株式会社NTTドコモ(ドコモ)、日本電気株式会社(NEC)は3月25日、基地局から複数のアンテナを分散配置する40GHz帯分散MIMO※1において、適切なアンテナおよびビーム※2を高速に選択する技術と、基地局側主導で無線端末側の受信周波数や受信タイミングが大きく変化することを防ぐ周波数・タイミング補正技術により、周辺を高速移動するバスやトラックなどに遮蔽される場合や無線端末自身が高速移動する環境においても、通信品質の低下を抑制する実証実験成功を発表した。
今回の実証では、分散アンテナ同時ビームサーチ技術(以下、技術1)の実証とアンテナ間で協調した周波数・タイミング事前補正技術(以下、技術2)の実証の2種類を行っている。技術1の実証成功により、通信品質の劣化を抑制できることを確認。技術2の実証成功により、アンテナ切り替え時におけるスループットの低下を抑制し、無線端末が100km/hで走行した際にも、安定して大容量通信を実現できることを実証している。
3社は、今回の実証成功により、自動車や列車など高速移動環境において、多数の乗客へ大容量コンテンツの提供や自動運転に向けた大容量センシングデータの収集などのユースケースに対して、ミリ波分散MIMOにより安定した大容量無線通信を実現できる可能性を示した。
なお、3社は、今後はミリ波による大容量化の有望なユースケースとして、自動車やバス、鉄道などの実サービス環境において実証実験を行い、高周波数帯分散MIMOシステムの適用領域を拡大する研究開発およびミリ波の社会活用促進を進めていくという。くわえて、今回の実験の成果は、5月15日から16日に開催される「つくばフォーラム2025」および5月28日から30日に開催される「ワイヤレスジャパン 2025×ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP) 2025」に出展するとのことだ。
※1 分散MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)
1つの基地局から多数のアンテナをエリア内に分散して配置し、それらの各アンテナとエリア内の無線端末との間でMIMO伝送を行う技術
※2 複数のアンテナ素子から同一信号を送信し、各素子間の位相差調整により特定方向へ電波の送受信レベルを高めるアンテナ技術。位相差を変えることにより、この特定方向を変更することも可能(プレスリリースより)
1つの基地局から多数のアンテナをエリア内に分散して配置し、それらの各アンテナとエリア内の無線端末との間でMIMO伝送を行う技術
※2 複数のアンテナ素子から同一信号を送信し、各素子間の位相差調整により特定方向へ電波の送受信レベルを高めるアンテナ技術。位相差を変えることにより、この特定方向を変更することも可能(プレスリリースより)

技術2概要
(出典:NTT Webサイトより)