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自動運転専業NTTモビリティ「30年代に千台を運行支援、数百億円」に

2025/12/18(木)

左からNTTモビリティの山下航太社長、永宮雅晴副社長。両者はNTTの自動車関連の事業をけん引してきた

左からNTTモビリティの山下航太社長、永宮雅晴副社長。両者はNTTの自動車関連の事業をけん引してきた

自動運転を専業で手掛ける新会社、NTTモビリティは12月17日、山下航太社長と永宮雅晴副社長が都内で会見した。同社は自動運転レベル4のバスやロボットタクシーといった車両、遠隔モニタリングほか路車協調のシステムなど実装に必要なハード・ソフト一式を自動運転サービスとして提供する。NTTグループの技術や拠点・人員網を利用しながら、グループの自動運転を統合する会社としてシステム開発企業、自動車OEMなど事業会社と共創して、低コストで早期に導入可能なサービスを提供する。

国土交通省が2030年で1万台の自動運転車サービス実装を目標に掲げる中、NTTモビリティは2030年代で1,000台以上の運行支援を通じ、年間収益で数百億円の事業規模を見込む。

NTTモビリティはNTTが100%出資して今年12月15日に発足した。本社を東京・赤坂に置き、人員は、自動運転サービスの開発者を中心に20人ほどを予定する。NTTグループが出資・提携する米メイ・モビリティ、仏Navya Mobility、ティアフォー、先進モビリティなど自動運転システム・車両を開発する企業の製品、遠隔モニタリングシステムを自治体・地域交通の事業者に販売したり、自動運転の導入や運行の支援、交通事業者に対するモニタリングのトレーニングなどを担当したりする。NTTモビリティは、2026年2月にNTTの武蔵野研究開発センタ(東京都武蔵野市)内に共創拠点「Co-Creation Hub」を新設し、技術検証を行う。4月には「統合モニタリングシステム」の実証も予定している。


日本各地の顧客との窓口の役割は実証・実装を手掛けてきたNTTグループ各社が引き続き担当する。NTTモビリティによると、各社は2024年度と2025年度で約35件の実証を担当し、地域の自治体や交通事業者から信頼が厚い。グループや事業者との間で培った技術、拠点網を生かして地域に最適な自動運転の実装に役立てる考えだと、会見した山下社長は話した。これまで各社が個別に設計してきたサービスを統合することが新会社発足の狙いにあり、コスト低減や全国展開で実装に弾みをつけて将来は自動運転の運用基盤開発につなげる考えという。NTTの技術と人のネットワークは差別化の要素だと誇った。


山下社長は、運転者の不足などを受けて、地域交通が非常に使いづらい地域がすでにあり、広がっているのが現状との見方を示した。打開には自動運転の実装が必要な一方で、実装には特に下記3点の大きな課題があると、NTTモビリティがとる解決策と共に挙げた。

(1)「安心・安全な自動運転」路車協調やNTTが推進する次世代通信「IOWN」も利用して自動運転の安全性をさらに高め、自動運転車の乗客となる各地の市民や一般車両を運転する人に「安心の自動運転」を認識してもらう。
(2)「全国各地でのサービス展開」地域を問わず汎用的に利用できるシステム・サービスを開発すると同時に、地域ごとの最適サービス導入にNTTグループが構築した関係を生かす。
(3)「サステナブルな事業運営」自動運転の導入・運用コストを抑えて事業採算性を確保できるサービス提供を図る。少ない人数(N人)で車両複数台(M台)を統合モニタリングする遠隔監視(N対M統合モニタリング)や、高速・大容量通信によって車載している走行制御をクラウドで行うことでコスト削減を図る。システム・車両の量産効果も見込む。


NTTモビリティは、NTTグループや事業者と共に25年度までの実装・実証の数を拡大し、レベル4の実装を進めて知見をサービス開発に役立てる。2028年度にかけて全国規模でサービス展開を図り、2030年代には1,000台超の運行支援を目指す。


人物以外の画像は全て提供:NTTモビリティ

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