大林組らが動的障害物を回避しながら自律飛行するドローン開発、実証も成功
2023/11/22(水)
株式会社大林組(以下、大林組)らは11月13日、トンネル坑内の非GNSS※1環境下において、動的障害物を回避しながら自律飛行するドローンの開発と世界初の※2実証試験成功を発表した。
※1:GNSS(Global Navigation Satellite System)
人工衛星を使用して地上の現在位置を計測する衛星測位システムのうち、全地球を測位対象としたもの。GPSはGNSSの一種
※2:自社調べ(2023年10月)。「トンネル坑内で動的障害物を回避し、自律飛行するドローン」として世界初(プレスリリースより)
今回の取り組みは、大林組と株式会社トップライズ(以下、トップライズ)で行ったものだ。さらに、カーネギーメロン大学機械工学科の嶋田憲司教授が主宰する、計算工学・ロボティクス研究室(CERLAB:Computational Engineering and Robotics Lab)の協力を得て、ドローンを開発している。人工衛星を使用して地上の現在位置を計測する衛星測位システムのうち、全地球を測位対象としたもの。GPSはGNSSの一種
※2:自社調べ(2023年10月)。「トンネル坑内で動的障害物を回避し、自律飛行するドローン」として世界初(プレスリリースより)
このドローンの特長は、トンネル坑内で作業中の人や重機を回避しながら掘削形状を計測し、計測結果と設計値を比較して、掘削不足箇所を重機オペレーターに指示する点だ。今回の実証では、実際のトンネル坑内で人や重機が動いている環境で切羽直前まで近づき、迅速かつ十分な精度で計測を行えることを確認している。
また、このドローンには、撮影した対象物の距離と色を認識するセンサー付カメラが搭載されている。このカメラとセンサーを活用し、検知した物体を独自のアルゴリズムにより動的障害物かどうかを判別する。くわえて、このドローンには、カメラから取得した情報を基にトンネル坑内の3次元地図を生成するためのコンピュータが搭載されている。これらの機能により、動的障害物を回避しつつ、目的地への最適飛行ルートを自動生成することが可能になる。
さらに、このドローンは、撮影したカメラ画像をSfM解析(※3)して掘削形状を計測。計測結果を基に設計値と実際の掘削形状を比較し、可視化することで重機オペレーターに掘削不足箇所を指示する。これにより、切羽付近への作業員の立ち入りが不要となり、重機オペレーターは、画面上で掘削箇所と形状を確認しながら作業できる。そのため、安全性・生産性・施工精度が向上する見込みだ。
※3 SfM(Structure from Motion)解析
複数枚の写真から3次元の形状を復元し、3次元点群を取得する技術(プレスリリースより)
なお、大林組とトップライズは、2023年度中にカーネギーメロン大学からプログラミングや操作の技術移転を受ける予定だ。そして、今後はさまざまな状況下での実証実験を重ねながら、トンネル工事の安全性と生産性の向上のため、自律飛行ドローンの実用化をめざすという。さらに、今回開発した動的障害物を回避しながら自動的に飛行ルートを生成する機能は、トンネルの掘削形状を計測する目的以外でも広く活用の場が見込める。そのため、両社は、他工種や建設業以外での活用も視野に入れて開発を進めると述べている。複数枚の写真から3次元の形状を復元し、3次元点群を取得する技術(プレスリリースより)
(出典:大林組 Webサイトより)