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博覧会協会・大阪商工会議所、夢洲での実証実験公募の採択結果発表 -詳細-

2021/6/10(木)

公益社団法人2025年日本国際博覧会協会(以下、「博覧会協会」)は5月31日、2025年大阪・関西万博の会場となる夢洲(大阪市)で取り組む実証実験の公募結果を発表した。公募に寄せられた39件の提案のうち、採択を受諾した9件が実験実施の候補者となる。今後、大阪府や大阪市と協議の上、実証実験を進める見通しだ。(前回記事より引用

本記事は「夢洲における実証実験の公募」で採択された9件について詳細を報告する。
概要については下記関連記事参照。


下記に夢洲における実証実験の公募 実験実施候補者一覧と各案件の概要を示す。(出典:大阪商工会議所 配布資料)

夢洲における実証実験の公募 実験実施候補者一覧と各案件の概要について

夢洲における実証実験の公募 実験実施候補者一覧と各案件の概要について


放射冷却素材SPACECOOL®の価値検証実証試験

SPACE COOLパンフレット資料より



大阪ガス株式会社(以下、大阪ガス)および共同参加法人(後述)は、世界最高レベルの冷却性能(日中最大外気温-6℃)の放射冷却素材「SPACECOOL®」の省エネ性・経済性・快適性・安全性を評価する予定だ。

共同参加法人のNTN株式会社は自然エネルギー発電に機動性を加えた移動型独立電源「N3 エヌキューブ」の外装にSPACECOOL®を施工・設置し、その効果を評価する。同じくカンボウプラス株式会社はテント素材とSPACECOOL®を一体化したテント生地を用いて実験用テントを製造・設置し評価をする。株式会社竹中工務店、セイリツ工業株式会社は分電盤にSPACECOOL®を施工した効果を検証する。

代表法人:
大阪ガス株式会社

共同参加法人:
NTN株式会社、カンボウプラス株式会社、SPACECOOL株式会社、セイリツ工業株式会社、株式会社竹中工務店

自動運転を活用した未来社会の実装検討

自動運転を活用した未来社会の実装検討のコンセプト

大阪市高速電気軌道の
実証実験概要



大阪市高速電気軌道株式会社(以下、Osaka Metro)および共同参加法人は万博輸送の模擬テストコースを構築し、自動運転車両の実用化に向けた技術と安全を含めたサービスの検証を行う予定だ。具体的には、レベル4を見据えた自動運転車両の走行実証、遠隔監視システムの構築、5Gネットワーク、信号等のインフラ協調、エネルギーマネジメントの技術検証が実施される。

またOsaka Metroは、将来の自動運転化による様々な技術・サービスについても活用可能性を検証する予定だ。具体的には、車両乗降における顔認証決済、パーソナルモビリティのシェアリングシステムや車両エネルギーマネジメント、車内の映像コンテンツや、道路の非接触充電・発電・自然循環配慮型舗装等について実証が行われる。

代表法人:
大阪市高速電気軌道株式会社

共同参加法人:
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、株式会社NTTドコモ、株式会社大林組、関西電力株式会社、株式会社ダイヘン、株式会社ティアフォー、凸版印刷株式会社、日本信号株式会社、パナソニック株式会社、パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社、BOLDLY株式会社

超スマート社会のサインシステム
~レーザーとドローンによる大空への空間描画~

阪大および関西電力の水素スクリーンへの投影例



国立大学法人大阪大学レーザー科学研究所(以下、阪大)および関西電力株式会社(以下、関西電力)は、ドローンを活用し、水蒸気とレーザー描画により、空中に大きな絵を描く実証実験を行う予定だ。参画法人の実証実験では、水蒸気散布による疑似スクリーンが形成される。また空間スクリーン生成技術と、走査型レーザープロジェクタによる空間描画技術の実証が行われる。

また阪大の計画では雨天・風が強い場合の対応として、透過型スクリーン(網)による実証実験も併せて行うとしている。今回の実証実験の将来活用用途として、昼夜を問わず、非常時の注意喚起や避難場所への誘導等、必要な場所に臨機応変に情報発信する手段としての活用が期待される。

代表法人:
国立大学法人大阪大学レーザー科学研究所

共同参加法人:
関西電力株式会社

マイクロコミュニティを実現するスマートポール実証実験

関西電力のスマートポール実証実験概要



関西電力および共同参加法人は小規模なコミュニティに対して、空間“マイクロコミュニティグリッド”の実現を目指す検証を行う予定だ。具体的には、マイクロコミュニティグリッドを構成するスマートポールが開発される。

スマートポールの機能として太陽光発電および蓄電池によるカーボンニュートラルなエネルギーシステム、防犯カメラによる盗難抑止システム(SVaRe:Smart Various Recorder)を搭載される予定だ。さらにはドローンポートによるドローンへの非接触充電機能およびドローンと防犯カメラとを連携させた防犯機能(威嚇・抑止機能)、見守り機能(迷子・高齢者徘徊など)の有効性を検証される。

代表法人:
関西電力株式会社

共同参加法人:
株式会社エネゲート、株式会社日本ネットワークサポート、株式会社ダイヘン

グリーンインフラの高度化に関する実証実験

住友林業および住友林業緑化の実証実験図



住友林業株式会社(以下、住友林業)および住友林業緑化株式会社(以下、住友林業緑化)は気候変動による緑化植物の被害を抑制できる技術の実証実験を計画している。具体的には、都市部の街路樹を想定した薄い土壌厚への対応、雨水や潅水の余剰水の利用、耐潮性のある植物の実証が行われる。

住友林業と住友林業緑化の実証実験では、一般的に耐潮性があると言われている14種の植物を1.5mx0.5mのトレーに1本ずつ植栽すことが3回繰り返される計画だ(14種×3本×0.75㎡=31.5㎡)。

代表法人:住友林業株式会社
共同参加法人:住友林業緑化株式会社

Drone Entertainment&Advertising Experiment

株式会社セブンセンスのドローンによる広告運用の実証実験概要



株式会社セブンセンス(以下、セブンセンス)および共同参加法人はドローンコンテンツを夢洲で使い実証実験を実施する。セブンセンスは様々なエンターテインメントおよび広告表現の可能性を確認・検証される。具体的には、国内最大規模のドローン1000台利用したコロナウイルスに打ち勝つ未来へ進んでいくショーが計画されている。

代表法人:
株式会社セブンセンス

共同参加法人:
株式会社スマートメディア、株式会社ハイブリッドコンサルティング

都市型自動運転船「海床ロボット」による都市の水辺のイノベーション実証実験

竹中工務店による海床ロボットの実証実験概要



竹中工務店および共同参加法人(後述)は、都市型自動運転船「海床ロボット」が都市内水域を動かす実証実験を行う予定だ。具体的には、水面に床(3m四方)を浮かべ、自動で動き、離着岸する「海床ロボット」が開発される計画だ。

用途としては「渡し船モデル」「レストランモデル」等の応用展開や「運搬ドローン連動機能」「自動離着岸機能」「複数連結機能」等の段階開発を通じて技術開発が進められる。

代表法人:
株式会社竹中工務店

共同参加法人:
国立大学法人東京海洋大学海洋工学部清水研究室、株式会社IHI、炎重工株式会社、株式会社水辺総研、新木場海床プロジェクト、一般社団法人ウォーター・スマート・レジリエンス研究協会

超軟弱地盤における「NSエコパイル®」打設&引抜き実証実験および「カルシア改質材」による支持力改良実験

日本製鉄のNSエコパイルおよびカルシア改質土の実証実験概要



日本製鉄株式会社および共同参加法人は、2つの実証実験を行う予定だ。NSエコパイル®を構造物(パビリオン、大屋根、他)の基礎とする計画だ。万博閉幕後に杭の引抜き・整地を確実に行うための実証および確認が行われる。また夢洲の土壌改質にカルシア改質土を用いて支持力不足等の問題解決につなげる実証実験が行われる。

代表法人 :
日本製鉄株式会社

共同参加法人:
株式会社エムオーテック、東洋テクノ株式会社、日鉄建材株式会社

空飛ぶクルマによる飛行体験”Experience the Sky”

LIFT AIRCRAFT社製eVTOL「HEXA」



LIFT AIRCRAFT INC.および丸紅エアロスペースは、一人乗りの電動垂直離着陸機(eVTOL)“HEXA”を使った実証実験を行う予定だ。実証実験では幾つかの飛行パターンから体験飛行での最適な高度やスピード、騒音・振動など環境への影響や操縦者の乗り心地等や安全性の確認が行われる。

代表法人:
LIFT AIRCRAFT INC.

共同参加法人:
丸紅エアロスペース株式会社

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