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蓄電池で海上輸送 パワーエックス、電気運搬船初号船の詳細設計発表

2023/5/29(月)

「電気運搬船」の初号船

株式会社パワーエックス (PowerX, Inc. 以下、パワーエックス)は5月25日、電気で動き、搭載する蓄電池で電力を海上輸送する電気運搬船の初号船の詳細設計を発表した。
同社は、2025年に世界初の電気運搬船完成を目指しており、2026年より国内外で実証実験を予定している。また、電気運搬船を活用した海上送電事業を推進するための新会社「海上パワーグリッド株式会社(Ocean Power Grid Inc.)」を2023年の第3四半期中に設立するという。新会社は、電気運搬船の所有、国内外への電気運搬船の販売および海上送電のオペレーションを担当。国内外の事業パートナーを募集している。

また、2026年から国内外の実証実験を行う予定のPower Ark 100の初号船「 X(船名)」は、船長140メートルの電気推進船だ。船に搭載されるコンテナ型船舶用電池は、96個で合計241MWhとなる。さらに、船に搭載する蓄電池は、同社独自設計のモジュールで、安全性に優れたリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池セルを使用し、6000サイクル以上の長寿命を実現している。岡山県内で自社生産し、2024年中に出荷する予定だ。

くわえて、同社は、海上送電という新しい概念やカーボンニュートラルポートの実現に向けて、九州電力株式会社と横浜市港湾局と連携する。再生可能エネルギーを電気運搬船を用いて送電する実証実験について共同で検討するため、それぞれ覚書と連携協定書を締結した。

特に、地震が多く深い海底に囲まれた日本では、電気運搬船は有効な選択肢だ。海底ケーブルの故障や修理までの長いダウンタイム、超高圧接続・変電のコスト等の問題が解消される。これにより、今まで海底送電ケーブルの敷設が困難だった地域でも、風力発電所の設置が可能になる。なお、同社は、電気運搬船による海上送電の活用は、洋上風力にまつわるさまざまな課題を解するという。そして、同技術により、日本だけでなく世界中の再生可能エネルギーの普及に貢献すると述べている。

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