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7日間の初BEV体験で楽しさ実感 日常使いに求めるものは?

2024/5/10(金)

「次世代の自動車」と聞いて多くの人の頭に浮かぶのが「BEV」だと思う。興味がある、次で買い替えを検討しているという方も多いだろう。LIGAREでは今回、BEV初体験ドライバーの道山さんに7日間の試乗をしてもらい、その思うところを取材した。

一方、BEVに必須の「充電環境」をはじめとする諸条件が購入のハードルになっているのも事実。BEV普及に取り組むHyundai Mobility Japan(ヒョンデ)、EV関連のサービス開発に熱心なセゾン自動車火災保険の協力を得て、もっと多くの人がBEVに乗るには何が必要か探った。

Sponsored by セゾン自動車火災保険

試乗体験者 道山圭介さん
横浜市在住、市内で物販業を営む39歳。BEVの運転は今回が初めて。愛車は、2015年発売のHEV「プリウス」。仕事や家族の送り迎えなどで週5日ほど運転する。月平均の走行距離は約1000キロ、ガソリン代は6500円ほど。

「圧倒的にカッコいいコックピット」体験車両KONA

「最新ガジェット好き」という道山さんはBEVの試乗に興味津々。一方で「充電が面倒そうな感じがあって、リセールバリューが安いと聞くのも気になる。BEV=エコと言われるのには疑問をもっている」と率直に話してくれた。

次、買うクルマはSUVを考えているという道山さんが体験する車両は、ヒョンデのコンパクトSUV「KONA」(コナ)。4種あるグレードのうち上位の「Lounge」をヒョンデ直営のショールームHyundai Customer Experience Center横浜(以下CXC、横浜市港北区)で借りた。
体験車両「KONA Lounge」

体験車両「KONA Lounge」


KONAの詳細はこちら
https://www.hyundai.com/jp/kona
案内してくれたのはヒョンデの西尾さん。的確なクルマの説明はもちろんのこと、道山さんと同モデルのプリウスに乗っていた時期もあり、会話が弾んだ。

KONAの外観、内装を目にして道山さんが大きく心打たれたポイントが一つある。「コックピットが圧倒的にカッコいい」ことにだ。大きなディスプレイ2面が広がるインフォテインメントシステムをはじめ「ガジェット好きの心をつかんでくれる」と評する。高価格帯の「IONIQ(アイオニック) 5」と比べても「KONAの方が断然上」。
KONAコックピット(KONAデジタルカタログより)

KONAコックピット(KONAデジタルカタログより)



USBがType Cなのにも「感動」。回生ブレーキパドルや、360度の高画質映像で駐車をサポートする「サラウンドビューモニター」機能にも驚きの声を上げた。KONAをさっそうと駆り、道山さんはCXCから7日間のBEV体験に出発した。スタート時は充電96%で、航続可能距離は377キロ。

「パパ、次これ買って!」家族で満足

道山さんが7日間走ったおよその走行距離や、運転しての気づきは次の通り。

1日目(3月21日) 20キロ:仕事先に行った後、自宅へ。車内がとても広いのに、家の車庫に止めやすい!
2日目 100キロ:自宅から東京湾アクアラインを通り、千葉・木更津まで往復。道が詰まっているときは4段階の回生ブレーキを強めにするとブレーキペダルを踏まずに済み、滑らかに走る。
3日目 15キロ:家族でプチドライブ。4人乗っても車内は広々と快適で、最新のクルマに家族のテンションも上がりまくり。
4日目 5キロ:習い事に行く子供の送迎で活用。
5日目 100キロ:納品や仕入れで仕事先を回る。帰宅時の航続可能距離は約130キロだった。
6日目 5キロ:航続可能距離は朝100キロに減っていた。前夜寒く雨が降っていたのが原因か。走ると今度は増え始めた。
7日目(3月27日) 15キロ:自宅からCXCへ。到着時の充電は19%、72キロだった。

木更津にて道山さん撮影

木更津にて道山さん撮影


道山さんはKONAを運転しての感想を「コックピットは本当に気に入ったし、目線が高く、視野が広くなり、とても運転しやすい。車室が広い上に価格以上のラグジュアリー感があり、家族も喜んでくれた。乗れて楽しく感じた」と話した。

シートやステアリングホイールにヒーターが付いていて、体の触れる部分が直接温まるなど細かい部分もよく考えられていると評価。完成度が高い満足なクルマだと言う。

ご家族との外出でも、助手席に座る奥様は「これぐらい広いと楽だよねと強調していた」と道山さん。後部座席に座るお子さん2人はディスプレイやサンルーフ、ヘッドライトがカッコいいと喜んでいて、「パパ、次のクルマこれ買って!」の言葉も飛び出したそうだ。

充電料金、設置費には負担感

KONAを返却した道山さんはCXC内の急速充電器で初めての充電を体験。CXCの急速充電は出力45kWで、30分充電すると電池残量は19%から、47%まで回復した。その間に道山さんはKONAの良さを西尾さんと語り合ったり、航続可能距離の増減や、充電に関するお金関係について尋ねたりしていた。

航続可能距離について、西尾さんは「気温が低いと距離は短くなりがちですが、走っているうちに電池が温まって距離が伸びることはよくあります。長い下り坂でもよく伸びますよ」と説明してくれた。

充電関連のお金については、いろいろなケースがあるが、西尾さんは一例としてCXCで使われている充電について教えてくれた。

CXC内の急速充電器を使うために必要なe-Mobility Powerの「急速・普通併用プラン」だと、月額料金4180円+急速27.5円/分、普通3.85円/分(いずれも税込み)。また、6kW普通充電器を自宅に設置する場合、ヒョンデが扱っている充電器だと工事費込みの目安額が37万円(税込み、設置場所の状況によって上下)。この数字について道山さんの反応は「もっと安く使えると思っていた」。自宅の駐車場に充電器を置くのは、前向き駐車限定になったり、車庫内の物を整理したりといった問題がありそうという。
試乗したKONAの電池容量は64.8kWh(ベースグレードのCasualのみ48.6kWh)なので、ゼロから満充電にするなら、45kWの急速充電で84分、6kW普通充電で11時間ほどの計算。なお、家庭での電気代は指標として使われることが多い「電力料金目安単価」31円/kWh(税込み)で考えると、64.8kWhなら2009円。
※(公社)全国家庭電気製品公正取引協議会(家電公取協)が家電の電気代算出に用いる単価。全国の電力料金を踏まえて決定される。

BEVに何を求める?

充電の完了後、道山さんにBEV初体験の感想や購入についての考えをインタビューした。

――KONAを気に入られたようですね。体験前後のBEVの印象を教えてください。
BEVには、デリバリー車両のような小さくて軽い、チープ感のあるイメージをもっていました。でも、KONAは、自分のプリウスよりも車室が広くて高級感や重厚感があり、そういうBEVもあるんだなと。1週間乗ってみて、KONAは価値のあるクルマだと思います。HEV、ガソリン車と同じに乗れると実感でき、いい経験でした。


――電欠が不安ということでしたが、実際はいかがでしたか。
高速を走るときは電池の持ちが想像以上によかった一方で、寒い夜の翌朝大きく減っていたのは気になりました。十分に持つと油断していると、次の日、距離が足りないこともあるかなと。常に充電を考えるのはかなり心配です。また、自宅に充電器を置くのは前向き駐車限定になりそうだったり、車庫に置いている自転車や家族の物を片付けたりと厳しそうなので、外で急速充電になると思います。

今乗っているプリウスでは毎月だいたい1000キロ走っていて、給油は月1回、約40リットルでガソリン代が約6500円です。KONAで同じ距離を走るなら、充電96%で航続可能距離377キロなので、月3回充電する計算になります。

45㎾の急速充電でゼロから満充電まで84分かかるとすると、27.5×84=1回2310円が3回で6930円となり、月4180円の基本料金を足して約1万1000円です。今より4500円高くなり、さらに充電のために4時間超とられます。これを最大のデメリットに感じました。

――現状、KONAやそのほかのBEVに乗り替えたいと思いますか?
二択なら「思わない」ですが、「思わない」を1、「思う」を10とすれば、体験前の1が4になったイメージです。変な話ですが、KONAがHEVだったら、少し高くはありますが、欲しいと思います! そのくらい質がいいクルマだと感じました。
道山さんの愛車プリウス(ナンバー部分を加工)

道山さんの愛車プリウス(ナンバー部分を加工)


――ハードルに感じるのはやはり充電でしょうか。
はい。充電の管理や料金はとても気になりますね。充電のために外へ出て、必要な時間やお金が増えるというのは…。急速充電のスポットが街中に3、4キロ間隔で設置されたり、10分くらいで200キロ分を充電できたり、満充電で500~600キロ走るクルマが出てきたりすると変わるかなと感じました。

あと、リセールバリューのところもです。今乗っているプリウスは3年前に150万円の値段がついたので、そこのところも含めて次のクルマを選びたいと思っています。

――こうなったらBEVを買うという条件はありますか?
本体価格がガソリン車並みになった上で手軽に充電できたり、充電料金がガソリン代よりも抑えられたりが、まずクリアされてほしい条件ですね。

みんなの気がかり解決に知恵を集める

道山さんが話してくれた「今は乗り替えない理由」は、BEVに関心をもつ多くの人が感じているものだ。セゾン自動車火災保険によるEV試乗体験者を対象とする調査でも、同様の意見が見られた。

同社はEV関連のサービス開発に力を入れている。23年11月、保険契約者を対象にBEV試乗会を開催。ヒョンデをはじめとするBEVのディーラーと組んだ初の試みは好評を博した。

参加者アンケートでは、「BEV買い替えで気になる点」に「価格」や「外出先での充電スポット」、「BEV以外に買い替える理由」に「自宅や近くに充電スポットがない」「リセールなど含めまだわからないことが多い」が挙がった。

セゾン自動車火災保険は、こうしたドライバーの役に立とうとサービス作りに努めていて、情報を精力的に発信している。

保険契約者向けサービスサイト「SA・PO・PO」内で、特設サイト「HOW TO EV~教えて!はじめてEV~」を23年秋より運営。「BEV初心者のお困りごと解決」につながる情報を掲載している。関連の事業者と一緒に新しいサービスを生み出し、BEV普及と事業作りに取り組む。

■保険契約者向けサービスサイト「SA・PO・PO」
https://www.ins-saison.co.jp/benefits/index.html

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