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セイノーラストワンマイル、国の統計外「コミュニティー配送」に注力 多様な担い手で新市場開拓

2025/9/22(月)

セイノーホールディングス傘下のセイノーラストワンマイル(SLO)は、国の宅配便統計には含まれない「コミュニティー配送」や自家物流といった領域のラストワンマイル事業を強化する方針を明らかにした。ネットスーパーや置き配、小荷物配送など、多様化する生活ニーズに対応した配送ネットワークを構築。多様な担い手を育成・活用し、新たな市場を開拓することで、社会全体の物流品質向上に貢献する。

国土交通省が毎年発表する宅配便取扱個数などの統計は、日本の物流全体を把握する上で重要な指標だが、その定義上、集計対象外となるラストワンマイルが存在する。SLOは、ネットスーパーの即時配送やフリーペーパーの配布といった、地域に根ざした多様な配送形態を「統計を補完するもう一つのラストワン-マイル市場」と位置付け、この領域での事業展開を加速させる。

近年の生活者の購買行動の変化により、少量・高頻度の配送や置き配といった新たなニーズが急増している。SLOは、こうした変化に対応するため、グループ傘下の事業会社を通じて各領域に特化したサービスを展開している。

例えば、ネットスーパー宅配の領域では、ココネットが地域に根ざした担い手ネットワークを活用し、注文から数時間以内のスピーディーな配送を実現。非対面ニーズが高まる置き配の領域では、LOCCOが建物ごとのルールをデータベース化することで安心・安全な配送を推進し、再配達率を2.8%まで低減させることで環境負荷削減にも貢献している。

また、ECやサブスクリプション向けの小荷物配送「コニポス」は、地区宅便と日祐が担う。さらに、地域の配送事業者と連携する共創プラットフォーム「PostLink Alliance」を立ち上げ、全国的なネットワーク構築を進めている。フリーペーパー配布などの領域では、リビングプロシードが全国の地域スタッフ「エリアパートナー」を組織し、配布業務だけでなく、清掃や軽作業といった地域の多様なショートワークにも対応する。

これらの多様な配送を支える人材の確保・育成も大きな課題だ。SLOはこの課題に対し、独自のドライバー育成プログラム「HanaLogi」を立ち上げた。配送スキルだけでなく、接客やコミュニケーション能力も含む包括的な教育を行い、地域に根ざしたプロフェッショナルな担い手を輩出。これにより、サービス品質の向上と安定した人材供給の両立を図る。

SLOは、配送網を共創する「PostLink Alliance」と、人材を育成する「HanaLogi」を二本柱とし、これまで統計では捉えきれなかったラストワンマイル市場を整理・体系化。生活者、事業者、地域社会がともに成長できる持続可能な物流モデルの構築を目指すとしている。

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