実社会に組み込まれる無人自動走行移動サービスの創出 日本総合研究所
2017/11/29(水)
国が取り組みを加速し始めた限定地域での無人自動走行移動サービスですが、技術面や規制面の検討に注目が集まる一方で、実社会のどのようなユースケースが妥当であるかの検討が不十分なのが実情です。我々は実社会に組み込まれる無人走行移動サービスの創出を地域交通事業者と共に実施してきました。今回はその背景をサマリーでご紹介しております。
[LIGARE vol.30 (2016.11.30発行) より記事を再構成]
すでに大学や企業による公道での自動走行技術実証も進められており、この流れでいけば、政府のロードマップのとおり、2020年度にはサービスが普及し始めているかもしれないと、その期待も大きく感じることと思います。では、無人自動走行移動サービスの早期導入が求められる『限定地域』とはどのような地域なのでしょうか。
当社は、国が図1のロードマップを出す前の2013年から、無人自動走行サービスの導入が切実に求められる地域を図2のように整理して検討してきました。
袋小路は一般車両往来が少なく、更に丘陵地となると歩行者や自転車の移動も少なくなる特徴があります。低速運行をサービスとして成立させるには、近距離移動でも車両に乗車して移動したいというニーズが強い、高齢者が多い地域を対象とすることが妥当です。人口密集地については、単純ですが住宅地になります。住宅地周辺は「生活道路(※1)」となるため一般車両も30km/h以下の低速走行規制があてはめられるという地域特性もあります。
[LIGARE vol.30 (2016.11.30発行) より記事を再構成]
限定地域での無人自動走行移動サービスとは
国が官民ITS構想・ロードマップ2016で提示したように『限定地域での無人自動走行移動サービス』の実現に向けた取り組みが加速しています。これは、制限された区域(限定地域)内において、地域公共交通に近いイメージのサービスを行おうとするものです。基本的には、限定地域内から地域公共交通までをつなぐ移動手段という想定ですが、自宅玄関前からの乗降の可能性も検討されています。すでに大学や企業による公道での自動走行技術実証も進められており、この流れでいけば、政府のロードマップのとおり、2020年度にはサービスが普及し始めているかもしれないと、その期待も大きく感じることと思います。では、無人自動走行移動サービスの早期導入が求められる『限定地域』とはどのような地域なのでしょうか。
実需があり事業継続性が期待できる限定地域こそが当初の導入先
無人自動走行移動サービスの導入には、安全の確保をはじめとしたさまざまな面からの検討が欠かせません。実際、技術面を見ると、イレギュラーな状況への対応にまだ不安が残るため、歩行者や自転車、一般車両の往来が激しい地域への導入は時期尚早といえます。規制面では、重大事故を避けるため、20km/h以下での走行しか認められておらず、国際基準においては自動ハンドル操作は10km/h以下の走行の場合のみに限定されています。また、事業継続面を考えれば、利用者が見込めない過疎地は厳しく、ある程度の人口密集地を選択せざるを得なくなります。当社は、国が図1のロードマップを出す前の2013年から、無人自動走行サービスの導入が切実に求められる地域を図2のように整理して検討してきました。
袋小路は一般車両往来が少なく、更に丘陵地となると歩行者や自転車の移動も少なくなる特徴があります。低速運行をサービスとして成立させるには、近距離移動でも車両に乗車して移動したいというニーズが強い、高齢者が多い地域を対象とすることが妥当です。人口密集地については、単純ですが住宅地になります。住宅地周辺は「生活道路(※1)」となるため一般車両も30km/h以下の低速走行規制があてはめられるという地域特性もあります。
(※1)警察庁では、平成21年に最高速度規制に係る交通規制基準の見直しを行い、生活道路については「歩行者・車両の通行実態や交通事故の発生状況を勘案しつつ、住民、地方公共団体、道路管理者などの意見を十分に踏まえて、速度を抑えるべき道路を選定し、このような道路の最高速度は原則として30km/hとする」ことを定めた。
これらの検討を進める中でサービス導入を最も必要とする地域は『40~50年前に全国的に展開された住宅地であるオールドニュータウン』と結論付け、実証調査などその実現に向けた活動を進めています。なお、このようなニュータウンは、日本総研の推計では、全国に2,000カ所程度存在します。 1 2
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