ソフトバンク、誤差数センチで鮮魚を運搬するドローン物流の実証実験実施
2021/9/2(木)
ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)は、高精度測位技術を活用したドローン物流の実用化に向けた実証実験を実施した。2021年8月31日と9月1日に和歌山県すさみ町で行っている。9月1日付のプレスリリースで明かした。
ソフトバンクは、高精度測位サービス「ichimill(イチミル)」とドローンサービス「SoraSolution(ソラソリューション)」を提供している。「ichimill」は、準天頂衛星「みちびき」などから受信した信号を利用して、誤差数センチメートルの測位を可能にするサービスだ。固定局と移動局の2つの受信機を利用し、リアルタイムに2点間で情報をやりとりする、RTK(Real Time Kinematic)測位という手法を利用している。「SoraSolution」は、簡易にドローンを活用してもらう事を目的としたサービスだ。操縦者の技術に依存せず「誰でも」「簡単に」ドローンを利用することができる。危険を伴う高所作業でも、ドローンを使うことで、高所作業のリスクを低減や労働環境の改善が図れる。作業コスト・運用コストの削減も期待できる。
今回の実証実験は、すさみ町の名産品「すさみケンケン鰹」を、水揚げした見老津漁港から約3km離れた「道の駅すさみ」まで自動航行した。イームズロボティクス株式会社(以下、イームズロボティクス)および株式会社ウフル(以下、ウフル)の協力の下で実施した。イームズロボティクス製のドローンと「ichimill」を連携し、事前に設定したルートを複数回自動航行した。この結果、誤差約6.5cmの精度で着陸している。
さらに、同実証実験では、ウフルのモバイルオーダーシステム「売り子ール」を使用した。「売り子ール」は、オンライン決済のPayPayに対応したウフルのモバイルオーダーシステムだ。ユーザーが「道の駅すさみ」内のレストランから自身のスマホで料理を注文すると、その内容が漁港の関係者とレストランのスタッフに届く。これにより、漁港の関係者は水揚げしたばかりの新鮮な魚を注文に応じてドローンで運搬し、レストランは届いた鮮魚を調理してユーザーに提供することができる。
すさみ町は、実証実験の結果を踏まえて、観光客などに新鮮な魚を味わってもらえるよう、ドローンによる鮮魚の運搬の実用化を目指す。同時に、災害時の支援物資の配送や、物流網に課題がある山間部の居住者への医薬品配送などでドローンの活用を検討する予定だ。
なお、ソフトバンクは、「ichimill」や「SoraSolution」を活用しながら、さまざまな技術を持つ企業と連携する。これにより、今後の規制緩和に向けた有人地帯での目視外航行や、補助者なしでの航行(レベル4)にも取り組む。都市部を含めた全国各地において、物流・点検・防災など幅広い分野でドローンを活用し、地域・産業の発展や社会課題の解決を目指すと述べている。
(出典:ソフトバンク Webサイトより)