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初出展スズキの「小さく美しい」協業 仲間と世界の生活インフラ企業へ

2025/1/23(木)

スズキがCESに初出展。仲間との協業の一端を披露

スズキがCESに初出展。仲間との協業の一端を披露

スズキがCESに初出展し、「電動モビリティベースユニット」を用いて、提携する企業と共同開発する自動運転システムなどを「Impact of the Small(小さなものづくりが、大きく社会を変える)」をテーマに展示。同社とパートナー企業による製品群は来場者の注目を集めた。

ワンマイル配送に除雪に活躍、電動ベースユニット

「電動モビリティベースユニット」(Versatile micro e-Mobility)は、ロボットの足回りとして2026年の生産開始を計画している。スズキが長年手掛ける電動車いすの技術を応用した製品で、車いすに求められる安定性・凹凸の走破性を特徴とする。パートナー企業へ提供し、さまざまな用途で活用を見込む。
電動モビリティベースユニット(スズキのプレスリリースより)

電動モビリティベースユニット(スズキのプレスリリースより)



ブースではユニットそのものの他にも、ユニットを利用してパートナー企業が開発したロボットが展示されていた。

パートナー企業の1社でスズキが出資するLOMBYによる自動配送ロボット「LM-A」はラストワンマイル物流に用いるもの。最高時速6キロで商品を自動配送する。エバーブルーテクノロジーズによる自動除雪ロボット「除雪ドローンV3」は積もった雪を取り除く従来の除雪に対して、雪の降り始めから稼働することで積雪を防ぐ。


スズキは乗用の自動運転モビリティも展示。豪州の企業Applied EVとは自動運転用の電動台車を共同開発。台車をそのまま自動搬送車(AGV)として使ったり、台車の上に架装したりといった利用を想定している。ブースでは大型モニターを台車の上に吊り、動画で自動運転を紹介していた。
電動台車と架装した自動運転車のイメージ

電動台車と架装した自動運転車のイメージ



米国で専用レーン隊列走行、通勤渋滞を緩和

また、米企業Glydways(グライドウェイズ)による、26年以降に米国の3都市、サンノゼ、アトランタ、コントラコスタで導入予定の都市交通システムも紹介。専用レーン上を自動運転で隊列走行させる。車両は4人乗り、最高時速50キロで走行する。シリコンバレーの中心に位置し、通勤時間帯の渋滞が慢性化しているサンノゼでは、専用レーンを建設し、空港から中心街を新交通システムで結ぶ計画だ。


時間帯によって稼働する車両の数を柔軟に増減できるのが特徴で、輸送能力は1時間で最大1万人。従来の公共交通に比べて初期投資、運用コストを大きく減らせるという。スズキは24年にGlydwaysに出資しており、車両の開発や生産で協業を検討している。

また、スズキは1961年以来生産する軽トラック「スーパーキャリイ」を展示。創業以来のものづくり理念「小・少・軽・短・美」を体現した製品として同モデルを出品した。

「小・少・軽・短・美」とは、「製品はコンパクトに(小)、シンプルに(少)、軽く(軽)、スピーディーに(短)開発し、その調和は必然に美しいもの(美)になる、という理念」(プレスリリースより)。

スズキがCESに出展するのは、1909年(明治42年)の創業以来、今回が初めて。出展の目的は、「理念に共感する仲間たちと出会い、仲間たちと共に、世界中の人々に移動の自由を提供する」(リリースより)ことだ。
ものづくり理念を初のCES出展で訴求

ものづくり理念を初のCES出展で訴求



世界で未来の暮らしを変える

スズキはトヨタ自動車、ダイハツ工業とBEVユニット・プラットフォームを共同開発。スズキ初のBEV「e VITARA」は25年春よりインドで生産し、トヨタにOEM供給する。同モデルは夏をめどにインドだけでなく日本や欧州でも発売予定だ。


また、スズキは24年にティアフォーと資本業務提携を行い、同社の自動運転ソフトウェアと「小・少・軽・短・美」ノウハウによる自動運転サービス開発を進めている。ほか、24年には電動モビリティベースユニット利用の農機を共同開発する会社に出資したり、ソフトウェア開発会社と共同で移動販売事業者向けサービス事業を始めたりと盛んに協業をしている。


また、スズキのインド子会社は、24年12月、電動モビリティベースユニットと新興企業の先端技術を組み合わせた社会問題解決について現地の教育機関と合意。「Project VmeM(Versatile micro e-Mobility)」を締結した。同国の酪農企業にも出資して牛ふんを原料とするバイオガス・プラント事業を拡大する構え。

モビリティだけでなく「生活に密着したインフラ企業」を目指した新しい取り組みを、スズキは日本の内外で進めている。

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