変わる、電動化で自動車の構造 TIが強化する車載半導体の事業戦略とは
2023/6/8(木)
(写真左から)
左:日本テキサス・インスツルメンツの社長 サミュエル ヴィーカリ氏
右:テキサス・インスツルメンツ シニア バイスプレジデント グローバルマーケティング担当 キース C. オグボーニイーヤ氏
左:日本テキサス・インスツルメンツの社長 サミュエル ヴィーカリ氏
右:テキサス・インスツルメンツ シニア バイスプレジデント グローバルマーケティング担当 キース C. オグボーニイーヤ氏
テキサス・インスツルメンツ(以下、TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツ(以下、日本TI)は5月23日、東京都内にある品川シーズンテラスカンファレンスで、車載半導体事業戦略の記者会見を開催した。TIは、半導体の供給能力を高めるため、生産性の高い300mmウェハー工場への投資を進めていき、電気自動車(以下、EV)の充電時間の短縮や長距離の走行ができるようサポートしていく。
■電動化で大きく変化 変わる自動車の構造
近年、世界中で自動車の電動化が進み、各社でEVの販売を強化している。また、半導体技術によって性能が最適化され、開発が加速してきた。これにより、EVの半導体搭載量は増加傾向にある。TI シニア バイスプレジデント グローバルマーケティング担当のキース C. オグボーニイーヤ氏は、このような自動車産業の情勢について「自動車のアーキテクチャ(構造)全体が大きく変化している」と述べた。
TIでは、電動化に伴い自動車の構造に起きているダイナミックな変化と半導体がシステムに与える影響について、3つのシステムにスポットライトを当て紹介した。
EVの効率化を担うトラクション・インバータ
エンジンの代わりに、電動モーターからトルク(回転力)と動力を得て、クルマを動かす。また、これらのモーターは、必要な電力とトルクを生み出すために、400V DCで動作しているが、将来的に多くのシステムが800-V DCに移行する予定だ。
バッテリー管理システム(BMS)による信頼性の向上
400Vおよび800Vのリチウム充電池のセルをしっかりと監視し、バランスを維持。また、幅広い製品ポートフォリオと、システムに関する豊富なノウハウにより、R&D資源を節約し、新しいプラットフォームに合わせて設計を拡張する。
車載充電器によるシステムの効率化
車載充電器(OBC)は、外部電源とクルマのバッテリー管理システムをつなぐ役割を果たす。半導体技術を用いて電源を取り込んだ上で、その電源を調整・制御して効率を最大限に高め、排気を抑える。また、多くの車載充電システムは400Vで動作しているが、現在開発中のほぼ全てのプラットフォームで800Vがサポートされる予定。
■半導体の供給力を高める300mmウェハー製造工場
TIでは、今後10年~15年にわたり半導体事業の成長をサポートするために、300mmウェハー製造工場への投資を続けていく。アナログおよび組み込み製品に最適な45nm~130nmプロセステクノロジーノードを生産する予定だ。これにより、半導体の供給力を高める。
日本TIの社長であるサミュエル ヴィーカリ氏は「自動車業界のお客様が必要とする45nm~130nmのテクノロジーノードを提供することで、お客様のニーズに応えていく」と、今後の半導体事業への意気込みを語った。
▼関連記事▼