トヨタやSCGら、タイにおけるカーボンニュートラル実現に向けて合意
2023/4/4(火)
Siam Cement Group(以下、SCG)ら3社は、タイにおけるカーボンニュートラルの実現に向けた協業を進めるために基本合意書を締結した。トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)が4月3日付のプレスリリースで明かしている。
今回の取り組みは、SCG、トヨタ、Commercial Japan Partnership Technologies株式会社(以下、CJPT)の3社で実施している。SCGとトヨタは、共同でエンジンの製造会社Siam Toyota Manufacturing Co., Ltd.を1987年に設立した。翌年にはSCGが、トヨタのタイ現地法人であるToyota Motor Thailand Co., Ltd.に資本参加している。SCGとトヨタは、それ以降、タイ社会・経済の発展とともに事業を成長させながら、長年にわたり強固な信頼関係を深めている。今回の合意では、さらに協業範囲を広げ、エネルギー、データ、モビリティの3領域で、タイの資源を生かす。そして、タイならではのカーボンニュートラルへの取り組みを進めていくという。
具体的な取り組みとしては、エネルギーソリューション分野では、水素をはじめとする再生可能エネルギーの活用、エネルギーマネジメントに取り組む予定だ。バイオマスや廃棄食料など、これまで見過ごされてきた資源を活用した水素製造や、他国に先行する太陽光や水力を活用した発電などタイの豊富な資源を活用することで、タイならではの再生エネルギーを活用する。
データソリューション分野では、コネクティッド技術の活用による、積載効率向上や配送ルートの最適化を通じた、物流・人流の効率化に取り組むとのことだ。これにより、タイの通信基盤と、SCGとCJPTの有するビッグデータを活用することでモノの流れや人の流れを効率化し、「今すぐできるCO2低減」を実現する。
モビリティソリューション分野では、タイのエネルギー事情や経済状況、走行距離や積載量といったユーザーの使われ方に応じ、HEVやBEV、FCEVなどさまざまな電動車を提供する。そして、より低燃費な車両への置換を含め、多様なニーズに応えながら着実にCO2を低減する予定だ。
また、3社は、これら3領域に「今すぐ取り組む」ために、タイの経済特区において、エネルギーを「つくる」・「はこぶ」・「つかう」自立循環型の社会実装を実施。そして、効果を検証、他の地域にも展開できる原単位を作ることに取り組むという。くわえて、実際に協業を通じて削減できたCO2量をもとに、タイ全土に広げた際の効果を算出し、カーボンニュートラルへの取り組みを可視化することにも挑戦していくとのことだ。
ほかにも、3社は、今回の協業を含め、アジアでのCJPTのカーボンニュートラルへの取り組みをさらに加速させるために、必要な手続や準備が整い次第、タイに新会社「CJPT-Asia」(仮称)を設立する。さらに、今回の協業には、CJPTのアジアの取り組みとして、日野自動車株式会社も参画して検討を進めているという。なお、3社は、カーボンニュートラルは全産業・全国民が一体となって取り組むべきものであることから、さらに想いを共有する仲間と広く協力していきたいと述べている。
▼関係者のコメント
■SCG 社長 兼 CEO Roongrote Rangsiyopash氏のコメント このプロジェクトは、国際的な先進企業の技術革新を促進するだけではなく、2050年までにカーボンニュートラル、2065年までに温室効果ガス排出量ゼロを達成するというタイの目標に向けて、地球温暖化の危機に対する産業界の協力を促す重要な役割を担っています。これは、SCGのESG 4 Plusの考え方とも合致するものです
■トヨタ 社長 佐藤恒治氏のコメント
昨年12月、SCGと当社のトップ同士が面会した際、『タイのためになることは仲間と共に実行すべき』との強い想いを共有できたことが今回の公表につながりました。長年、パートナーとして多大なるご協力をいただいているSCGと協業を進められることとなり、大変心強く思っています。SCGやCJPTとともに、私たちのタイ事業を支えてくださっているタイに恩返しができるよう、カーボンニュートラルに向けた歩みを加速していきます
■CJPT 社長 中嶋裕樹氏のコメント
CJPTは今回の協業を通じ、タイの人流・物流を改革しながら、今すぐできるCO2削減に、様々な仲間とともに取り組んでいきます。タイ社会への感謝の気持ちを大切にしながら、人々の生活の質の向上に貢献していきたいと考えています
(出典:トヨタ Webサイトより)