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見た目や広さはもう要らない?マッチングアプリから見えたZ世代のクルマの使い方 – 後編 –【寄稿:Z世代モビリティ研究所】

2023/12/7(木)

「買う、借りる、シェアする」など、様々な使い方や付き合い方が出てきたクルマ。
そんな中で、Z世代はクルマにどんな価値観を持っていて、クルマに何を求めているのか? そんな「Z世代にとってクルマって何?」を様々な視点から探っていきます。イマドキのクルマ文化をZ世代自身が探っていく企画第1弾の後編です。

Z世代モビリティ研究所へようこそ! 現役女子大生(21)のみさです。

本記事は、「【Z世代モビリティ研究所】見た目や広さはもう要らない?マッチングアプリから見えたZ世代のクルマの使い方」の後編になります!

前編をまだご覧になられてない方は、こちらからご覧ください。

前編では男女のマッチングにおける、Z世代のクルマの見た目や広さに対する価値観を紹介しました。
後編では、恋愛におけるZ世代のクルマの使い方をより深掘りしていきます!

クルマは「会話を弾ませる最高のツール」

まずは「なぜZ世代は数ある選択肢の中からクルマデートを選ぶのか?」の本質に迫るトピック。インタビューからクルマという空間自体が「会話」に最適な要素を取り揃えているということが見えてきました。

ドライブデートの良いところを聞くと、こんな答えが返ってきました。
Z世代の声⑥ ドライブデートはより深い話がしやすく、お互いに打ち解け合えるようです。
L.Yさんの答えからは、相手と会話するという目的に最適なのがクルマという手段なのだということが伝わります。

この他にも、たくさんの答えが聞けたんですが、どうやら「3つの“ない”」がキーワードのようです。

1.話題が尽き“ない”

車内では様々な移り変わりがあります。その最たる例が「音楽」と「景色」です。
音楽に関してはこんな声がありました。
Z世代の声⑦ 音楽を流していれば「この曲好き!」や「普段こういうジャンルは聴くの?」など、会話に困っても自由に音楽を変えて話すことができます。
また、無言になっても無音にはならないのも、すごく大事なようで。好きな音楽が流せるから、「一緒に音楽を聴いている」という雰囲気が生まれます。

また、ドライブしている間は周りの景色が変わり続けます。「左側にタワーが見える!」や「この道初めて通った〜!」など、常に新しい話題を提供してくれます。
音楽も景色も移り変わる、だから話題も尽きないという点が、Z世代から評価されているようです。

2.目が合わ“ない”

目が合っていると、仕草、表情などが無意識に「人に見せる用」に切り替わります。目が合わないことで、自然と会話に集中できます。

実際に女性側からこんな意見が。
Z世代の声⑧ U.Nさんのこの意見、私も激しく頷きながら聞いていました。
原因としてやはりコロナ期間のリモート授業が大きいと感じています。
対面でのコミュニケーションに不慣れで、苦手意識を持っているZ世代にとっては、目が合わないのはとても重要なポイントですね。

3.遮られ“ない”

外部からの邪魔が入らないというのは、おそらくクルマだけが持つ特徴でしょう。
居酒屋で店員さんがお料理を持ってきてくれたり、カラオケでフロントから電話がかかってきたり、などなど。お店では、店員さんの存在が会話を一瞬止めてしまうことって「あるある」だと思います。

話を切り出すのに緊張していたり、ちょっと深い話をしていたりすると、そういった遮りはとても致命的です。遮りを回避できるクルマは、とても優秀なのだと思います。

ここまでで、お互いのことを知る上で最も重要な「会話」をする最適なツールとしてクルマが選ばれていることがわかりました。
では、何のためにお互いのことを知りたいのか。それはもちろん「自分との相性やパートナーとして求める条件を満たしているか」を確かめるためです。

「会話」のその先にある「見定め」の場としても、クルマは機能しているようです。

見定めの場としてのドライブ

男性からは「ドライブは自分を見定めてもらう、信頼してもらう場」という意見があった一方で、女性からは「ドライブだから見られる男性の言動がある」という意見が出ました。

まずは男性側の意見を紹介します。
Z世代の声⑨ 彼なりの戦略が見え隠れしています。
クルマだと目的地を自由に設定・変更できます。これは2人の時間をコントロールすることに直結すると言えます。

相手ともっと話したいから寄り道してみたり、逆にあまりにも話が弾まないなら折り返して帰ったりもできるのが、彼にとっての価値になっているようです。

さて、女性側の意見は?
Z世代の声⑩ これは私もキュンとしちゃいます…!!

渋滞や歩行者の飛び出しなど、運転中にアクシデントは付き物です。こういう時こそ、助手席の相手、もっと言えばドライブデートの相手に対して、どれくらい気を遣ってくれるか。運転手の本当の性格が見えるというもの。

そしてこれは逆も然りです。道に迷ったときに助手席で経路を調べてくれたり、危ないときは知らせてくれたり。
ドライブデートは相手の性格を見極めるためのツールと言っても過言ではなさそうです。
しかし私たちはこれに留まらず、「マッチングアプリ×ドライブ」だから聞けるもう少しディープな話も聞いてきました。

男性のエスコート力を支える「縁の下の力持ち」

クルマは持っているだけで提案の幅を広げてくれるだけでなく、ホスピタリティやエスコートの能力値を底上げしてくれるようです。

実際に女性からこんな声を聞きました。
Z世代の声⑪ ドライブデート中に、女性は男性がどれだけ尽くしてくれるかを測っているのかもしれませんね。
送迎はもちろん、デートの選択肢も広がるし暖房を入れたりなどのちょっとした気遣いもしやすい分、男性にとっては武器が増えたようなものと考えられそうです。

そんな心強いパートナーであるクルマから、男性はどんな恩恵を受けているのか。
インタビュイーのQ.Rさんが分かりやすく教えてくれました。

お酒を飲まないZ世代にとって、ドライブは救世主

デートのド定番である「飲み」を選択できないZ世代にとって、ドライブデートはとても大きな存在となっているようです。

実際にQ.Rさんはこう言っていました。
Z世代の声⑬ どの世代にも「お酒が飲めない」という人は一定数いますが、Z世代はそれだけでなく「飲みたくない」という人もたくさんいます。
実際にBIGLOBEが実施した若年層の飲酒に関する意識調査では、「お酒を(あまり)飲みたくない」「特別な時のみお酒を飲みたい」との回答が合計約8割に上ります。
そんなZ世代において、ドライブデートは居酒屋デートの代替として大きく台頭しうる存在であると言っても過言ではないように思えます。
もちろん「2人きりが怖い」という意見は無視できませんが、これまでの洞察などを踏まえても、初対面での誘い文句として男女ともに一定以上支持を集めることに変わりはなさそうです!

クルマだからできる「試行錯誤」のコントロール

相手の反応を見て雰囲気づくりの「試行錯誤」ができること、
これもまたドライブデートだからこそ受けられる恩恵の一つだと、Q.Rさんが教えてくれました。
Z世代の声⑭ 確かに、音楽を流して歌い始めればカラオケボックス同然の楽しい雰囲気を作れますよね。
空間プロデュース能力次第で、相手の内面にさらに深く踏み込めます。

ここまで様々な視点からZ世代のクルマに対する価値観を深掘りしてきました。
最後に、クルマが本来持っている「移動手段としての価値」に触れた声を紹介します。

移動手段としての変わらない価値

クルマがあることでデートに繋がったり、パートナー選びの決め手になったりする他にも、クルマの移動手段としての価値はこれからも不変なようです。
Z世代の声⑮ クルマがあれば相手の「行きたいところがある!」に応えることができます。デートに行くまでのハードルをぐっと下げるとも捉えられますね。

また、H.Mさんが言うように距離や時間の制約があっても、クルマでの移動ができるということがそのまま制約を「どうにかできる」ことになります。
き合っていく上での障壁を解消することができるのは、やはり大きいようです。

まとめ

今回のインタビューから、Z世代がクルマをただの移動手段ではなく、コミュニケーションの空間として捉えているということが分かりました。
また、車内の雰囲気をコントロールできる点も重要なクルマの価値です。

これらから、主に男性にとってクルマは自分をアピールするためのツールであり、「一種のエンタメツール」にもなっていると言えそうです。

最近の自動車にも「クルマ=エンタメツール」という潮流が見られます。

実際、先日開催されたJapan Mobility Show 2023でも、映像コンテンツなどをより楽しみやすいように設計されたコンセプトカーが登場していました。(私たちもイベント会場に足を運び、自分たちの目で見てきました!)

「AFEELA」の車内の様子(提供:LIGARE)

「AFEELA」の車内の様子(提供:LIGARE)



また、自動運転も自動車業界の潮流の一つですが、研究所メンバーからは「Z世代の恋愛と自動運転は相性が悪いのではないか」という意見も出ました。
目が合わないからこそ話せることがあったり、ハンドルを握る横顔にキュンとしたり…。自動運転でそんなドライブデートの醍醐味がなくなってしまうことが心配です。

「Z世代にもっとクルマを使ってもらう」という視点から、今後はこんな課題を考えていく必要がありそうです。

– 「クルマ=エンタメ空間」という認識とその魅力を、Z世代にも伝えていくにはどんな手段が効果的か?
– 自動運転のような技術が発展していくなかで、ドライブデートの魅力をどう残していくことができるか?

ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。
Z世代モビリティ研究所連載記事第1弾はいかがでしたか?
私たちはこれからも「Z世代にとってクルマって〇〇」を追っていきます。

研究員にはモビリティに詳しい・興味があるメンバーに加えて、筆者をはじめとする、実はそこまで詳しいわけじゃないメンバーもおります。
みんなでワイワイあーでもない、こーでもない、と頭を悩ませながら今後も色々企画していきますので、ぜひチェックしてくださいね。
それではまた次回。次のテーマもお楽しみに!

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Z世代モビリティ研究所では、共同調査やZ世代を対象としたイベントの実施など、モビリティとZ世代を繋ぐご依頼をお待ちしています。これまで、自動車ディーラー様や損害保険会社様と共同で、大学生を対象に、クルマをより身近に使ってもらうためのイベントや広報活動を行ってきました。
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