特集

正しい運転姿勢をとるには?手順とメリット、肩こり・腰痛の予防策

2023/12/22(金)

運転中に、肩・腰などにコリや痛みを感じた経験がある人は、多いのではないでしょうか?体に負担のかかる姿勢で長時間の運転を続けることは、思わぬ体のトラブルにつながりかねません。そこで今回は、正しい運転姿勢や悪い運転姿勢、さらに肩こりや腰痛を防ぐポイントを専門家に解説してもらいます。記事の後半では、簡単に取り組めるストレッチも紹介しますので、ぜひ活用してください。

解説にあたっては、兵庫県西宮市で開業している藤本整形外科循環器内科クリニックの院長・藤本哲穂氏と、同クリニックで理学療法士として勤務する泉本厚史氏に話を伺いました。

Sponsored by デンソーテン

正しい運転姿勢をとる主なメリット

●運転操作をしやすい

まず、正しい運転姿勢(ドライビングポジション)をとるメリットは、運転操作がやりやすくなる点が挙げられます。ハンドルや、アクセル・ブレーキなどフットペダルを操作しやすいポジションをとることで、普段の運転がしやすくなるのはもちろん、万が一の急ハンドルや急ブレーキの場面にも対応しやすくなります。

●視界が広がりやすい

正しい運転姿勢をとれば、運転中の視線が高くなります。視線の位置が高くなれば、運転中の視界も広がり、ドアミラー・ルームミラーも見やすくなり、安全な運転につながります。反対に、前のめりの姿勢や、シートを必要以上に後ろに倒してもたれかかる姿勢だと、視線の位置が下がってしまい、運転中の死角が増えてしまうので注意が必要です。

【専門家の解説】

藤本氏:正しい運転姿勢は安全運転につながるものですが、運転中の疲労を軽減し、結果的に肩や腰などへの身体的な負担を軽くする姿勢でもあります。体格による個人差はありますが、できるだけシートを高くすることで、運転面での危険が減り、体の負担も減ると言えます。
藤本整形外科循環器内科クリニック 院長 藤本哲穂氏

藤本整形外科循環器内科クリニック 院長 藤本哲穂氏


正しい運転姿勢と悪い運転姿勢

●正しい運転姿勢

まずは、正しい運転姿勢を確認しましょう。ポイントは、背中と腰、ひじ、足、そして頭の位置です。それぞれ以下の通り解説していきます。

▼ポイント1:シートの前後を調整
アクセル・ブレーキペダルをしっかり踏み込めるよう、シートスライドで前後を調整する。左足はフットレストに置く。
▼ポイント2:シートと腰・背中のすき間をチェック
背中と腰全体をシートに預けられるポジションになるよう、座る位置や背もたれの角度を調整する。
▼ポイント3:ひじの角度を確認
ひじは直角よりも少し伸ばすくらいで、適度に曲げている状態が基本。
▼ポイント4:ヘッドレストを正しい位置に
後頭部をしっかりヘッドレストに預けられる高さに調節する。自分の耳の位置がヘッドレストの真ん中にくる高さを目安に。
正しい運転姿勢の例(撮影協力:寝屋川自動車教習所)

正しい運転姿勢の例(撮影協力:寝屋川自動車教習所)


●悪い運転姿勢の例

▼ひじが伸び切っている・極端に曲げすぎている
正しいひじの角度で運転しないと、ハンドル操作が難しくなります。
▼シートの前後の位置が遠すぎる・近すぎる
シートの前後が適切なポジションにないと、アクセル・ブレーキペダルを踏み込みにくくなります。
▼シートと背中・腰にすき間が空いている
シートと体にすき間が空いている姿勢も、ペダルをしっかり踏み込みにくくなります。もしもの急ブレーキの場面で体が起き上がってしまうおそれがあるので要注意です。
▼ヘッドレストと頭にすき間が空いている
ヘッドレストの高さが正しい位置にないと、万が一交通事故が起きたときや急ブレーキを踏んだとき、首への衝撃が大きくなり、大ケガにつながるおそれがあります。

誤った運転姿勢の例(撮影協力:寝屋川自動車教習所)

【専門家の解説】

藤本氏:正しい運転姿勢の基本は、まず背中全体が適度にクッションされている状態を作ることです。シートポジションを調整して、シートに背中と腰を適度に預けられる状態にしましょう。

次にハンドルの位置。ハンドルを握るときは、自動車教習所でも習うと思いますが「10時10分」が基本です。このポジションは、運転操作がしやすいのはもちろんですが、腕の重さをハンドルに預けられるので、体への負担も軽くなります。

意外と認識されていないのが、シートベルトの調整です。シートベルトは体をシートへと固定するものなので、肩・腰ベルトを正しく着用することで体のブレを減らし、筋肉への負担も軽減できます。実は、肩ベルトの高さは変えられますから、自分の体をしっかり固定できる位置に調整してみてください。

シートベルト、肩ベルトの調整

肩こり・腰痛を引き起こしやすい運転姿勢と予防・改善策

先ほど解説した「悪い運転姿勢」は、運転操作がしにくいだけでなく、体への負担を増し、肩こりや腰痛を引き起こすおそれがあります。では、特にどんな姿勢に注意する必要があるでしょうか?

●肩こり・腰痛を引き起こしやすい運転姿勢の例

・シートと腰の間にすき間ができた状態
・リクライニング(背もたれ)を倒しすぎ、体が後傾しすぎた姿勢
・肩や背中を丸めた姿勢(猫背・巻き肩・反り腰)
・ひじが伸びきったり、極端に曲げすぎたりした姿勢
・片手ハンドルなどで、体の片側に負担がかかる姿勢

【専門家の解説】

藤本氏:運転中の肩こりや腰痛は、基本的に周辺の筋肉を使い続けることによって起こります。体に力が入った状態で長時間運転を続けることで、筋肉疲労・筋肉痛へとつながるんです。

例えば、ひじが伸びきった状態だと、肩や首への負担が増えます。また、シートと体の間にすき間があると体がグラグラしてしまい、本能的に真っすぐ保とうとして力が入りますから、腰痛につながる場合もあります。腰の位置が安定していないと視線も不安定になるので、眼精疲労による肩こりにもつながりかねません。

やはり、身体的な負担を減らすためには、正しい運転姿勢をキープすることが大切です。

藤本哲穂院長。インタビュー中の様子。

●肩こりや腰痛の予防策

前述した通り、運転中の肩こりや腰痛を予防するには、正しい運転姿勢を維持することが大切です。ただし、個人の体格差や車の形状によって、適切なポジションが異なる場合があります。運転を始める前に、自分にとって最適なドライビングポジションを確認しておきましょう。

また、運転を長時間していると、徐々に正しい姿勢は崩れ、無意識に楽な姿勢をとってしまいがちです。信号待ちなどのタイミングで正しい姿勢へ調整しなおすように心がけましょう。

【専門家の解説】

藤本氏:人間は無意識のうちに自分が楽だと感じる姿勢をとってしまいます。ただ、それが確実に正しい運転姿勢だとは限りません。例えば、猫背の人が「背筋を伸ばそう」と意識して、かえって“反り腰”と呼ばれる腰に負担がかかる姿勢をとってしまう場合もあります。

正しい運転姿勢を知っていれば、運転中もおのずと姿勢を維持するように心がけるようになれると思います。ただし、自分が正しい姿勢をとれているのか判断するのは難しい面もありますから、理学療法士などの専門家に相談するのも一つの方法です。

また、身体的な負担を考慮するなら、1時間に一度は運転を中断して休憩することをおすすめします。理想を言うなら、車から出て立ったり歩いたり、体を軽く動かしたりした方がいいですね。

●肩こりや腰痛を改善するストレッチ

ここからは、藤本整形外科循環器内科クリニックの理学療法士である泉本厚史さんに伺った、肩こりや腰痛を改善するストレッチを紹介します。運転前後や休憩中にぜひ試してみましょう。

▼肩甲骨を開くストレッチ
立った状態でも、座った状態でもOKです。片方の手を伸ばして、もう片方の手を使って体の方へと引き寄せます。運転中はつい“巻き肩”の姿勢になりがちですから、この動きで肩甲骨に刺激を与えます。

肩甲骨を開くストレッチ

▼タオルを利用した首周りのストレッチ
まずタオルを首にかけ、タオルの両端を持って前方向に引っ張ります。そして、頭を後方に傾けて、頭の重さをタオルに預けながら、首を回転させる動きを行います。

首をダイナミックに回す運動なので、ゆっくり動かすのがコツです。速く動かしたり、無理にボキボキ音を鳴らしたりするのは、首に痛みが出るおそれがあるので避けましょう。



▼座ったまま体を斜め後方にひねるストレッチ
まっすぐ座り、下半身は正面に向けたまま、上半身を左右どちらかにひねります。ひねった先で、ベンチやイスの“へり”の部分を両手でつかむと効果的。ひねった反対側の体の側面が気持ちよく伸びていればOKです。

ひねるときに下半身を動かさないように意識しましょう。椎間板ヘルニアなど腰の疾患がある人は、無理にひねらないように注意が必要です。



▼壁を使って肩や背中を伸ばすストレッチ
立った状態で、両腕を上に伸ばして手のひらを壁に付けます。両足は少し後ろに引いて、上半身の体重を壁の方へと預けながら、上半身の背中側を伸ばします。この動きで、肩や背中周りの筋肉を全体的に伸ばすことができます。


【専門家の解説】

泉本氏:運転中はずっと同じ姿勢をとり続けていますし、座っているだけでも筋肉は疲れます。運転のときに使った筋肉を、反対方向に伸ばす意識で行いましょう。血流を改善することで、コリや疲労感の軽減につながります。

藤本整形外科循環器内科クリニック リハビリテーション室 室長 泉本厚史氏(理学療法士)

藤本整形外科循環器内科クリニック リハビリテーション室 室長 泉本厚史氏(理学療法士)


正しい運転姿勢は体への負担を減らし、安全運転にもつながる

前述したように、正しい運転姿勢を知り運転中に維持することは、身体的な負担を減らすだけでなく、高い視野を確保できるため安全な運転にもつながります。反対に、悪い姿勢で運転を続けると、体への負担が増すだけでなく、とっさの運転操作に影響するおそれもあります。座り続けるだけでも体への負担はかかっていますから、なるべくこまめに休憩をとることも大切なポイントです。

また、肩こりや腰痛は、車の運転以外にもさまざまな要因がありますから、運転以外の時間も含め、普段から正しい姿勢を意識することも重要です。日々の業務に追われていると、自分の体のケアまで気が回らないかもしれませんが、ぜひ今回解説した内容を無理のない範囲で実践してみてください。
offsegイメージ画像

▼デンソーテンの通信型ドライブレコーダー「Offseg(オフセグ)」の強み

POINT1: トラブルをふせぐ
メインユニットと通信ユニットを分離して名刺サイズに小型化された本体は、運転席からの視界もしっかり確保。さらに、標準設定のカメラは、フルHDで200万画素、2カメラ一体型で約360°の撮影が可能で、高画質に広範囲を録画できます。さらに後方をしっかりカバーしたい場合は、オプション設定でリアカメラの取り付けも可能です。

POINT2: 事故をふせぐ
人的事故要因の約7割を占める、安全不確認や前方不注意など主要な12シーンをAIが自動で検出し、管理者や運転者に警告、通知することができます。さらに、信号無視や車間距離不足といった6シーンは、リアルタイムに警告することも可能です。

POINT3: ムダをふせぐ
Offsegは、安全運転管理、車両管理の効率的な運用にも貢献できます。個々のドライバーの運転行動を評価する「安全運転診断」や、「運転日報・月報の自動作成」など、日々の業務をサポートする機能を多数取りそろえています。

デンソーテンの通信型ドライブレコーダーを紹介するWebサイトでは、当記事のほかにも日々の運転業務に役立つ情報の発信や、実際に通信型ドライブレコーダーを導入している企業の事例紹介なども行っています。ぜひこの機会に会員登録(無料)をしてご覧ください。

デンソーテンの通信型ドライブレコーダーについてくわしく知りたい方はこちら!

(デンソーテンの製品ページへとリンクします。なお、全ての記事を閲覧するには会員登録[無料]が必要です)

get_the_ID : 198649
has_post_thumbnail(get_the_ID()) : 1

ログイン

ページ上部へ戻る