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交通事故発生時にはどう対応する?手順と注意点、よくある質問の回答

2024/9/18(水)

警察庁が発表した速報値では2023(令和5)年に発生した交通事故の件数は307,911件となり、2022(令和4)年の300,839件を上回りました。前年よりも増加したのは2004(平成16)年以来のことです。

交通事故はいつどこで発生してもおかしくありません。万が一の事態に陥っても冷静に対処できるように備えておきたいものです。そこで今回は、交通事故が発生したときの対応方法や注意点をまとめました。記事の後半ではよくある質問への解説も行っています。ぜひ実際の状況をシミュレーションしながら読み進めてください。

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交通事故発生時の対応手順

まずは交通事故が発生したときの初期対応を段階ごとにまとめました。法律的な義務を果たしたり、事故後のやりとりに備えたり、やるべきことは多岐にわたります。

なお、道路交通法第72条第1項に、交通事故があったときは直ちに車両等の運転を停止して、「負傷者を救護すること」、「危険防止措置を講じること」が定められています。さらに同じ条文で「交通事故の発生日時と場所、被害や損壊の程度」などを警察に報告することも義務付けられています。


Step 1. すぐに停車させてエンジンOFF!

事故直後に車を動かせる状態なら、他の交通をさまたげない安全な場所(路肩など)に停車してエンジンを切りましょう。

Step 2. 負傷者がいる場合は救護措置!

負傷者がいる場合は救護措置を最優先に行います。119番に通報して救急車が到着するまでの間、できる限りの応急処置を行う必要があります。ただし頭部を負傷している場合は、むやみに動かさない方がよい場合もあるので注意が必要です。

Step 3. 安全確保で二次被害を防止

車を安全な場所へと移動させた後は、追突などの後続事故(二次被害)を防ぐ行動が必要です。ハザードランプを点灯させたり、車内に積載してある発炎筒を点火させたりして、後続車や周囲に事故が起きたことを知らせましょう。相手方や自分自身が危険な場所にいる場合は、ただちに安全な場所に退避してください。

Step 4. どんな事故でも警察へ報告

交通事故を起こした場合、事故の発生日時と場所、被害や損壊の程度などを警察に報告します。事故の規模や対人事故・対物事故の区別を問わず、警察に届け出る必要があります。

Step 5. 情報収集と証拠保全

事故の発生状況をなるべく詳細に記録しておきましょう。相手方がいる事故の場合は、連絡先を交換しておくと後々のやり取りがスムーズになります。ただし、ここまでに挙げた「負傷者の救護」、「二次被害の防止」、「警察への報告」を優先して行いましょう。

Step 6. 保険会社へ連絡

自動車保険(任意保険)に加入している場合は、保険会社(もしくは代理店)へ連絡しておきましょう。ちなみに、現場ですぐに電話しなくても問題ありません。保険会社が設けている事故受付の専用ダイヤルをあらかじめ把握しておくと、事故後のやりとりがスムーズに進みます。

Step 7. 事故車両の対応

事故車両の扱いは、故障・損傷の程度によって対処法が変わります。走行できない状態であれば、ロードサービスなどを利用してレッカー車の手配が必要になります(任意保険の契約内容によってはレッカー代が補償されるケースもあります)。

事故車両の損傷がごく軽微であれば自走する方法もあります。ただし、道路交通法第62条には「整備不良車両の運転禁止」が定められており、これに違反した場合は3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科せられます。

●Step 8. 病院で診察を受ける

救急車で搬送されるほどの重傷でなくても必ず病院で医師の診断を受けましょう。なお、通勤中や業務中に交通事故による怪我を負った場合、労災指定の病院で受診することが推奨されています。


交通事故への対応時の注意点

●事故現場から立ち去らない

前述の通り、交通事故が発生したら安全を確保した上で「負傷者の救護」と「警察への報告」を行う義務があります。いわゆるひき逃げ・当て逃げのように、これらの義務を果たさず現場から立ち去った場合、「救護義務違反」や「報告義務違反」などで罰則を科される可能性があります。
※道路交通法第117条第1項:車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反したときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
同第2項:前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。(引用:e-Gov法令検索)

事故後に治療が必要になったり、車の故障が発覚したりするケースも考えられます。もし自分や相手に大きなケガがなく車の損傷が軽微でも立ち去るのは厳禁です。単独事故の場合でも同様に注意しましょう。


●事故現場で交渉や示談をしない

相手方がいる事故の場合、解決を急いで「発生した原因や責任の有無などを明らかにしたい」との考えが浮かぶかもしれません。しかし、警察が到着する前に相手方と事故状況を整理したり、示談交渉を行ったりするのは避けるべきです。事故の詳細は客観的な状況を記録するだけにとどめ、その後の流れは現場に駆けつけた警察官の指示に従いましょう。

なお、慰謝料や示談金、お見舞い金などの名目で現金を渡しても、その場で示談成立とはなりません。病院の治療費を立て替えるケースなどを除き、金銭を渡さない、受け取らないのが賢明です。

●軽傷でも医師の診断を受ける

先ほど述べたように、たとえ軽いけがや外傷がない場合であっても安心せず、必ず医師の診断を受けましょう。頭部などに強い衝撃を受けた場合などは、後になって後遺症が出る可能性もあります。自覚症状がなくても注意が必要です。


●交通事故証明書を取得する

交通事故証明書とは、交通事故が起こった事実を証明する公的証書です。事故の当事者が警察に届出を行った後、各都道府県にある自動車安全運転センターが書類を発行します。自賠責保険や任意保険などを利用する場合に必要となります。自動車安全運転センターの窓口以外にも、郵便局やインターネットからでも申請手続きは可能です。なお、警察に事故の届出を行っていないと、交通事故証明書は発行できません。

交通事故への対応時のよくある質問

ここまで、交通事故後の対応手順や注意点を解説しました。事故にはさまざまなケースが存在しますから「こんなときはどうすれば?」と疑問を抱くかもしれません。そこで、ここからは交通事故の対応に関するよくある質問を取り上げます。

●連絡先以外に交通事故の相手に聞くべきことは?

先ほど述べたように、相手方がいる事故の場合はお互いの連絡先を交換しておくことが大切です。必要に応じて以下のポイントも記録しておくとよいでしょう。

・運転免許証に記載の氏名、住所、連絡先
・車のナンバー
・勤務先の情報
・相手方が契約している保険の情報

事故の直後はお互いに気が動転して、口頭の確認だと間違える可能性があります。運転免許証や車検証、保険証券などを確認したり、名刺を交換したり、後から確認しやすい方法で情報のやりとりをしておきましょう。

●警察に報告する際、詳しく聞かれる内容は?

警察の現場検証では、事故当事者への聞き取りが行われます。もし当事者以外に目撃者がいれば証言してもらうケースもあるでしょう。聴取される場合、事故の状況などにより一概には言えませんが、例えば以下の内容を聞かれる可能性があります。

・信号や路面の状態
・道路状況(混雑具合や見通し、他車の位置など)
・走行速度
・ブレーキのタイミング
・(相手方がいる場合)相手の存在を認識したタイミング
・衝突地点や停止地点
・わき見や居眠り、酒気帯びなどの有無


●情報収集と証拠保全でやっておくことは?

・事故現場周辺の写真を撮影する
・事故発生時のスピードや停車位置、信号などをメモに記録する
・相手方がいる場合は、互いの損害状況や氏名・住所などの情報を交換する
・目撃者がいる場合、協力を依頼して連絡先を交換する
・ドライブレコーダーの映像を保存する

繰り返しになりますが、まず安全確保をして「負傷者の救護」と「警察への報告」を行うことが優先です。やるべき対応を怠って撮影や録画ばかり行っていると、相手方の心証を損ねて後々のやりとりが難航する可能性があるので注意しましょう。

●交通事故の過失割合はどのように決まる?

ここで取り上げる過失割合とは、発生した交通事故に関して、加害者側と被害者側にそれぞれどの程度の責任があるか示した数値です。損害賠償金などの双方の負担額は、この割合にもとづいて算出されます。交通事故の当事者もしくは代理人(弁護士や保険会社など)が交渉して決めていきます。

なお、交通事故の過失割合は、さまざまな事情によって加算・減算されます (過失相殺)。信号機や標示・標識、横断歩道や自転車横断帯の有無などの道路状況に加え、事故被害の程度(通院・後遺障害の有無など)や、加害者と被害者双方の過失、自転車運転者の属性(高齢者や児童など)といったように、考慮する条件は無数にあります。

過去の事例を参照しておおよその目安を知ることは可能ですが、それが絶対的な正解ではないことを留意しておきましょう。

●「謝ったら不利になる」のは本当?

交通事故被害者の代理人として多くの実績を持つ西村弁護士(弁護士法人サリュ代表)によると、「よく言われる『自分の過失を認めることになるから、謝ってはいけない』というのは間違いです。謝罪したからといって、慰謝料の支払い額や補償内容が変わったり、責任が重くなったりするわけではありません」とのことです。あわせて、続いての質問への回答もぜひご覧ください。

●事故後に相手方ともめないためには?

西村弁護士は「交通事故が起こったときは、まず相手を気づかう声掛けが重要」だと指摘しています。「不利になるから謝罪しない」と高圧的な態度に出てしまった結果、事故後の話し合いがこじれてしまった事例もあるといいます。まずは相手を思いやる気持ちを持つことが大切です。


交通事故対応のシミュレーションで、もしもの事態に備える

交通事故のリスク要因はいたるところに潜んでいます。普段から安全運転を心がけていても、「もらい事故(被害事故)」のような不測の事故が発生するかもしれません。それだけに、万が一の自動車事故に備えて対応をシミュレーションしておくことも大切です。今回解説した内容が、もしもの事態で冷静に判断するための一助となれば幸いです。

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POINT1: トラブルをふせぐ
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