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「ヘルステック×モビリティ」青森から世界へ フィリップスと青森市がキックオフイベント開催

2020/10/19(月)

青森の小野寺晃彦市長(左)とフィリップスの堤浩幸代表取締役社長(右)
中央はオンライン登壇したコンソーシアム参画企業10社(提供:フィリップス・ジャパン)

株式会社フィリップス・ジャパン(以下、フィリップス)と青森市は7日、昨年両者が締結した「ヘルステックを核とした健康まちづくり連携協定」に基づいて設置した「あおもりヘルステックコンソーシアム」のキックオフイベントを開催した。

「ヘルステック×モビリティ」で市民の健康寿命延伸を目指し、さらには「青森モデル」のグローバル展開も視野に入れる。

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「モビリティ×予防サービス」と「IoT×見守りサービス」

フィリップスと青森市は2019年2月に連携協定を結び、青森市民の健康寿命延伸を基本コンセプトに、青森市浪岡地区をモデル地区とした「ヘルステックを核とした健康まちづくりプロジェクト」を推進している。

今回のイベントでは青森市の小野寺晃彦市長と、フィリップスの堤浩幸代表取締役社長が登壇して連携協定や事業について紹介し、その後コンソーシアム参画企業10社によるオンライントークセッションが行われた。

同プロジェクトでは、モビリティを活用した健康予防・介護予防サービスに取り組む「モビリティ×予防サービス」と、IoTを活用しながら住み慣れた地域で在宅の見守りサービスを実施する「IoT×見守りサービス」の2つを浪岡地区で推進していく。

東北地域は高齢化や医療施設・従事者不足、医療費の肥大など、日本の中でも特に深刻な状態にある。青森市浪岡地区も同様に高齢化が進んでいるが、その高齢化率と人口密度の値が全国の市区町村の中央値に近いため、ここでの取り組みが全国に向けたモデルとなる可能性があるとして、今回モデル地区に選定された。

小野寺市長はイベント冒頭の挨拶で「青森の地から、日本全国と世界の課題を解決していく先進プロジェクトに、このコンソーシアムが発展すること期待している」と抱負を語った。

フィリップスの車両(参考用 伊那市の実証で使用した車両)
参考:フィリップスがMONETと長野県伊那市で医療MaaS実証を行った際の車両。
※今回のプロジェクトで使用する車両とは異なります。

MaaSによって「病院が自分の所にやって来る」

「モビリティを活用した予防サービス(フレイル・生活習慣病)」では、要介護手前の高齢者や働き盛り世代への簡易ヘルスチェックと予防プログラムを提供する。看護師や管理栄養士が専用車両内でヘルスチェックを行う。個人データはその都度蓄積され、住民の病気予防や健康維持に役立てる。モビリティの活用によって地域のさまざまな場所での実施が可能となることから、健康への意識の低い層へも予防を促していくのが狙いだ。
※フレイル:加齢により認知機能や運動機能が低下すること
「モビリティを活用した予防サービス」には、青森トヨペット株式会社、トヨタ車体株式会社、ネスレ日本株式会社、カゴメ株式会社、株式会社インテグリティ・ヘルスケア、損害保険ジャパン株式会社が参画する。

堤社長は「MaaSによって『病院が皆さんのところに来る』がコンセプト。モビリティを活用した予防サービスは、利便性の高い価値創造ができる」と自信を見せる。

具体的には、2021年1月から浪岡地区内の各地域(5地域)で年4回ずつ、計20回程度の実施し、年間で約350名程度の参加を想定している。また、青森トヨペットでも、2021年2月より市内の一部店舗で年15回程度の簡易ヘルスチェックイベントを実施する予定だ。店舗に訪れる顧客のみならず、青森トヨペット社員やその家族の参加も募る方針で、年間で約200名程度の参加を想定してサービスを開始するという。

簡易ヘルスチェックに使用する専用車両の架装はトヨタ車体が担当する。車両の架装は「安心気軽に立ち寄れる車両」をコンセプトに、福祉車両をベースに3つのポイントに重点を置いて開発する。

1つ目は安全な乗り降り。福祉車両のノウハウを活かして大型の補助ステップと手すりを追加する。2つ目は快適で居心地が良い室内空間。ミニバンでの人間工学を参考に明るい素材を使用して清潔感のある開放的な車内空間をつくる。3つ目は使い勝手。車内にはテーブルや椅子、冷蔵庫を配置し、車椅子向けのスロープも設置する。

車両は「特に高齢者の方に使いやすい架装」(小野寺市長)となっており、近日中に公開する予定とのことだ。

「モビリティを活用した予防サービス」の実施によって、青森市内でも特に低い浪岡地区の特定健康受診率(26,6%)をまず青森市全体の受診率(40.3%)に近づけることを目標に掲げている。さらに、県内でも比較的高い青森市の介護認定者率(23.0%)を、青森県(21.5%)や国(21.2%)の認定者率に近づけることを目指す。

参考:トヨタ車体が「人とくるまのテクノロジー展 2019」で展示したヴォクシーサイドリフトアップチルトシート装着車。
※今回のプロジェクトで使用する車両とは異なります。
(画像:トヨタ車体プレスリリースより)
また「IoTを活用したMy守り(みまもり) サービス」は2020年12月より、まずは浪岡地区内の独居高齢者や訪問看護の利用者10名を対象に実施する。IoTを活用して、床にかかる圧力を感知して転倒していないかなどの生活/生体データを取得して、24時間の遠隔見守りを行う。これにはコセキ株式会社、株式会社ワーコン、凸版印刷株式会社、株式会社エナジーゲートウェイが参画する。

なお、市立浪岡病院は2021年5月に敷地内の新しい建物に移設予定で、同事業の中心拠点となる、あおもりヘルステックセンターを新施設内に設置する。24時間の遠隔見守りはヘルステックセンターに常駐する看護師が行う。

青森市モデルを構築し、世界展開を目指す

同コンソーシアムでは今後の展望として、「青森市モデルの構築」を掲げる。青森市民の健康寿命延伸に寄与するサービスとして改良を重ね、地元企業も参加した地方創生に貢献しながら、取り組み自体が自走可能な事業モデルとなることを目指すという。

また、構築した「青森市モデル」をベースとし、全国の類似した健康課題のある地域に対してサービス展開を進め、さらに世界展開も視野に入れていくという。

堤社長は「浪岡地区でしっかりしたアクションが取れれば、日本全国、世界にも広げることができる」とし、ヘルステックを活用した予防の推進や在宅医療のサポートによって、「今後の医療の母体・骨格を浪岡地区から作っていきたい」と構想を語った。

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