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電脳交通、約12億円を複数投資家から資金調達 累計調達額は約27億円

2023/4/5(水)

株式会社電脳交通(以下、電脳交通)は、複数の新規投資家および既存投資家を引受先とした総額約12億円の資金調達を実施した。4月4日付のプレスリリースで明かしている。今回の調達による累計資金調達額は約27億円※となる。
※エクイティ・デッドファイナンスの合算額

社会を支える重要な移動インフラであるタクシー業界は、以前からIT化の遅れやドライバーの高齢化など課題に直面している。そして、2020年以降のコロナ禍において人流が抑制されたことにより苦境を迎え大幅な売上低下や廃業も相次いだ。感染状況が収束し観光や移動ニーズが戻ってきたいま、業界全体が深刻な人手不足という課題に直面している。また、国内では一部の大都市圏を除き、既存の公共交通インフラの採算が合わず地方の鉄道・バス路線の約8割が赤字路線という、地域交通の維持・存続における課題も抱えている。

今回の第三者割当増資では、JPインベストメント株式会社(以下、JPインベストメント)、ENEOSイノベーションパートナーズ合同会社、四国旅客鉄道株式会社(以下、JR四国)、沖東交通グループ、三和交通株式会社(以下、三和交通)が新規引受先となった。また、三菱商事株式会社、第一交通産業株式会社(以下、第一交通産業)、エムケイ株式会社、株式会社阿波銀行(以下、阿波銀行)、株式会社徳島大正銀行(以下、徳島大正銀行)、いよぎんキャピタル株式会社(以下、いよぎんキャピタル)が、既存引受先として参加している。

電脳交通は、今回調達した資金を活用し、サプライ領域におけるタクシーDXを実現するためのプロダクト強化、既存事業のさらなる伸長を見据えた組織基盤の強化に取り組む。くわえて、将来的なIPOを視野に入れた体制構築に向けた採用強化も行うという。

ほかにも、同社は、各株主とは資本業務提携を締結し、資金面だけでなくデマンド交通サービスや脱炭素関連のプロジェクトを共同で展開。業界の活性化や地域交通に必要とされるサービスの早期実現に、本格的に取り組んでいく予定だ。

さらに、同社は、瀬尾萌氏と莊司茂雄氏を社外取締役として招へいする。瀬尾萌氏は、JPインベストメント 地域・インパクト投資部 担当部長であり、電脳交通の社外取締役に予定されている。一方、莊司茂雄氏は、三菱商事 モビリティ事業本部 戦略企画室長だ。

なお、電脳交通は、今後地域交通の課題解決に向けたタクシーのDXを加速するとともに、事業基盤を活かしたデマンド交通や脱炭素などの新たな取り組みに着手する。そして、日本の地域社会が抱える移動・交通の課題解決を目指すと述べている。

▼関係者のコメント
■JPインベストメント 代表取締役社長 古宮博幸氏のコメント
JPインベストメントは、電脳交通によるクラウド型タクシー配車システムや配車業務の委託サービスの提供が、タクシー業界が求める業務効率化と人材不足解消、引いては地域住民の方々の交通の利便性確保や向上につながると考えています。
長期的に持続性の高い地域交通を確立することが期待できる同社の事業は、社会へのポジティブインパクト創出によるSDGsの目標達成に貢献するという弊社ファンドの理念に合致することから、「インパクト投資」としての出資をさせて頂くことと致しました。今後、地方の生活を支える交通手段の持続性確保に取り組む電脳交通の挑戦を支援してまいります。

■ENEOSホールディングス株式会社 未来事業推進部事業推進3グループマネージャー 六代玲子氏のコメント
当社は他社とのオープンイノベーションの推進により、街づくり・モビリティ領域の革新的事業の創出を目指しています。電脳交通のサービスは、タクシーの配車業務を効率化させるだけでなく、地域交通の課題を広く解決する一助になると考えております。今回の資本業務提携を契機として、環境負荷を低減できるEVを活用したフリートマネージメントサービスやデマンド交通サービスなど、新たな価値を創るパートナーとして関係を構築していけると期待しています。

■三菱商事 自動車・モビリティグループ モビリティ事業本部長 髙井直哉氏のコメント
この度は電脳交通が成功裡に資金調達されたことはタクシーDX化を推進する同社に対する期待の表れだと思います。弊社は2020年の資本業務提携以降、電脳交通と共にタクシーを切り口に地域交通の課題解決に取り組み、新たなソリューションを提供して参りました。今回の増資をきっかけにその取組みを加速させ、これまで以上に貢献して参りたいと思います。

■第一交通産業 グループ本社 代表取締役社長 田中亮一郎氏のコメント
タクシー業界もコロナ禍を経て非常に厳しい経営環境が続いておりますが、公共交通として地域の移動を守り続ける事、そして社会変革に対応していく事が求められております。
また地域交通の文脈では、人材不足に苦しむ地方こそIT化やDX化によるサポートが必要であり、今後はカーボンニュートラル社会へ向けて、GXの取組みも重要となります。電脳交通様には、既に当社にて交通DXやグリーンイノベーション基金事業でご一緒頂き、ローコストで最適なソリューションの提供をいただきました。今後は当社が旗振り役を務めるNo1タクシーネットワークというタクシー会社の相互連携ネットワークにおいてより一層の連携を期待し、この度の資本業務提携を決めさせていただきました。

■JR四国 代表取締役社長 西牧世博氏のコメント
JR四国では、地域の関係者とともに、モビリティ間の連携強化などに取り組むことによって、四国に最適で持続可能な「公共交通ネットワークの四国モデル」を追求しています。こうした中、四国を代表するモビリティ企業である電脳交通様と資本業務提携に至ったことは、非常に心強く思います。電脳交通様がこれまで培われた取り組み、そしてこれからの新たな取り組みとも連携し、地域交通の課題解決を通じて、今後も四国地域の発展に貢献したいと考えています。

■沖東交通グループ 代表理事 東江一成氏のコメント
この度、株式会社電脳交通様との資本業務提携する運びとなりました。
電脳交通様の配車システムを2021年に導入し約1年半、弊社からの様々な難題課題を解決に向け必死に考えていただいたその姿勢と解決実績、新たなアイディアを共に形にしていこうという姿勢が、パートナーとして信頼できる証となりました。この度の資本業務提携により信頼関係がより強固なものとなり、地域交通の活性化や先進的な事業への取り組みが一層加速されていくものと期待しております。

■エムケイホールディングス株式会社 代表取締役社長 青木信明氏のコメント
電脳交通様との二度目の資本提携を決断したのは、コロナ禍という逆境を跳ね返すようにリモート受注や最も大規模な京都MKの配車システムの立ち上げなど、課題解決へのビジョンを共有しスピード感をもって対応していただいたからです。
ますます変化の激しい時代、MKグループが目指すのはタクシー・ハイヤー事業を超えた新しい領域へのチャレンジです。お客様、従業員、そして社会にインパクトを与えられる企業体へと進化すべく、ともに歩むパートナーとしてこれからも期待しています。

■三和交通 代表取締役社長 吉川永一氏のコメント
電脳交通は革新的なアイデアや技術を駆使した交通サービスを展開し、業界内でも高い評価を受けている企業です。
私たちは今回のシリーズC出資により、電脳交通が更なる事業拡大や技術革新を進め、お客様にとってより快適で安全な移動環境を提供することに期待しています。同時に、電脳交通の取り組みにはタクシー業界としても大きな期待を寄せていて、交通領域の新たな技術やサービスが普及することで、多くのタクシー会社が救われていくと期待しています。今後は、電脳交通と三和交通が連携し、相互のノウハウを活かした新たなサービスやビジネスモデルの開発を進めていくことで、より良い未来を創造出来るのではないかと楽しみにしています。

■阿波銀行 代表取締役頭取 福永丈久氏のコメント
株式会社電脳交通さまは、徳島を代表するスタートアップ企業です。新型コロナにより世界が加速度的に変化するなか、いちはやく地域交通の課題解決・イノベーションに取り組まれ、DXを強力に推進しておられます。当行としては、業界を牽引していく電脳交通さまをぜひ支援したいと考え、今回の出資に至りました。当社には、徳島を代表する企業に成長していただきたいと考えております。当行も引き続き、地元企業の支援を通じて、徳島の経済の発展に貢献してまいります。

■徳島大正銀行 代表取締役頭取 板東豊彦氏のコメント
生活者や旅行者のタクシー利用の利便性向上、タクシー業界のさらなるIT化に対する社会からの要請は一段と強くなっております。株式会社電脳交通は、タクシーの配車システムを始め、業界のさまざまな課題解決に取り組まれている先駆的な企業であります。近藤社長の強いリーダーシップのもと、タクシーのDXを実現され、利用者やそこで働かれる方々にとっても有用で、地域交通の課題を解決するプラットフォームになるものと大いに期待しております。徳島を代表する企業として、全国そして世界で貢献される企業となられますことを祈念しております。

■いよぎんキャピタル 代表取締役 濱口俊樹氏のコメント
2020年の初回投資以降、電脳交通様の力強い事業成長を側で見てきたことから今回の追加投資も即決いたしました。近藤社長がタクシー会社経営をする中で悩まれた課題を起点とする当社のソリューションは、ユーザーに寄り添った設計や機能性が高く評価され、45の都道府県のタクシー会社で導入されるなど既に全国区のサービスに成長しています。いよぎんキャピタルといたしましては、地元四国を代表するスタートアップである電脳交通様が、地域交通を支えるキープレイヤーであり続けると確信しており、今回の資金調達を機にさらなる飛躍を遂げられることを大いに期待しております。

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