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自動運転分野の隠れたニーズを探り化学材料で自動運転の未来を創る ダイキン工業×金沢大学

2017/10/31(火)


熱マネジメントは自動運転における喫緊の課題

 

菅沼氏が新家氏に実際の自動運転車を紹介する様子


 
新家氏 自動運転における熱マネジメントに関する課題については、どうお考えですか。

菅沼氏 完全自動運転になると、ものすごい計算量を伴うような演算機器が積み込まれることになるので、放熱問題は喫緊の課題だと思っています。NVIDIAのチップもかなりの熱量を伴うし、ディープラーニングのようなAI系の技術で学習や判断をさせるときは放熱をしっかりしておかないとコンピューターはダウンしてしまいます。センサーでもレーザーを使っているとそれなりに熱を持っているし、いろいろなところで熱問題はあるのではないでしょうか。

 

金沢大学の自動運転車に搭載されるCPUなど演算機器と車内の様子


 
新家氏 今の自動運転車の電気量はどれくらいなのでしょうか。

菅沼氏  実証で使用している自動運転車にはCPUは1台しか積み込んでいませんが、それでも400〜500Wあります。センサーなども含めると、かなりの電気量になりますね。

新家氏 我々は現在、放熱・遮熱・断熱などの熱マネジメント材料にも力をいれています。フッ素は電気的な誘電率が低く、電気の損失が少ないという特徴があります。この特性は電線やアンテナ材料や携帯の基地局やプリント基板に生かされています。また、空調機器ならではの熱に関するシミュレーションや分析力がコア技術としてあります。そういったものを上手く化学の材料と組み合わせることで、自動車メーカーや部品メーカーに提案していければと考えています。

菅沼氏 今まで放熱部分に専門の空調機器メーカーが入っていないことを知らなかったので驚きです。現段階では化学メーカーの知見がクルマにはあまり反映されていないのでしょうか。

新家氏 そうですね。クルマに10~20年の耐久性が求められているように、フッ素材料が使われているのも、信頼性が必要とされる内燃機関周辺のシール部品や燃料システム周りの燃料チューブです。自動運転の中でも熱が発生し、耐久性・信頼性が必要なところに化学材料技術を生かしていきたいと考えています。内燃機関周辺の重要保安部品は世界ではトップレベルの実績があると自負しています。

 

菅沼氏が新家氏に実際の自動運転車を紹介する様子


 
菅沼氏 自動運転の世界になると、センサーの一つ一つが重要保安部品です。必要性は高いですね。

新家氏 安定した品質を生産するという品質管理も我々の強みです。リチウムイオン電池にもフッ素材料が多く使われています。電解液に入っている電解質も、フッ素材料です。

バインダーといわれる正極材や電池の漏れを防止するガスケットにもフッ素材料が使用されています。また、フィルムコンデンサのようなパワー半導体周りも、耐熱性のある材料が要求されるようになってきており、開発に力を入れています。アクチュエーターにもフッ素材料を使おうという検討がなされています。

菅沼氏 耐久性や信頼性が求められるところにはフッ素が使われるのですね。

新家氏 例えば、パナソニックさんは家電で培った技術を自動車部品に応用されています。ダイキンでは空調機器で培った技術や、自社で持っている化学部門の強みを生かしてこれからの自動車に適用していきたいと思っています。

 
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第1回スペシャル対談 | Daikin Mobility Lab. | フッ素化学 | ダイキン工業株式会社
http://www.daikin.co.jp/chm/mobility/interview1-1.html
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