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運転者の「見る力」を強くする、新機能ドライバーズグラス「Ds’Assist」開発秘話

2021/9/3(金)

上:三井化学の伊藤基氏、ビジョナリーホールディングスの吉野正夫氏、JARWAの吉野一会長(左から)
下:新機能ドライバーズグラス「Ds’Assist」

三井化学株式会社と、メガネスーパーを運営する株式会社ビジョナリーホールディングスが共同で新機能ドライバーズグラス「Ds’Assist(ディーズアシスト)」を企画した。

ドライバーの視覚をサポートすることで快適な運転体験を提供するというDs’Assist。
三井化学株式会社ヘルスケア事業本部ビジョンケア材料事業部 事業部長の伊藤基氏、株式会社ビジョナリーホールディングス R&D事業部 マネージングディレクター代理の吉野正夫氏、一般社団法人日本自動車車体補修協会の吉野一会長に、Ds’Assist開発に至った経緯など話を聞いた。

ドライバーの「見る力」を強める特殊レンズ

Ds’Assistは、材料メーカー三井化学(以下、三井化学)と、「メガネスーパー」などを展開するビジョナリーホールディングス(以下、ビジョナリーホールディングス)が共同で企画したドライバーズグラスだ。レンズには特定波長コントロール技術である「NeoContrast」や「UV+420cutTM」、「LEDライトカット」というドライバーの「見る力」を強める3つの機能が盛り込まれ、一般社団法人日本自動車車体補修協会(以下、JARWA)の推奨マークが付与されている。
1つ目の「NeoContrast」機能は、眩しさや見づらさの原因となる黄色光を選択的にカットして色コントラストを向上する光波長コントロール技術だ。人の目の中でレンズの役割を担う水晶体は加齢とともに濁って黄色く変色する。この濁り(黄変)が濃くなると、目のかすみや光の眩しさを感じやすく、生活環境で見え難いシーンが増えてくる。NeoContrastはそれらの視覚の衰えをカバーし、自然な色合いでくっきりとした視界を実現するという。
「弊社は眼鏡用レンズ材料の研究開発を35年手掛けてきました。これまでは『よく見えて、強くて、軽い』というニーズに対して、薄くて軽い、高屈折率のプラスチック材料を開発してきました。次の段階として、『見え方』など生活の中で感じるニーズをくみ取るという視点に立って、NeoContrast技術を使用者の皆さんにお届けしていきます。」(三井化学 伊藤氏)
2つ目の「UV+420cutTM」は、紫外線に加えて、大きなエネルギーを持つ波長、400~500nmの高エネルギー可視光線(HEV)のうち、特に健康への影響が懸念される400〜420nmをカットし、目を守る機能だ。近年、スマートフォンやPC・タブレット、室内照明などに使用され、日常生活で浴びる機会が増えている。
400~420nmの短波長光は大きなエネルギーを有するため、白内障など眼組織の障害の引き金となる可能性があるとされており、伊藤氏も「目の長期的な健康のためには420nmまでのHEV対策が不可欠」と話す。

3つ目は、自動車のヘッドライトに採用されている白色LEDの特定波長を選択的にカットし、眩しさを防止できる「LEDライトカット」機能だ。夜間運転時のJIS規格にも適合しており、夜間運転時でも必要な光量を十分に確保したうえで、運転時に対向車のライトへの防眩効果が期待できるという。


420 nmまでのHEVを当てた場合、一般的なレンズ(左)は光が通過するが、Ds’Assistの特殊レンズはカットする(右)


急務「LEDの405nm波長を防御できる技術を探せ!」

JARWAは、溶接を中心とした車体整備技術に関する最新情報の提供や後付けのペダル踏み間違い急発進等抑制装置「JARWA_S-DR IVE」の販売を通じ、自動車の環境性能・衝突安全性能の維持への貢献を目的に活動している一般社団法人だ。JARWAの吉野会長は「Ds’Assist開発のきっかけは、高圧水銀灯に関する規制だった」と話す。

水銀による汚染防止を目指した「水銀に関する水俣条約」が2017年に発効されたことで、2021年以降、一般照明用の高圧水銀灯の製造・輸出・輸入が原則禁止となった。
「車の整備作業現場ではUV照射機で硬化する樹脂材料が広く使われているが、水銀の規制により、UV照射機に使用していた水銀ランプが世界中で一斉にLEDに切り替わった。その時、思いがけない問題が浮上してきた」(JARWA 吉野会長)

光は波長の短い方からX線、紫外線(UV)、可視光線、赤外線、電波に分けられ、波長が短いほどエネルギーが大きく、人体への影響が強くなる。そのうち可視光線は約400~700nmの間の光のことをいう。一般的に380nmより下の光がUVとされ、UVを扱う労働は、国が定める職業上の安全に関する基準や安全対策、またJIS規格などの安全規格に則って、防護面を使用するなど安全衛生の対策が講じられているという。

「従来の水銀灯は国の安全規格の対象内でした。しかしLEDランプは波長405nmという人体への影響が強いHEVでありながら安全規格から外れてしまう。これはUV照射機を使う作業員の健康と安全にとって重大な問題です。そこで405nmの波長を防御できるフィルターのようなものはないか探した時に、三井化学のUV+420cutTM技術を見つけました。」(JARWA 吉野会長)

三井化学とJARWAは自動車メーカーなどとも相談し、UV+420cutTM技術を活用した製品の検討を始めた。検討を重ねる中で、ドライバーズグラスというアイデアが生まれた。その後、三井化学とビジョナリーH.Dが共同開発を進め、商品化が実現した。

「Ds’Assistのコンセプトは『安心・安全なクルマ社会の実現』。ドライバーの見る力を強めることで快適なドライブをサポートすることが期待される製品ということで、JARWAの推奨マークを付与しました」(JARWA 吉野会長)
Ds’Assistを装着することで夜間運転時に対向車のライトへの防眩効果などが期待できる

Ds’Assist装着により夜間運転時に対向車のライトへの防眩効果などが期待できる(左:裸眼時、右:装着時)


画像はイメージ。見え方には個人差があり、全ての人がくっきり鮮やかに見える・視認しやすく感じることを
保証するものでは有りません。(メガネスーパー店頭資料より引用)


目の特性に合わせた、新たなアイケアソリューションを

現在、Ds’Assistはビジョナリーホールディングス傘下のメガネ販売店104店舗で店頭販売をしている。
「私たちの1番の特色は視力検査に時間をかけること」だと、ビジョナリーホールディングスの吉野氏は話す。通常メガネを作る際の検査項目は10項目程度だが、ビジョナリーホールディングスでは最大60項目まで検査項目を増やしているという。

追加項目の中でも特徴的な検査の1つが、光が明るい場合と暗い場合での瞳孔の状態を調べる夜間視力検査だ。例えば、日中は視力が1.5でも、夜間視力検査の値が0.8だった場合、検査結果から、その人は夜間運転時には免許基準ギリギリの視力で運転していることがわかるという。

「本来、メガネは距離だけでなく、光による視力の差も考慮して作るべきだと思います。度数を変えるのではなく、『夜は見えづらい』といったその人の目の特性に合わせて、余計な光をカットすることで、より見えやすくする機能を持つ三井化学のレンズは、新たなアイケアソリューションとして有効だと感じています。」(ビジョナリーホールディングス 吉野氏)

メガネスーパー店舗での検査の様子

メガネスーパー店舗での検査の様子


三井化学は北里大学と共同で、NeoContrastレンズ利用によるコントラスト感度や視力応答速度の試験などを行い、科学的な検証も勧めている。実験ではNeoContrastレンズ利用により、小さく色の薄い標識が早く認識できることや、運転時に「道路標識がくっきり見える」、プロ野球選手からは「ボールがくっきり見える」といった結果も出ているという。
三井化学の伊藤氏は「運転中以外の読書やゲーム、スポーツ・eスポーツなど、視界をハッキリとさせたい日常生活での、他シーンへの展開の可能性もある」と期待を込める。

「スマホやPCなど、人々の生活環境は変化したものの、メガネはこの100年、ほとんど変わっていません。『目は脳』と言われますが、目を通して脳が受けるストレスは増えたのに、メガネが変わっていないので、疲労や健康不調が増えるのは当然でしょう。

今後、メガネ業界でも、明るさや距離に応じてレンズがオートフォーカスしたり、色が変わるといったデジタル化が進むはずです。将来的には完全コンピュータ制御で環境にフレキシブル対応するデジタルメガネを作りたいですが、それまでの間は機能別グラスを付け替えることになるので、Ds’Assistはそれに向けたチャレンジの1つだと捉えています。」(ビジョナリーホールディングス 吉野氏)


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■お問合せ先:0120-031-546(メガネスーパー内コンシェルジュサービス)
■受付時間:11時~18時
店頭販売の様子

店頭販売の様子

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