ファミリーマート、AI配送最適化でCO2排出12.8%削減:物流DXが加速
2025/6/9(月)
ファミリーマートは、2024年度の物流配送におけるCO2排出量を2017年度比で12.8%削減したと発表した。背景には、AIによる配送コースの最適化や環境配慮型車両の導入といった先端技術活用がある。小売業界全体が物流の見直しを迫られる中、ファミリーマートは2030年までに30%削減という高い目標に向けて、CO2削減の歩みを加速させている。
AIシミュレーションによるルート最適化が効果大
ファミリーマートがCO2排出削減で最も大きな成果を上げたのが、AIを活用した配送シミュレーションの導入だ。2022年10月からチルド商品、2023年10月から冷凍食品、2024年6月からは常温配送にもAIシミュレータを順次適用し、配送の最適化につながっている。また、配送ルートの効率化により、配送コースや車両台数を約10%削減、2017年度対比にて走行距離も5,300万キロ(約20%)削減に成功し、CO2排出量減少に大きく寄与した。環境配慮型車両と次世代燃料の導入
CO2削減のもう一つの柱が車両の刷新である。2019年からクリーンディーゼル車へ導入を進め、2,300台以上が新型車両に切り替わっている。2021年からは排出ゼロのFC(燃料電池)小型トラックも導入し、2025年には17台が走行中である。また、廃食油由来で環境負荷が低い「リニューアブルディーゼル*(RD)」を燃料に使った車両も運用されている。RDは、既存ディーゼル車と同じように使用できる再生可能な“ドロップイン燃料”で、カーボンニュートラル社会実現への有力な手段とされる。共同配送など連携強化で更なる削減へ
他社との協業による効率化も進行中だ。2024年からはコカ・コーラ ボトラーズジャパンと車両の共同利用を始め、車両台数削減と稼働率向上を進めている。ファミリーマートは今後もAIや環境配慮型車両、他社連携といった多角的な取り組みで、持続可能な社会の実現と物流分野でのCO2排出量削減を加速させていく方針だ。リニューアブルディーゼル(RD):
リニューアブルディーゼル(RD)は廃食油や動植物油脂など再生可能な資源から製造されるディーゼル燃料。通常のディーゼル車でそのまま利用でき、従来燃料より温室効果ガス排出を大幅に抑制できる「ドロップイン燃料」として普及が進んでいる。