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自動運転領域に眠る2兆円市場 ヒントはベンチャー企業から学べ! 東京大学 加藤真平氏

2017/11/21(火)


ソフトウェアはオープンにして進化させる

自社のオープンソフトウェアについて、スマートフォンでいうとAndroidの発想に近いと語る加藤氏。クローズドな社内システムにして戦ったとしても、Googleなどの大手には勝てません。

オープンにすることで、開発に関わるエンジニアは現在500人にも上るといいます。「社内のエンジニアは20人しかいないのに、オープンにすると1カ月で500人になりました。1年間で2000~3000人になることが予測されます。そうなると戦力としてはシリコンバレーのトップの企業よりも大きいので、海外企業に主導権を握られなくて済みます」(加藤氏)。

 

ティアフォーのオープンソフトウェア


アイシン・エイ・ダブリュはソフトをダウンロードして3カ月ほど実験を重ねた結果、自動運転走行が可能になりました。一つの企業がソフト開発から自動運転までをすると1年~2年かかるため、非常に強力なプラットフォームだということがわかります。また、オープンにすることで実験に踏み込めないような場所での実験結果も得ることができます。

 

ヤマハ発動機の山道実験の様子


「ヤマハ発動機は山道で実験しています。我々ではできないので、オフロードでも自動運転走行ができたと言ってもらえるとありがたいです。中国やカリフォルニアの企業など、ユーザーは徐々に広がっています」(加藤氏)。

 

GPSと白線に頼る必要はない

オープンソフトウェアは、GPUに対応しています。クルマにGPUが搭載されていれば処理速度は10倍になり、比較的リアルタイムで追跡できるようになります。3Dで360度スキャニングできる屋根の上につけるセンサーは点の集まりから立体的なデータが取れます。3次元のデータでは、距離は認識できているけれど解像度が荒いので、遠くなるとクルマかどうかの判別ができません。また、画像は2次元なので距離感がわかりません。これらの問題を解決させるため、カメラとセンサーを組み合わせる機能もついています。

 

パターン認識で古典的な方法で画像認識をしている例。緑が人で青がクルマ。


アイサンテクノロジーとの共同研究では測量車から周りの景色を3次元のデータとして取り込んでいます。「人間が見るとビルや白線は一目瞭然。しかし、これをコンピューターに認識させるのはすごく難しい」と加藤氏は語ります。3次元のデータから、どこが横断歩道でどこが道路でどこがレーンでというのを半自動的に抜き出します。抜き出したデータと元の3次元のデータを組み合わせると横断歩道や信号機、建物やポールやペイント、どのようにレーンがつながっているかがわかるようになります。

 

センサーとデータの情報を地図と照合し、自分位置を推定します


自車位置の特定について、GPSや白線を見て自分の位置を推定する方法だと、GPSはトンネルや高層ビルの中に入ると使えないし、白線は消えたり途切れたりする場合があります。同じ世界なら必ず一致する箇所が存在するので、センサーとデータの情報を地図と照合し、自分の場所を推定していきます。

「精度がかなり高いので、市街地で実験をすることが可能です。地球上の緯度や経度を指定して走らせるのがわれわれの自動運転のやり方です」と加藤氏は白線やGPSに頼らずに自動走行が可能だと述べました。

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